米国株反発は続くか? 11月のS&P500大幅高 物価減速好材料
S&P500の11月の上昇率は約9%。金利低下が追い風だが、FRBの利下げ時期は不透明で、12月には不安も。
11月のアメリカの株式市場は大幅な上昇を記録した。S&P500種株価指数の伸び率は8.92%で、1年4か月ぶりの大きさ。株式市場での安心材料となっていた物価上昇の減速は30日発表の個人消費支出(PCE)物価指数でも確認され、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後は利下げに向かっていくとの観測が広がっている。ただし30日にはFRB幹部から政策金利を高止まりさせる方向性を示し、長期金利(10年物米国債利回り)は上昇。S&P500は年初来高値に届かずに終わった。12月も勢いを持続できるかどうかには不安も残っているといえそうだ。
11月のS&P500は8.92%上昇
S&P500(SPX)の30日の終値は4567.80。月次での騰落率がプラスになるのは4か月ぶりで、8.92%という上昇率は2022年7月(9.11%)以来の大きさだ。また11月の上昇率は、ハイテク株の割合が多いナスダック総合指数では10.70%、ダウ工業株30種平均(DJI)では8.77%となり、いずれも4か月ぶりのプラスとなった。ダウ平均の終値は3万5950.89ドルで、8月1日につけた年初来高値を更新した。
アメリカのPCE物価の上昇は減速
米国の株式市場の追い風となっているのは、米国経済の懸案となってきた物価上昇が沈静化していることだ。30日発表のPCE物価指数では、総合指数の伸び率が前年同月比3.0%となり、2021年3月(2.7%)以来の低さ。また、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.5%で、こちらは2021年4月(3.2%)以来の低水準だった。伸び率はいずれも市場予想通りの結果で、株式市場にとっては安心材料となったようだ。
こうした物価情勢の改善を受けて、金融市場ではFRBが今後は利下げに向かうとの見方が優勢だ。CMEグループのデータによると、FRBが来年春にも利下げを決断するとの見方が強まっている。また、長期金利はこのところ4.2%台での取引も出るなど、10月下旬に5%台をつけた状況から様変わりした。
ニューヨーク連銀総裁は政策金利高止まりを示唆
ただし11月は絶好調といえた株式市場の動きを30日に限ってみればさほどの勢いは感じられない。ナスダック総合指数は前日比0.23%安という冴えない結果。S&P500は0.38%高だったものの、7月31日につけた年初来高値(4588.96)の更新には至らなかった。
30日の株式市場の重石となったのはFRB幹部の発言だ。ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は講演で、需要と供給のバランスを取り戻し、物価上昇率を2%に保つには、「金融引き締めをしばらく維持することが適切だ」と述べた。現状の政策金利の水準を維持することに軸足を置いた発言といえ、金融市場での利下げ前倒し期待を縮小させたようだ。30日のニューヨーク債券市場の長期金利の終値は4.350%で、前日よりも0.079%ポイント上がっている。
S&P500の月別の騰落率を2000年以降の平均値でみると12月は0.6%となる。11月は12の月の中で最も高い2.1%を記録している特異月だっただけに、12月も勢いが続くかどうかで株式相場の底力が試されそうだ。
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