米国株の危機感強まる S&P500週次4%下落 雇用の見通し晴れず
S&P500は週次で1年7か月ぶりの大幅下落。株価は8月雇用統計に悲観的な反応を示しており、週明けの値動きにも不安がある。
アメリカの株式市場に危機感が高まってきた。S&P500種株価指数の6日の終値は1週間前比で4%超の下落。地銀の経営破綻が市場を揺らした2023年3月以来の大きな値下がりとなった。6日に発表された8月の雇用統計は良いデータと悪いデータが入り混じった結果だったが、株式市場は急落しており、投資家心理の悪化が週明け以降の見通しを暗くしている。今後は、米連邦準備制度理事会(FRB)が17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに着手することが確実視される中、利下げ幅をめぐる思惑でS&P500が揺れ動くことも考えられそうだ。
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アメリカのS&P500は週次4.25%安 地銀破綻時以来の大きさ
S&P500(SPX)の6日の終値は前日比1.73%安の5408.42。レイバー・デイの休日明けだった3日以降、4日連続での値下がりとなった。1週間での下落率は4.25%で、シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻が起きた2023年3月6-10日週(4.55%安)以来の悪い記録だ。
注目が集まっていた6日発表の8月雇用統計は硬軟入り混じった結果だった。非農業部門の就業者数は前月比14.2万人増となり、ロイターがまとめた市場予想の16.0万人を下回る結果。6月と7月の就業者数の増加幅も合計8.6万人下方修正されており、労働市場の見通しは晴れないままだ。一方、悪化が懸念されていた失業率は市場予想通りの4.2%で、前月の4.3%から改善。平均時給の伸び率も前年同月比3.8%となり、市場予想(3.7%)を上回った。
大手ハイテク株と半導体株がそろって大幅に下落
ただ、こうした結果を6日の株式市場は悲観的に受け止めたようだ。S&P500の上昇を引っ張ってきた大手ハイテク株では、前日に急上昇していた電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)が前日比8.45%安の急落。半導体大手のNVIDIA(エヌビディア、NVDA)も4.09%安となるなど、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7社の株価がそろって下落した。
VIX指数が急上昇 9日以降のS&P500の見通しに暗雲か
投資家の株価の見通しに対する不安は、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きにも表れている。シカゴ・オプション取引所によると、6日のVIX指数の終値は22.38で、8月8日(23.79)以来の高さだ。労働市場への不安を一気に高めた前回7月の雇用統計発表に際しては、発表当日の2日にVIX指数が23.39まで上がった後、週明けの5日に38.57まで急上昇。これと同時に、S&P500は2日が前日比1.84%安、5日が3.00%安と大幅な値下がりとなった。今回の8月雇用統計を受けた6日の金融市場の反応は、週明け以降のS&P500の値動きへの警戒感を強めそうだ。
FRBの利下げ幅は0.25%が優勢 投資家心理揺れる
一方、6日の金融市場ではFRBの利下げ見通しは強まらなかった。CMEグループのデータによると、17、18日のFOMCで利下げ幅が0.5%となることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間7日午前の段階で30%。前日の40%からは低下している。FRBの利下げに関する見通しは、11日に発表される8月の消費者物価指数(CPI)でも動く可能性がある。
9月FOMCでの利下げ幅が0.5%となった場合、FRBの労働市場悪化への警戒が感じられ、投資家心理をさらに冷やす可能性がある。また0.25%幅だった場合でも、8月雇用統計の就業者数の伸びの鈍化が、S&P500の今後の見通しに対する重荷となりそうだ。
ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は6日のニューヨークでの講演で9月FOMCでの利下げを支持する一方、利下げ幅については言及を避けた。また労働市場については「労働市場はほぼバランスが取れた状態にある」としつつ、「物価上昇鎮静化の過程はいつもスムーズに進むわけではなく、上下両方向でのサプライズが起こりえる」と述べている。
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