米銀行の株価戻らず SVB問題1か月 バンカメなど大手でも15%超下落
米国の金融株が金融システム不安前の水準に戻っていない。バンカメなど大手銀行も15%超下落しており、投資家の懸念は根強い。
経営破綻した米シリコンバレーバンク(SVB)の問題表面化から約1か月が経つなか、米国の株式市場で金融株が値を戻せずにいる。S&P500種株価指数の金融セクター指数はSVBが巨額損失を発表する直前から約9%下落したまま。S&P500が全体としては3%上昇の水準に回復していることを考えれば、金融株の落ち込みは深刻だ。経営不安が広がった銀行を救済する側に回った大手金融グループでも15%超の株価下落に見舞われているケースがあり、投資家の間の不安心理は根強く残っている。
金融セクター指数は9%安
金融セクター指数は4日、前日終値比約1%安の530.93で取引を終えた。SVBが保有資産売却に際して巨額の損失が出たと発表する前日(3月7日)の終値からの下落率は8.8%だ。金融セクター指数はSVBの経営破綻やスイス金融大手のクレディ・スイス・グループが救済されるといった事態を経て、24日までの下落率が11.4%に達していた。4日の終値は金融システムへの不安が最悪期は脱したものの、消え去ってはないことを示している。
一方、S&P500種は全体としては値を戻している。4日の終値(4100.60)は3月7日終値比で2.9%高。一時は金融セクターに足を引っ張られる形で下落率が3.3%安に達したが、すでに投資家の安心を取り戻した形だ。この間はマイクロソフトが13.0%高、アップルが9.3%高になるなど、テクノロジー株が大きく値を伸ばしている。
金融セクター指数の下落はSVBのような中規模金融機関の株価下落だけが引き起こしているわけではない。大手銀行ウェルズ・ファーゴの4日の終値は3月7日終値比で17.2%安。バンク・オブ・アメリカは15.2%安となっている。このほかJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループ、シティグループ、モルガン・スタンレーといった名だたる米金融機関の株価が大幅下落している。いずれもSVB経営破綻後に預金流出に見舞われたファースト・リパブリック銀行への救済策に参加しており、経営面では十分な体力があるとみられているが、株価下落には抗し切れていない。
金融株への不振の背景には2008年9月のリーマン・ショック時の記憶がある。投資銀行大手リーマン・ブラザーズの破綻の原因となった住宅ローン関連の損失は他の金融機関でも生じる可能性があるとの不信感が金融システム全体を機能不全に陥らせ、数多くの大手金融グループが政府からの資金を受け入れるなどして救済される事態に至った。
「リーマン・ショックとは全く異なる」
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは4日に公開した株主あての書簡の中で、SVB経営破綻で始まった金融システムへの不安について「2008年の世界金融危機(リーマン・ショック)とは全く異なる」と強調。リーマン・ショック時は世界中の金融機関が問題をはらんだ住宅ローン関連債権について誤った認識をもっていたが、今回はより少ない金融機関における問題だと説明した。一方で、「現在の危機はまだ終わっていない。たとえ過去のものになった場合でも数年にわたる後遺症が出る」とも言及し、「米国民の銀行に対する信頼を損なう危機はいかなるものであってもすべての銀行にとってダメージとなる」としている。
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