米国株の復活なるか 6日雇用統計 S&P500上昇の見通しも
アメリカ株式市場の見通しを占う8月雇用統計が6日に発表される。最近の経済指標には悪い内容も目立ち、S&P500は続落している。
アメリカの株式市場に復活の機会が訪れている。S&P500種株価指数の重荷となってきた労働市場をめぐる悪いムードが6日発表の8月雇用統計で解消される可能性があるからだ。市場予想では失業率の改善などが見込まれており、予想通りになれば前月の悪い結果が一過性のものだったとみなされる可能性がある。しかし4日に発表された7月の求人件数は市場予想を下回る悪い結果。S&P500は前日の大幅安とあわせて2日続落となった。8月雇用統計への期待が裏目に出れば、株式市場の今後の見通しがさらに悪くなるおそれもある。
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アメリカの8月雇用統計は失業率が4.2%に改善する見通し
米労働省は6日午前8時30分(日本時間6日午後9時30分)に8月雇用統計を発表する。ロイターがまとめた事前予想では、非農業部門の就業者数は前月比16.0万人増となり、7月の11.4万人増から伸びが戻る見通し。また、失業率は4.2%となり、7月の4.3%から改善するとみられている。さらに、平均時給の伸び率は前年同月比3.7%となり、7月から伸びが高まるとの予想だ。
雇用統計は8月2日に発表された7月分のデータで失業率が2年9か月ぶりの高さだったことなどが悪材料視された。2日のS&P500(SPX)は前日比で1.84%安。週明け5日は雇用統計を機に加速した円高がキャリートレードの巻き戻しを引き起こし、S&P500は3.00%安となった。今回の8月雇用統計に関する見通しはいずれも7月からの改善を示す内容で、予想通りになれば株式市場をめぐる悪いムードが払拭され、S&P500には上昇圧力がかかると想定される。
7月の求人件数は市場予想を下回る悪さ
ただしアメリカ経済をめぐっては悪いデータも目立つ。3日に発表された製造業の景況感指数は予想を下回り、S&P500は3連休前の前週末比2.12%安。また、4日に労働省が発表した7月の雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が767.3万件となり、市場予想の810万件を下回った。また自発的な離職率は2.1%となり、6月よりは高くなったが、低下傾向が続いている。自発的な離職率の低さは、労働者が次の仕事を見つけられる自信の少なさとみなされる。
S&P500は最高値から後退 長期金利低下でも浮上せず
こうした中で、8月雇用統計が予想よりも下振れすれば、S&P500の見通しが一気に悪くなることも考えられそうだ。S&P500は8月30日の終値で、7月16日につけた最高値(5667.20)まであと0.33%に迫っていたが、3日と4日の続落で大きく後退した。一方、労働市場への懸念は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しを強め、長期金利(10年物米国債利回り)は4日のニューヨーク市場の終値で3.768%まで低下している。2023年7月19日(3.742%)以来の低さだが、米国経済への懸念が要因とあってS&P500を押し上げる材料にはなっていない。
米国の労働市場に関しては、5日午前8時30分(日本時間5日午後9時30分)にも、週次の新規失業保険申請件数が発表される。市場予想では23.0万件になる見通しだが、結果が大きく上振れることがあれば、雇用統計の悪化を連想させ、S&P500に下押し圧力が働きそうだ。
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