日経平均に円高逆風 週次1123円安 S&P500は6週連続高
日経平均は一時141円台の円高で週次大幅安。S&P500は雇用統計が好感され6週連続の上昇だが、勢いは乏しい。
日経平均株価が円高ショックに揺れた。8日の終値は1週間前比1123.65円安で、約2か月半ぶりの下げ幅。日本銀行の植田和男総裁の発言を機に急進した円高が投資家心理を冷やした。ドル円相場の値動きは18、19日の日銀の金融政策決定会合に向けて不安定になるおそれがあり、日経平均の先行きに影響しそうだ。一方、アメリカの株式市場では8日に発表された11月雇用統計が米国経済の堅調さを示す結果と受け止められ、S&P500種株価指数は約4年ぶりとなる6週連続の値上がりを達成した。ただ、上昇率は徐々に縮まっており、今後の経済指標などで勢いがそがれる可能性がある。
日経平均は週次で2か月半ぶりの大幅下落
日経平均(N225)の8日の終値は3万2307.86円。下落幅は9月18-22日週の1130円以来の大きさで、7月3日の終値ベースでのバブル後最高値(3万3755.33円)を1400円超下回る水準に落ち込んだ。
日経平均後退の背景にはドル円相場(USD/JPY)で一時、1ドル=141円台まで円高ドル安が進んだことがある。円高急進の要因は、植田氏が7日の参議院財政金融委員会で「年末から来年にかけて」、一段とチャレンジングな状況が続くと言及したことが早期のマイナス金利政策解除を示唆したものと受け止められたことだ。1日の値幅が5円以上に達する事態に、日経平均は7、8日連続で550円超の値下がりとなった。
とはいえ、この円高は8日のニューヨーク市場では加速せず、終値は前日比0.81円の円安ドル高にあたる1ドル=144.93円だった。植田氏は目標とする賃金上昇と物価上昇の好循環の持続的な達成を実現できているとはみておらず、円高急進は植田氏の言葉に対する市場の過剰反応との見方も強い。ただ、日銀は黒田東彦総裁時代の2022年12月に大規模金融緩和政策の柱であるイールド・カーブ・コントロール(YCC)のサプライズ修正を行ったこともある。今年も18、19日の日程で金融政策決定会合が予定されており、日銀の思惑をめぐってドル円相場が動き、日経平均に影響が及ぶ可能性は拭えない。
S&P500はアメリカの11月雇用統計を好感
一方、米国の株式市場ではS&P500(SPX)の8日の終値が1週間前比で0.21%高にあたる4604.37となった。6週連続の値上がりは2019年10月から11月にかけて以来。水準は2022年3月29日(4631.60)以来、約1年8か月ぶりの高さだ。
米国株の安心材料となったのは8日に発表された11月雇用統計だ。非農業部門の就業者数は前月比19.9万人増となり、市場予想の18万人を上回りながらも2か月連続で大台の20万人を割り込む結果。景気の悪化を感じさせることなく、労働市場の過熱による物価上昇圧力も強めない理想的な結果だと受け止められた。失業率は3.7%で、10月の3.9%から低下。平均時給の伸び率は4.0%で、10月と同じだった。
ただしS&P500の上昇率は3週連続で縮まっており、勢いの強さは感じられない。こうした中、12日に発表される11月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇圧力の強まりが感じられれば、市場が期待する2024年3月の利下げが遠のき、株価にマイナス圧力がかかる可能性もある。また、12、13日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が発するメッセージの内容も相場を大きく動かしそうだ。
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