【ドル円の見通し】日米政策会合にらみ、焦点はパウエル議長と植田総裁の会見、内容次第で荒れた展開も
今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が開かれる。焦点はともに中銀トップの会見にある。内容次第で今週のドル円は上下に大きく振れる展開が予想される。
今年最後のFOMC、注目のパウエル会見、利下げパスの不透明感はドル高要因に
12月17日-18日に今年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。すでに0.25%の利下げが織り込まれている。よって市場参加者の関心は、来年以降の利下げパスに集まるだろう。注目ポイントを以下にまとめた。
・12月のFOMCでは0.25%の利下げが確実視されている。よって焦点は、来年以降の利下げがどのような道筋を辿るのか?にある。この点について市場参加者は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見でそのヒントを探ろうとするだろう
・25年最初のFOMC(1月29日)では、米FRBがいったん利下げを見送る可能性が高まっている。3月FOMCの利下げ確率は現在、56%前後にある。パウエルFRB議長が堅調な労働市場とインフレ再燃を警戒し、今後の利下げについて慎重な姿勢を示す場合は、3月の利下げ期待も後退する可能性がある
利下げの予想確率:来年1月と3月のFOMC
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 12月16日 午前7時時点の予想確率
※マイナス表記:利下げ
・FOMCの参加者による政策金利の予想(ドットプロット)も重要である。9月のドットプロットでは、25年末の予想中央値が3.4%だった。現状、短期金融市場で予想される水準は3.8%台であり、FOMCの参加者が想定する水準よりも高い
米政策金利の予想推移
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 12月16日 午前7時時点
・パウエル会見が”タカ派”よりとなり、25年末のドットプロットが上方修正される場合は、来年の米利下げパスに対する不透明感が高まるだろう。この不透明感の高まりは、米金利の上昇要因になり得る。米金利の上昇は米ドル高の進行を促すだろう。米ドル高は、ドル円(USD/JPY)の上昇を促すだろう
日銀の追加利上げは来年1月か、焦点は植田総裁の会見、投機の円高を警戒
米FOMCの後は、日銀の金融政策決定会合(12月18日-19日)に注目が集まろう。外為市場では追加利上げの見送りの思惑で、すでに円安が進行している。よって、焦点は来年1月の会合で日銀が追加利上げに踏み切るのかどうか?この点にある。注目ポイントを以下にまとめた。
・今週の金融政策決定会合では、追加の利上げが見送られる公算が大きい。外為市場ではすでにこの点が意識され、先週の円相場は対主要通貨で下落した(円安が進行した)
円相場の動向:12月9日~13日の週
ブルームバーグのデータで筆者が作成
・現状、短期金融市場では来年1月24日に開かれる日銀会合での追加利上げの可能性を意識する状況にある。植田和男総裁の会見で1月利上げの可能性が高まるのかどうか?この点が円相場のトレンドを左右するだろう
・厚生労働省が6日に発表した10月の毎月勤労統計調査では、実質賃金が前年同月比で横ばいとなり、3カ月ぶりにマイナスから脱却した。しかし伸びは緩やかである
・個人消費の弱さが続いている。総務省が6日に発表した10月の家計調査によれば、2人以上世帯の消費支出は30万5819円だった。物価の変動を考慮した実質では前年同月比1.3%減少した。マイナスは3カ月連続となった
国内の消費支出:月次 23年以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成
・植田総裁が賃金の上昇と物価の好循環の確度が高まっていること、それによって個人消費の強さも今後増していく見通しを示す場合は、1月の追加利上げ観測が高まることが予想される
・植田総裁の会見で1月利上げの観測が高まる場合は、投機的な円高を警戒したい。特にパウエルFRB議長と植田総裁の会見がともに”タカ派”寄りと市場で捉えられる場合、ドル円(USD/JPY)は上下に大きく振れる荒れた展開が予想される
ドル円、今週の見通しとテクニカルライン
今週のレジスタンスライン
週前半の米経済指標-12月の購買担当者景気指数(PMI)と11月の小売売上高が予想以上となり、かつパウエルFRB議長の会見やドットプロットで来年の利下げパスに対する不透明感が高まる場合、ドル円(USD/JPY)は以下で取り上げているレジスタンスラインの攻防を意識したい。
・日足のモメンタムはドル円の強気相場に勢いがあることを示唆している。MACDはゴールデンクロスへ転じている(日足の黒矢印を参照)。強気地合いを維持し、レジスタンスのラインへ転換する可能性がある154.00を上方ブレイクすれば、11月25日と26日の高値水準のトライを想定したい。先週13日の高値153.80の突破は、154.00をトライするサインと捉えたい
・良好な米経済指標とタカ派のFOMCイベントが重なれば、ドル円はしっかりと154円台へ上昇することが予想される。このケースでは、11月22日の高値水準155.00を視野に上昇幅の拡大を想定したい
・ドル円が155円台へ上昇する場合は、11月20日の高値水準155.88のトライが焦点となろう。この水準の攻防では、156円のトライを見極めることになろう
レジスタンスライン
・155.88:11月20日の高値
・155.00:レジスタンスライン、11月22日の高値
・154.72:11月25日の高値
・154.49:11月26日の高値
・154.00:レジスタンス転換の可能性あり(日足)
今週のサポートライン
一方、ドル円(USD/JPY)の下落局面では、以下で取り上げているサポートラインの攻防に注目したい。特に、植田日銀総裁の会見が円高の要因となる場合は、下落幅の拡大を警戒したい。
・外為市場ではすでに円安が進行し、日銀の利上げ見送りを大方織り込んでいる。この状況で米経済指標やFOMCイベントが米ドル安の要因となれば、ドル円には下押しの圧力が高まるだろう
・今週、ドル円が下落する場合は152円の維持が最初の焦点となろう。21日線が152.30台、200日線が152.05レベルで推移している
・ドル円が152円を下方ブレイクする場合は、151円の維持が焦点に浮上しよう。151.50レベルはサポートラインへの転換を意識する水準である。また、直近高安のフィボナッチ・リトレースメントの61.8%の水準151.05もサポートラインへ転換する可能性がある(いずれも1時間足の黒矢印を参照)
・植田日銀総裁の会見が円高の要因となれば、下落幅の拡大を警戒したい。特に、日銀イベント前に米経済指標で予想を下回る内容が続き、かつパウエル会見が“ハト派“寄りと市場で受け止められる場合は、150円の維持が焦点に浮上する可能性がある。フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準150.40の下方ブレイクは、150.00をトライするサインと捉えたい
サポートライン
・152.30:21日線(日足)
・152.05:200日線(日足)
・151.50:サポートラインへ転換する可能性あり(1時間足)
・151.05:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間足)
・150.40:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(1時間足)
・150.00:サポートライン(1時間足)
ドル円のチャート
日足:24年9月以降
出所:TradingView
1時間足:12月6日以降
出所:TradingView
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