PCE物価は大幅に減速か 米利上げ終局模様 S&P500上昇も
27、28日の米PCE物価統計は伸び率が大幅低下の予想。米FRBの追加利上げの必要性が薄れ、株価上昇の可能性も。
米国で27日と28日に発表される個人消費支出(PCE)物価関連の統計は、食品をエネルギーを除いたコア指数の伸び率が大きく低下する見通しだ。予想通りになれば米国の物価上昇の落ち着きが確認される形となる。米連邦準備制度理事会(FRB)は26日に0.25%の利上げを決めたが、物価上昇率が下がれば追加利上げの可能性は薄らぐ。この場合はS&P500種株価指数などの主要な株価指数に上昇圧力がかかることも想定されそうだ。
PCE物価指数の4-6月期の伸び率は4.0%予想
米国で27日午前8時30分(日本時間27日午後9時30分)に発表される2023年4-6月期のGDP統計(速報値)では、PCE物価指数の伸び率が注目点のひとつだ。ロイター通信のエコノミスト調査によると、4-6月期のコア指数の伸び率は前期比年率4.0%になる見通しで、1-3月の4.9%(確定値)から大きく低下すると予想されている。
また28日午前8時30分(日本時間28日午後9時30分)には6月のPCE物価指数が発表される。エコノミスト調査によるコア指数の伸び率の予想は前年同月比4.2%。伸び率は2022年11月から2023年5月まで7か月連続で4.7%前後の水準で推移してきただけに、6月の数字で物価上昇の潮目の変化が確認される可能性がある。米国の物価をめぐっては、6月の消費者物価指数(CPI)でも、コア指数の伸び率が4.8%となり、1年7か月ぶりに5%を割り込んだ。
FRBは物価動向の指標としてPCE物価指数を重視しており、27、28日の発表が予想通りになればFRBにとっては朗報だ。FRBは25、26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で6月以来2会合ぶりとなる0.25%の利上げを決定。政策金利を5.25-5.50%に設定した。ジェローム・パウエル議長は記者会見で「物価上昇率は長期的な目標である2%を大きく上回っている」と利上げの理由を説明。一方、2022年3月から始まった利上げサイクルの中で政策金利が高水準になっていることを踏まえ、「物価上昇率を下げる決意を保ちつつも、少し慎重になって、事態の進展を見極めるだけの余裕がある」とも述べた。経済指標の出方次第で、改めて利上げを見送る可能性を示唆した形だ。
米FRBの利上げの可能性が下がれば株価に上昇圧力も
ただし米国の物価上昇がこのまま2%に向かうかどうかには不安もある。7日に発表された6月の雇用統計は非農業部門の就業者数が事前予想を下回ったものの、平均時給の伸び率は高く、物価上昇圧力のくすぶりを感じさせる。また、20日に発表された中古住宅関連の統計では販売件数が5月から低下する一方、平均販売価格の下落率は前年同月比0.9%となり、5月(3.0%)よりも縮まった。住宅価格の下落が進まなければ、家賃などの低下も抑えられ、物価を下支えする形になる。
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