日経平均、週次1100円超安 9か月ぶり S&P500大失速
FRBが政策金利高止まりを示唆したことで日米の株価が大幅に下落。日銀は大規模金融緩和の維持したが、先行きは暗い。
日米の株価が大幅安に見舞われた。日経平均株価の22日の終値は1週間前比で1100円超の値下がり。週次での下げ幅としては9か月ぶりの大きさとなった。一方、アメリカの株式市場でもS&P500種株価指数が週次で2.9%安となり、3週連続での週次マイナスとなっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の高止まりを示唆したことが金利水準の上昇を招き、株価が下落する構図が続いている形だ。これに対して、日本銀行は22日に大規模金融緩和の継続方針を決めているが、米国の株安という不安材料は日経平均にとっても今後の重荷になりそうだ。
日経平均、バブル後最高値接近から急落
日経平均(N225)の22日の終値は3万2402.41円。1週間前比では1130.70円の下落となった。週次の下げ幅が1000円を超えるのは8月14-18日の1022.90円安以来。1100円を超えるのは、2022年12月19-23日(1291.90円安)以来だ。日経平均は先週末にはバブル後最高値に迫る水準まで値上がりしていたが、一気に勢いがそがれた。
米国でも株式市場は大幅安となっている。S&P500(SPX)の22日の終値は4320.06。1週間前比2.9%安という下落率は、シリコンバレーバンクが経営破綻した3月6-10日週(4.55%安)以来だ。
米国の株価下落が大きくなった背景には長期金利(10年物米国債利回り)の高止まりがある。22日のニューヨーク債券市場では長期金利は4.4%台で取引を終え、2007年秋以来の高水準が続いている。FRBが20日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置く一方、経済見通しでは政策金利の高止まりが続くとの見方を示唆したため、金利の先高観が強まっている。金利が高水準で推移すれば、株式投資の相対的な魅力が薄れ、株価には下押し圧力がかかるとされる。
日銀は大規模金融緩和の維持を決定
一方、日銀はFRBとは対照的な動きをみせている。22日までの金融政策決定会合ではイールド・カーブ・コントロール(YCC)など大規模金融緩和の維持を決め、植田和男総裁は記者会見で「物価目標の実現が見通せる状況にはない」との見解を繰り返した。22日午前に発表された8月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数の伸び率が3.1%となり、日銀が目標とする2%を17か月連続で上回っているが、それでも賃上げと物価上昇の好循環の達成には距離があるとの認識だ。
植田氏は9日公開の読売新聞のインタビューで、マイナス金利政策の年内解除の可能性に言及していたことから、決定会合前には何らかの政策修正があるとの見方もあった。しかし植田氏は記者会見でマイナス金利解除までの距離感が動いたわけではないと説明し、経済情勢に関する判断は変わっていないと強調している。
日銀のハト派姿勢でドル円相場は148円台で推移
こうした植田氏の「ハト派」姿勢は金利水準の低位安定につながる。日本の長期金利は足元では0.7%台で推移しており、米国の水準よりも大幅に低い。日経平均の22日の値動きからは、日銀の金融政策維持で低金利が続くことへの安心感もみられた。また日本の低金利は外国為替相場では円安要因となり、22日のニューヨーク市場のドル円相場(USD/JPY)は148円台という円安ドル高水準が続いている。円安は輸出企業の業績の後押しや海外投資家の日本株買いを連想させ、日本株上昇の追い風とされる。
ただ、日本の金利水準がこれ以上に低下する動きはみられず、ドル円相場も日本政府の為替介入への警戒感から上値は重い。長期化の様相をみせてきた米国の金利水準の高止まりが米国株の先行きを暗くしたままでは、日経平均の上昇にブレーキがかかり続ける可能性は否めない。
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