コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

2025年 ドル円の見通し:日米中銀の政策にらみ、米インフレ再燃なら上振れを警戒

2025年のドル円は、日米中銀の政策姿勢と米国のインフレ動向に左右されるだろう。米国でインフレが再燃すればドル円の上振れリスクを警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

この記事の要点

2025年のドル円(USD/JPY)は、24年末比で「米ドル安・円高」に振れると予想する。その主因は日米金融政策の方向性にある。しかし対円で米ドルが下落しても、他の主要通貨では米ドル高となることが予想される。よって、140円を一気に下方ブレイクする可能性は低いと思われる。ベースシナリオの予想レンジは140.00~162.00。
ドル円のボラティリティが拡大する要因として注視したいのが、米国のインフレ再燃である。これがマーケットのメインテーマに浮上する場合は、ドル円の上振れを警戒したい。166.00レベルを一気に突破する場合は、170円を視野に上振れリスクに直面する可能性がある。


米大統領選挙の翌年のドル円は上昇する傾向にある

2024年のドル円(USD/JPY)は本レポート掲載時点で10 %高にある。4年連続の上昇で終えるだろう。2025年はどのような展開となるのか?この点を考えるうえで、まずは米大統領選挙の翌年の動向に注目したい。

下のパフォーマンスチャートを見ると、米大統領選挙の翌年のドル円は上昇する傾向が見られる。特に2001年以降は2017年を除き上昇している。なぜこのような傾向が見られるのか?この疑問を解くヒントが、日米中銀の金融政策姿勢にある。

ドル円 米大統領選挙の翌年の騰落率:1973年以降

ドル円 米大統領選挙の翌年の騰落率:1973年以降

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

2025年は日米中銀の政策にらみの1年に

2001年と2013年
2001年にドル円(USD/JPY)は15.1%上昇した。一方、米ドルの大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)の上昇率は6.56%だった。2013年のドル円は21.4%上昇したが、ドル指数の上昇率はわずか0.33%だった。2001年と13年の上昇をけん引したのは円安だった。その要因となったのが、当時の日銀の政策姿勢だった。
2001年当時の日銀総裁だった速水優氏は、同年2月に公定歩合引とオーバーナイト金利の誘導目標を引下げた。そして同年3月には量的緩和政策を導入した。2013年当時の日銀総裁だった黒田東彦氏は、同年4月に「量的・質的金融緩和」政策を導入した。これら大規模な金融緩和政策が円安の圧力を強めた。

2005年
2005年にドル円は14.7%上昇した。ドル指数は13%近く上昇した。この年は米ドル高がドル円の上昇をけん引した。その主因は、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ政策へ転換したことだった。同時の米FRB議長だったグリーンスパン氏は2004年6月に政策金利を1.00%から1.25%に引き上げ、利上げサイクルは2006年6月まで続いた。政策金利は5.25%まで引き上げられた。日米の金利差が意識され、2000年代前半は円キャリー・トレードが活発化した。

2021年
2021年のドル円は11.5%上昇した。ドル指数の上昇率は6.3%だった。この年から米ドル高と円安が同時に発生する局面に入った。
インフレを抑制するため、米FRBは金融政策を緩和から引き締めへ転じる方針を示し、2021年11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の縮小、いわゆるテーパリングを開始した。そして翌年3月から利上げサイクルが始まった。一方、日銀は金融緩和政策の維持を貫いた。「利上げの米FRB / 緩和維持の日銀」が意識され日米の金利差が拡大し、2022年以降は米ドル高・円安のトレンドが加速した。

ドル円とドル指数 米大統領選挙の翌年の騰落率:1973年以降

ドル円とドル指数 米大統領選挙の翌年の騰落率:1973年以降

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

2025年は利上げの日銀、利下げの米FRBが意識される1年に
2001年以降の日米中銀の政策姿勢とドル円(USD/JPY)の動向を踏まえると、中銀の政策姿勢が大きく影響していることが分かる。
2024年3月会合で日本銀行はマイナス金利の解除、イールドカーブ・コントロールの撤廃など金融政策の枠組みを見直し、同年7月には政策金利を0.25%程度に引き上げることを決定した。2025年も日銀は利上げ政策を進めていくだろう。一方の米FRBは利下げ政策へ転じている。2025年は日米の政策姿勢が逆転する年になる。この状況はドル円の上値を抑制する要因になり得る。

2025年 日米政策金利の予想推移

2025年 日米政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 /2024年12月31日 午前11時時点

米金利と原油価格の動向

トランプ政策の影響を先取り
ドル円(USD/JPY)のトレンドに大きな影響を与えるのが、米債市場の動向である。
今月、米長期金利(10年債利回り)が4.6%台まで上昇する局面が見られた。11月5日の米大統領選挙後の米株高、米ドル高も考えるならば、トランプ政策の影響を先取りした動きと言える。その影響を完全に織り込んでいるわけではないが、すでに4.6%台まで上昇したことを考えるならば、今後の上昇幅は限られる可能性がある。

中国経済の低迷と原油高の抑制
原油先物価格は、米長期金利に大きな影響を与える。2024年は中東情勢が緊迫化した1年だった。また、石油輸出国機構(OPEC)の加盟国とロシアなどの非加盟国で構成するOPECプラスは今月5日、協調減産を2026年末まで延長することを決めた。しかし原油高は抑制されている。中東の地政学リスクによる供給懸念よりも、エネルギー需要減の方を意識した動きと考えることができる。この主因は、中国経済の低迷にあると筆者は考えている。

米長期金利と原油先物価格:2024年の動向

米長期金利と原油先物価格:2024年の動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 米長期金利:10年債利回り

2025年の中国経済は、長引く不動産市場の低迷と米国との貿易摩擦の問題に直面するだろう。国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)そして世界銀行の予想では、2025年の中国の成長率は24年比で減速の見通しにある。「中国経済の低迷→石油需要の減少→原油高の抑制」も米長期金利の上昇圧力が後退する要因となろう。
一方、国内の金利は日銀の利上げが意識され、じわりと上昇することが予想される。そして日米の利回り格差が縮小傾向に向かうことが予想される。この動きもドル円の上昇を抑制する要因となろう。

中国の実質GDP成長率予想

中国の実質GDP成長率予想

各機関とブルームバーグのデータで筆者が作成 / 前年比


2025年 ドル円の見通し

24年末比で米ドル安・円高を予想
24年末が156円~157円付近で終わると想定する場合、2025年のドル円(USD/JPY)は「米ドル安・円高」へ振れると筆者は想定している。その理由と注目のレジスタンスラインを以下にまとめた。

・2025年は「利上げの日銀 / 利下げの米FRB」の1年となろう。日米利回り格差の拡大が一服、または縮小が多く見られるだろう。これらはドル円の上昇を抑制する要因となろう

・日米利回り格差の拡大が抑制される場合、ドル円の上昇幅は限られるだろう。160.00または今年の最高値162.00をトライする可能性は残る。しかし、米金利の上昇幅拡大とそれに伴い日米の利回り格差が持続的に拡大しない限り、162円前後でダブルトップを形成する展開を予想する

下落幅は限定的、140円ブレイクは想定せず
しかし、ドル円が下落してもその幅は限定的となることが予想される。その理由と注目のサポートラインを以下にまとめた。

・第2次トランプ政権は、米国内で製造する企業に対しては15%まで引き下げる方針を示している。これは日本から米国への直接投資を促す要因になり得る。つまり、トランプ減税は中期的に米ドル高・円安の要因になり得る

・トランプ減税は米経済の成長を促す要因にもなり得る。強い経済は米FRBの利下げの影響を相殺し、金利の低下を阻む要因になり得る。ゆえに2025年の米ドルは調整の下落を挟みながらも主要通貨で堅調地合いを維持することが予想される。根強い米ドル買いは、日銀の利上げを意識した円高の影響を相殺しよう

・2025年の下落局面では、150円の維持が重要な焦点の一つとなろう。このラインを目指すサインとして2つの移動平均線-13週線(31日時点で153円台へ上昇)と26週線(31日時点で150円台へ上昇)の攻防に注目したい

・ドル円が150円を下方ブレイクする場合は140.00が視野に入ろう。しかし上で述べた状況を総合的に考えるならば、140円割れの可能性は低いと予想する。このケースでは、サポートラインへ転換する可能性がある148.00レベルの攻防に注目したい

ドル円のチャート:週足 2020年10月以降

ドル円のチャート:週足 2020年10月以降

出所:TradingView

米国のインフレ再燃はドル円の上振れリスクに

2025年のドル円(USD/JPY)は24年末比で「米ドル安・円高」になると予想した。最後にこの予想を覆す要因を述べたい。結論から言えば、それは米国のインフレ再燃である。注目ポイントを以下にまとめた。

・米連邦準備制度理事会(FRB)は2025年に2回の利下げを予想している。しかし、インフレ再燃の可能性が現実味を帯びる場合は、その回数が1回もしくは利下げの停止に追い込まれる可能性も否定できない

・インフレ再燃の要因として注視したいのが、第2次トランプ政権が掲げる関税の強化である。トランプ次期米大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、政権が発足する来年1月20日に中国、メキシコそしてカナダからの輸入品を対象とした関税の大幅な引き上げを行うことを表明した

・インフレ再燃がマーケットの主要なテーマに浮上すれば、米利下げパスの不透明感が高まるだろう。米債市場では長期金利をはじめ各年限の利回りが急上昇することが予想される。このケースでは、日米の利回り格差も急拡大するだろう。日米利回り格差の拡大は、ドル円の上振れリスクにつながろう

・インフレ再燃でドル円が急上昇する場合は162.00レベルを突破し、フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準166.11レベルをトライする展開を想定したい(上の週足を参照)。実際にこのリスクが発生する場合は、その時のドル円の水準にもよるが、166.11レベルをも突破する場合は170円を視野に上昇幅が拡大する可能性が高まろう


本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券のFXトレード

  • 英国No.1 FXプロバイダー*
  • 約100種類の通貨ペアをご用意

* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。