米国株、重い足取り S&P500の見通し晴れず 中小型株は下落
アメリカのS&P500は最高値をなんとか更新。ただ、中小型株が下落するなど株式市場の勢いは弱い。経済の先行き不透明感がムードを暗くしている。
アメリカの株式市場の上昇が勢いづかない。S&P500種株価指数の23日の終値は前週末比で0.28%高。最高値をわずかに更新したものの、中小型株は下落した。大手ハイテク株では電気自動車(EV)大手テスラの上昇が目立ったが、株式市場の見通しを明るくするには至っていない。23日の米連邦準備制度理事会(FRB)の高官の発言からは労働市場をめぐる不安の根強さも感じられ、株式市場の方向感が出にくい状況が続いている。今後の労働市場や物価をめぐる経済指標で、S&P500が上下に揺れることが考えられそうだ。
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アメリカのS&P500は最高値を小幅更新
S&P500(SPX)の23日の終値は前週末比0.28%高の5718.57。19日につけたこれまでの最高値(5713.64)を超えたものの、わずか5ポイント程度の超過に留まり、勢いに欠けている。FRBが18日に4年半ぶりの利下げを決めたにも関わらず、金利の低下が進んでいないことが重荷になっているようだ。LSEGによると、長期金利の23日のニューヨーク市場の終値は3.738%で、16日につけた3.621%を底とした上昇傾向が感じられる。
中小型株は下落 大手ハイテク株も勢いづかず
株価の冴えない値動きは中小型株でより鮮明だ。中小型株の代表的な指標であるラッセル2000(RUT)の23日の終値は前週末比0.34%安の2220.28。20日の1.10%安に続き、2営業日続落となった。7月16日につけた直近の高値(2263.67)を超えられておらず、FRBの利下げで長期金利が下がり、中小型株の追い風になるとの見通しが崩れている。
一方、S&P500を牽引してきた大手ハイテク株の値動きをみると、テスラの株価(TSLA)は23日の終値が前週末比4.93%高となった。ただしアルファベットの株価は1.06%安となり、連騰記録は8営業日でストップ。アップルも2日続落の0.76%安となるなど、大手ハイテク株全体が勢いづているわけではない。
労働市場の見通しに不透明感 失業保険申請件数に注目
株価の上昇が加速しない背景には、米国経済の見通しが引き続き不透明なことがある。アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁は23日の講演で物価上昇率の低下が想定以上に進んでいることを18日の利下げの理由として挙げ、労働市場の状況についても「まだ赤信号はついていない」と説明。そのうえで、来月以降、労働市場で重大な弱まりが示されれば、「どれだけ積極的に金融政策を調整する必要があるかに関する判断が変わることになる」と述べた。
こうした中、米国の株式市場では雇用関連の経済指標への注目が続きそうだ。米労働省が26日午前8時30分(日本時間26日午後9時30分)に発表する15-21日週の新規失業保険申請件数は、ロイターがまとめた予想によると、22.5万件になる見通し。市場予想を大きく下回った前週の21.9万件から増加すると見込まれている。仮に実際の結果が予想よりもさらに上振れれば、労働市場への不安が再燃し、S&P500に下落圧力がかかると想定される。
また27日に発表される8月の個人消費支出(PCE)物価指数も今後のFRBの金融政策の見通しを占う注目点だ。FRBの想定通りに物価上昇率の低下が進んでいれば、利下げペースが高まるとの期待が広がり、S&P500にとっての追い風になる可能性も考えられる。
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