米銀破綻でFRB利上げ見送り観測拡大 株価は小幅安 金融危機時の展開は?
SVBの経営破綻でFRBは利上げが難しくなった。13日の株価は小幅安だったが、リーマン・ショック時の経緯をふまえれば予断は許さない。
米国での相次ぐ銀行の経営破綻を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が21、22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ自体を見送るとの観測が広がっている。米CMEグループのデータによると、投資家が予想する利上げ見送りの確率は35%で、10日時点での0%から高まっている。一方、13日の米株式市場での株価下落は小幅だった。金利の先高観の和らぎなどが好感されているようだが、2009年のリーマン・ショック時は株価の下落幅が時間とともに拡大していった経緯もあり、先行きは見通せない状況だ。
利上げ加速観測はなくなる
CMEグループはFRBの政策金利の将来の水準に関する投資家の予想に左右される金融先物商品の売買価格に基づいて、FOMCでの利上げ幅の確率を公表している。日本時間の14日午前8時37分現在、利上げ見送りの確率は35%。2月の利上げ幅と同じ0.25%幅の確率は65%だった。10日までは利上げ幅が0.5%に拡大するとの見通しもあったが、現在は投資家のシナリオから外れているようだ。
一方、米国の13日の金融市場では株式が売られ、米国債が買われる展開となった。S&P500種株価指数は10日終値比0.2%の下落、ダウ工業株30種平均は0.3%安だった。ナスダック総合指数は0.5%上昇した。これに対して2年物や10年物の米国債には買いが集まり、利回りは下落した。
今回の市場の混乱は10日のシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻がきっかけ。12日にはニューヨークのシグネチャーバンクも経営破綻し、金融システムの健全性への不安が広がっている。一方、米当局が金融機関への支援策を打ち出していることや、FRBが利上げに動きにくくなり金利の先高観が和らいでいることが、株価にとって好材料になっているとみられる。
リーマン・ショック時は株価が半年で46%下落
2008年9月のリーマン・ショック時は、ショック当日(15日)のS&P500種は4.7%下落。2日後の17日にはショック直前からの下落率が7.6%に達した。ショックから11日後の26日まではほぼ3%から5%台の下落率だったが、2週間後の29日には下落率が11.6%に拡大。ショックから約半年後の2009年3月9日には下落率は46.0%に達した。
今回のSVBの破綻を契機とした混乱がリーマン・ショック並みの大きさになるかどうかは不透明だ。金融市場の反応は今後の米当局の対応や、金融システムにおける問題が拡大していくかどうかに影響されそうだ。
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