コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

円高環境じわり強まる ハト派日銀YCC修正 米欧は利上げ停止視野

日銀YCC修正の事前報道から植田総裁会見を経て円相場は大きく揺れた。欧米利上げ停止が近づく中、円高環境は強まっている。

出所:ブルームバーグ

日米欧の金融政策変更を経て、外国為替市場で円高環境がじわりと強まっている。日本銀行がイールド・カーブ・コントロール(YCC)の修正を決めた28日の外国為替市場では対ドル、対ユーロともに円安が進行。本来であればYCC修正は日本の金利高を連想させる円高要因だが、植田和男総裁が記者会見で日本経済の健全化の確度を慎重にみる「ハト派」の姿勢をみせたことから、一時は買われた円が売り戻された形だ。しかし米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は利上げ停止を視野にいれており、円が買われやすい状況は深まっている。日米欧の物価上昇や経済成長の先行きは不確かとはいえ、日本と海外の金利差がさらに拡大する筋書きは立てにくくなっており、これまでの円安基調に潮目の変化が出る可能性もありそうだ。

YCC修正でドル円とユーロ円は荒い値動きに

金融情報会社リフィニティブによると、28日のニューヨーク市場のドル円相場(USD/JPY )は1ドル=141.15円で取引を終えた。前日終値比では1.71円の円安ドル高だ。ただし一時は138.05ドルをつけたこともあり、1日の値幅が3円を超える荒い値動きだった。またユーロ円相場(EUR/JPY)も4円超幅の値動きの末、終値は1ユーロ=155.48円となり、前日比2.38円の円安ユーロ高が進んだ。

為替相場を動かしたのは日銀のYCC修正をめぐる解釈の揺れだ。日銀は28日までの金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の柱であるYCCの柔軟化を決定。長期金利(10年物国債の利回り)を0%程度で推移させるという基本的な目標を維持しつつ、これまで設定していた「±0.5%の変動幅」を「目途」としての位置づけに変更した。さらに長期金利が1%を超えることがないよう、市場での国債買い付けを行うことも打ち出した。日銀が金利上昇をこれまで以上に許容する形だ。

一方、日銀の植田和男総裁は記者会見で、物価上昇率が賃上げを伴いながら2%を安定的に上回る状態までは「まだ距離がある」との立場を強調。YCCの修正の理由として、将来的に物価上昇期待の高まりなどから長期金利が上がった場合に日銀が0.5%の変動幅にこだわって国債を買い入れると、金融市場のゆがみを大きくしてしまう点を挙げた。このところの長期金利は0.5%未満で安定しており、YCCを修正しても市場が急変しにくい「ちょうどいいタイミング」だという。植田氏のハト派的な姿勢は変わっていないことが明らかになり、ドル円相場では円が売り戻された。

こうした日銀の決定をめぐっては、日本経済新聞が28日午前2時(ニューヨーク時間の27日午後1時)に「日銀、金利操作を柔軟運用 上限0.5%超え容認案」と報じていた。直前のドル円相場の水準は141円台前半で、ニューヨーク市場の28日の終値とほぼ同じ水準だった。結果としてYCC修正はドル円相場に大きな影響を与えなかったといえる。

ドル円相場の動きと主な出来事

日銀がハト派維持でも欧米の利上げ停止姿勢が円高要因

しかし日銀のハト派ぶりが明らかになっても円高進行の可能性が消えるわけではない。米欧の中央銀行が利上げを打ち止めにする姿勢をみせており、ドル安やユーロ安が進むとの思惑が結果として円高につながるシナリオが考えられるためだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は25、26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で2会合ぶりの0.25%の利上げを決めたが、ジェローム・パウエル議長は会見で、「事態の進展を見極めるだけの余裕がある」と述べ、改めて利上げを見送る可能性を示唆した。米国の金利の先高観を緩ませる、円高ドル安材料といえる発言内容だ。米国は4-6月期の成長率が前期比年率2.4%と好調だったうえ、28日に発表された6月の個人消費支出(PCE)物価指数も食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が前年同月比4.1%まで低下しており、パウエル氏の余裕を裏付けている。

米国のPCE物価指数の伸び率の推移(月次、四半期)


また、欧州中央銀行(ECB)も27日の理事会で0.25%の利上げを決めた。利上げは2022年7月から9会合連続で、政策金利の下限にあたる中銀預金金利は3.75%に達した。ただしクリスティーヌ・ラガルド総裁は次回(9月)の理事会について「利上げもあり得るし、見送りもあり得る」と言及。ラガルド氏は前回(6月)の会見では7月の利上げは「十分にあり得る」と述べていただけに、利上げ停止へトーンを変えた形だ。やはり円高ユーロ安材料といえる。ラガルド氏は利上げ見送りを視野に入れる理由について、これまでの利上げが経済に及ぼす効果を見極めたいと説明したが、ユーロ圏は1-3月期の成長率が横ばいとなっており、利上げが景気を冷やしすぎてしまうリスクも念頭にあるだろう。

日米欧の経済状況はそれぞれ異なり、先行きについても不確実な要素が多い。ただ、これまで利上げに動かなかった日銀は大規模金融緩和の転換に意識を向けているのに対し、1年超の利上げを続けてきたFRBやECBが利上げ停止を視野に入れていることは確かだろう。これまで拡大する一方だった日本と海外の金利差の動きが反転すれば、外国為替市場をめぐる基調も変わることになりそうだ。


本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券のFXトレード

  • 英国No.1 FXプロバイダー*
  • 約100種類の通貨ペアをご用意

* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。