米国株に9月の波乱? S&P500下落不安 大統領選も見通しに影
アメリカの9月の株式市場は下落しやすい。長期的にみても直近4年間でも9月は不振で、2024年も投資家心理が冷える可能性がある。
アメリカの株式市場にとって9月は波乱の月になるおそれがある。S&P500種株価指数の過去の月次騰落率をみると、9月は12の月の中で最悪の下落率。なかでも大統領選挙がある年はさらに成績が下がる傾向があり、投資家心理が冷えやすくなるという経験則がある。一方、2024年のS&P500は4月をのぞく全ての月で値上がり。8月末の終値は1か月半ぶりの最高値更新をうかがう位置にある。しかし今後は8月雇用統計をはじめとする重要日程が目白押しで、S&P500の見通しが悪くなる可能性もありそうだ。
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アメリカのS&P500は9月は平均1.7%下落
S&P500(SPX)の月別騰落率を2000年以降の平均値でみると、12の月のうちマイナスとなっているのは1月、2月、6月、9月の4つに限られる。このうち9月の平均騰落率はマイナス1.7%で、下落率が0.5%以下にとどまる他の3つの月よりも大幅に悪い成績だ。しかも2020年以降の直近の4年間は9月の騰落率がマイナス9.34%からマイナス3.92%の間に散らばっており、投資家にとっては嫌なデータといえる。
大統領選挙の年は9月と10月の下落率が拡大
またS&P500の9月の成績は、アメリカで大統領選がある年はさらに悪くなる。2000年以降で大統領選があった6つの年の9月はS&P500が平均で2.52%下落。大統領選年は10月も平均3.79%下落という不振ぶりで、11月の選挙後に経済政策の見通しが大きく変わる可能性が投資家の慎重姿勢を強めさせているとも考えられる。
一方、2024年のS&P500は順調な値上がりを続けてきた。8月までの8つの月のうち、S&P500が下落したのは、物価上昇の根強さが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しを弱めるなどした4月の4.16%安のみ。共和党の大統領候補となっているドナルド・トランプ前大統領の台湾防衛をめぐる発言などが株価を揺らした7月も月前半の値上がりの効果で1.13%高を確保。円高進行がキャリートレードの巻き戻しを招いた8月も、中旬以降は上昇基調となって2.28%高で終わった。30日の終値は5648.40で、7月16日の最高値(5667.20)まであと0.33%の水準だ。
雇用統計や大統領選討論会でS&P500の見通しが変化か
ただし2024年の9月も波乱が起こるおそれは拭えない。足元の米国経済は物価上昇の過熱感が薄れる一方で、労働市場の悪化への懸念が強まる状況。6日発表の8月雇用統計や11日発表の8月消費者物価指数(CPI)が、物価上昇鎮静化と経済の好調さを両立するソフトランディング(軟着陸)の見通しを暗くすれば、S&P500には下押し圧力がかかる。
また大統領選をめぐっては10日にトランプ氏と民主党候補のカマラ・ハリス副大統領との討論会が予定され、両者の勢いや経済政策の見通しをめぐる変化が株式市場を揺らす可能性がある。さらに17、18日には米連邦準備制度理事会(FOMC)が開かれ、FRBの今後の利下げペースに関する思惑が変われば、S&P500にも影響が出そうだ。
こうした重要イベントは経済に良好な影響を及ぼすと判断されれば、S&P500の見通しを明るくすることも想定される。とはいえ9月の波乱のジンクスは2024年も投資家心理を重くする方向を示唆していそうだ。
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