【IG米国株レポート】 ナスダック100指数、調整の反落局面では押し目買いを狙いたい
先週開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)を無難にこなした今週の米国株は、調整の反落を想定しながらも、下値では押し目買いを狙う状況が続くと予想する。そう考える理由は?ナスダック100指数の押し目買いのポイントは?詳細はIG米国株レポートをご覧ください。
サマリー
・“タカ派のFOMC”に対して短期金融市場と米債市場は冷静な反応を見せている
・6月に入り景気敏感株に買いが入り株高の土台が広がっている
・エヌビディアやメタなど”AIテーマ”に絡んだ主力株の買いも続いている
・主要株価指数の騰落株線も上昇相場の強さを示唆している
・ナスダック100指数の押し目買いのポイントについて
“タカ派のFOMC”に冷静な反応
先週の13-14日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)で、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はインフレ抑制重視のスタンスを維持した。そして、今後の情勢次第で「幾分」かの利上げの必要性に言及した。
四半期に一度の頻度で更新されるトッドチャート(FOMCメンバーの政策金利予想)は、今後の米利上げ政策を考える上で重要な指標のひとつだが、今回公表された最新の予想では、23年末に予想されるターミナルレートが3月時点の5.1%から5.6%へ上方修正された。0.25%の利上げをベースシナリオと想定する場合、年内にあと2回の利上げが示唆されたことになる。
しかし、短期金融市場の予想ターミナルレートは5.3%付近で推移している。この状況が意味することは、パウエルFRBほど市場が抱くインフレリスクに対する警戒レベルは高くなく、ゆえに利上げが再開されてもあと1回で終わる可能性を強く意識しているということである。
政策金利の予想推移
一方、米債市場だが、“タカ派のFOMC”を受けても利回りが急上昇する状況は見られず、ここまではいたって冷静な反応を示している。
金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは、5月以降の反発基調を維持はしている。しかし、現状4.8%付近で上昇が止められている。高止まりはしているが、急変動する局面は今のところ見られないという状況にある。
“タカ派のFOMC”に対して短期金融市場でも米債市場でも大きな変動が見られない状況は、米国株にとってポジティブな要因である。
米2年債利回りのチャート
主力銘柄に再び買いの圧力が高まる
先週のセクター別パフォーマンスを確認すると、エネルギーセクターこそ下落したものの(赤バーチャートを参照)、前週に続きその他の景気敏感セクターの買いが続いた。
S&P500指数のセクター別パフォーマンス
上のパフォーマンスチャートで注目したいのは、再び情報技術(Information Tech)のセクターに買いが入ったことである。米金利が高止まりしても一部の主力株が再び買われた状況は、AIをテーマとした強気相場の強さを示唆している。
事実、S&P500種株価指数(SPX、以下S&P500指数)やナスダック100指数(NDX)の上昇をけん引しているエヌビディア(NVDA)は、調整の反落をこなし年初来の上昇率が192%へ到達した。一方、メタ(META)とテスラ(TSLA)もエヌビディアの上昇に追随するトレンドにある。
ナスダック100指数と主力株のパフォーマンスチャート
上昇基調を維持する騰落株線
そして株価指数の騰落株線も、現在の上昇相場が続く可能性を示唆している。ニューヨーク市場の時価総額の約75%をカバーしているS&P500指数(SPX)の騰落株線のトレンドを確認すると、6月に入り上昇幅が拡大していることが分かる。この状況はナスダック100指数(NDX)も同じである(下チャート緑ゾーンを参照)。
これら騰落株線の動きは、一部の主力株の上昇に頼っていた5月までの株高と現在の株高では、その土台の大きさに違いが生じていることを示唆している。
騰落株線のチャート
ナスダック100指数の見通しと取引戦略
今週も上値トライを想定、反落局面では押し目買いを狙いたい
“タカ派のFOMC”に対して短期金融市場と米債市場が冷静な反応を示していること、景気敏感株に買いが広がると同時にAI絡みの主力株の買いも続いている状況、そして上昇基調にある騰落株線のトレンドを総合的に考えるならば、今週の米国株は引き続き上値を試す展開が予想される。ゆえに反落の局面では、押し目買いを狙いたい。
ナスダック100指数の売買ポイント
株価指数の取引で注目したいのが、ナスダック100指数(NDX)である。
週足チャートで直近のトレンドを確認すると、21年11月の高値16,764レベルと22年10月の安値10,440レベルのフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準15,272レベルをトライする状況にある。先週16日の市場ではこのテクニカルポイントを一時ブレイクする局面が見られた。
AIをテーマに短期間で上昇幅が拡大した状況や昨年3月の下旬に76.4%レベルがレジスタンスとして意識された経緯を考えるならば、今週のナスダック100指数は反落相場を想定しておきたい。
ナスダック100指数のチャート:週足
だが、上で述べたとおり現在の米国株は株高の土台が広がる状況にある。騰落株線の上昇トレンドも考えるならば、反落局面では押し目買いを狙いたい。
その水準の候補として注目したいのが節目の15,000レベル、"サポート転換" が確認された14,795レベル、そして14,610レベルである。前者の14,795レベルのすぐ下には10日MA(16日現在14,740レベル)が上昇している。この移動平均線を維持する場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
逆にナスダック100指数が10日MAを下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準14,610レベルの攻防となるか?この点に注目したい。14,795レベルと同じくこの水準でも ”サポート転換” が確認されている。
ナスダック100指数が38.2%の水準をも下方ブレイクする場合は、14,400レベルまでの反落を警戒しておきたい。このケースでは、直近高安の半値戻し14,402レベルの攻防に注目したい。16日現在、20日MAが14,407レベルまで上昇し半値戻しと交錯する状況にある。
ナスダック100指数の反落が限定的、もしくは反落することなく上昇する場合は、上で述べたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準15,272レベルの突破とこの水準の ”サポート転換” を確認したい。この状況が確認される場合は、さらなる上値トライを想定したトレンドフォローの買いを考えたい。
ナスダック100指数のチャート:日足
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