円安どこまで? 148円台突破 日銀総裁、マイナス金利解除の見解は
FRBの経済見通しを受けて、円安ドル高が進行。一方、22日には日銀総裁の会見を控えており、相場への影響が注目される。
外国為替市場で円安ドル高が進行している。21日の東京市場のドル円相場は1ドル=148円台で推移し、10か月半ぶりの水準に到達。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の見通しを引き上げたことで日米の金利差拡大が意識された影響が出た。一方、日本銀行は21日から金融政策決定会合を開いており、22日には植田和男総裁の記者会見も予定されている。日銀の金融政策をめぐっては、マイナス金利政策解除という金利水準引き上げ方向の動きも取り沙汰されているだけに、植田氏の見解が相場を動かす局面も想定されそうだ。
ドル円相場は一時、1ドル=148.45円
ドル円相場(USD/JPY)はFRBの経済見通し発表後に大きく円安ドル高に振れ、直前の1ドル=147.50円程度から一気に148円台まで上昇。ジェローム・パウエル議長が記者会見で、物価の安定を取り戻すことの重要性を強調すると、政策金利高止まりの確度が強まったとの見方からさらにドルが買われた。21日の東京市場でもこの流れは引き継がれており、金融情報会社リフィニティブのデータでは、ドル円相場は一時、2022年11月1日(148.82円)以来の水準となる148.45円をつけた。
ただ、こうした円安の流れは日銀の金融政策の方向性によって変わる可能性がある。日銀は22日までの決定会合で金融政策について議論しており、植田氏の記者会見で金利水準引き上げの動きが感じられれば、日米金利差拡大という円安要因が薄れるからだ。
日銀総裁のマイナス金利解除への見解が焦点
日銀の次の一手として取り沙汰されているのは短期金利をマイナス0.1%とするマイナス金利政策の解除だ。植田氏は9日公開の読売新聞とのインタビューで、マイナス金利を解除しても安定的に物価上昇率目標(2%)を達成できると判断できれば、解除を行うと言及。解除を決断する時期については「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」と述べている。植田氏が22日の記者会見でもマイナス金利解除に前向きな態度をとれば、ドル円相場では円高ドル安が進む可能性がある。
ただ、日銀が金利水準の引き上げに及び腰であることも事実だ。日銀は7月28日に長期金利変動の上限を1%まで高めることを決め、将来的な金利水準引き上げに布石を打ったが、植田氏は記者会見で物価上昇率目標の達成には「まだ距離がある」との立場を強調。長期金利の上限引き上げは、あくまで将来的に金利上昇圧力が高まった場合に市場のゆがみを生じさせないための予防措置であるとの考えを示した。
ドル円相場はこうした植田氏のハト派的な姿勢を材料視し、8月以降も円安ドル高方向に動いてきた。読売新聞のインタビューが出た後の最初の営業日となった11日は2円近く円高ドル安に振れる場面もあったが、一時的な動きに留まっている。
日本政府による為替介入の可能性も
しかしドル円相場には、日本政府の為替介入の可能性という円高圧力もかかり続けている。ドル円相場は7月14日の安値にあたる1ドル=137.23円から直近の高値まで、約2か月で11円以上の円安ドル高が進んだ。仮に22日の日銀の発表や植田氏の会見がハト派的な内容ととらえられて円安進行に拍車がかかるようであれば、日本政府の緊張感が高まる可能性もある。財務省の神田真人財務官は20日に「あらゆる手段」で適切に対応すると述べている。
また、FRBは政策金利を高止まりさせる方向性を示唆しているが、年内に1度の利上げをこなした後は利下げへと視線が向きそうだ。この場合は日米金利差は年内にピークを迎えるとの見方も成り立ち、いずれはドル円相場を円高方向に動かす局面も想定されそうだ。
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