【米国株 ウィークリーレポート】 株高トレンドの維持はFOMC、雇用統計、アップルの決算次第
米国の主要な株価指数は高値圏での攻防を維持している。株高ムードがさらに高まるかどうか?今週、その鍵を握るのは連邦公開市場委員会(FOMC)、4月の雇用統計、そしてアップルの第2四半期決算となろう。それぞれの内容次第で米国株は上下に大きく振れる展開が予想される。
※次回の配信は5月15日(月)となります。
サマリー
・ハイテク株買いに支えられ米国株は高値圏での攻防を維持
・株高トレンド維持できるかどうか?はFOMC、雇用統計、アップルの決算次第
・FOMCと雇用統計の注目ポイントについて
・アップルの2Q決算はハイテク株買いのトレンドを左右する要因に
ハイテク株買いで高値圏を維持する米国の株価指数
3月に発生した金融システム不安とそれに伴う景気の先行き懸念が高まっている。しかし、米国の主要な株価指数は高値圏での攻防を維持している。
米国株の上昇要因となっているのが、ハイテク株買いである。先週はビッグテック企業の決算が相次いだ。アルファベット(GOOGL)、マクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)そしてアマゾン・ドットコム(AMZN)はいずれも売上高とEPS(一株利益)がコンセンサス予想を上回る内容となった。アマゾンについてはクラウドサービス「アマゾンウェブサービス(AWS)」の4月売上高の伸びが減速したことが株安の要因となったが、それ以外の3社の株価は先週上昇した。特に4〜6月期の売上高予想を295億〜320億ドルと市場予想を上回る見通しを示したメタ・プラットフォームズは約13%高となった。
これらビッグテック株の上昇を受け、ハイテク比率の高いナスダック総合指数と100指数(NDX)はいずれも他の株価指数の上昇率を上回った。
週間騰落率:4月24日~28日
上値トライのムードが漂う米国の株価指数
ナスダック指数100
上のパフォーマンスチャートをあらためて確認すると、株価指数ではナスダック100指数(NDX)が最も上昇した。
日足チャートでトレンドを確認すると、レジスタンスとして意識されていた13,200ポイントの水準をローソク足の実体ベースで突破していることがわかる。
レジスタンスのブレイクアウトは、新たな局面へシフトするシグナルとなり得る。MACDがゴールデンクロスを形成する場合は、テクニカルの面で新たな強気シグナルが点灯することになろう。
ナスダック100指数のチャート
S&P500種株価指数
一方、多くの機関投資家が運用のベンチマークとしているS&P500種株価指数(SPX)は、4月18日の戻り高値4,169ポイントをトライする状況にある。50日MA(4,033レベル)を維持し、かつ先月28日の市場で10日MA(4,129レベル)が再びサポートラインとして意識された状況は、S&P500指数の地合いの強さを示している。
今週、S&P500指数が4,169ポイントをブレイクアウトする場合は、2月2日の高値4,195レベルを視野に上昇幅が拡大することが予想される。ナスダック100指数と同じくMACDはゴールデンクロスを形成するムードにある。
S&P500種株価指数のチャート
騰落株線も地合いの強さを示唆
上で取り上げた2つの株価指数の騰落株線(Advance / Declineライン)の年初来からのトレンドを確認すると、1月から2月にかけての上昇局面で騰落株線も上昇した。そして4月以降、同ラインは再び上昇トレンドを形成し、S&P500指数(SPX)のそれに至っては2月2日以来の高水準にある。値上がり銘柄の数が値下がり銘柄のそれを上回る状況が続いていることは、投資家のリスクセンチメントが強気に傾いていることを示唆している。
ナスダック100指数とS&P500指数の騰落株線
米株高の維持はFOMC、4月雇用統計そしてアップルの決算次第
FOMCの注目ポイント
レジスタンスポイントをブレイクアウトしているナスダック100指数(NDX)はさらに上値をトライする展開となるのか?そしてS&P500指数(SPX)は4,169と4,195のレジスタンスポイントをブレイクアウトできるのか?
今週これらの鍵を握るのは連邦公開市場委員会(FOMC)、4月の米雇用統計そしてアップルの第2四半期決算(2Q決算)となろう。
5月2~3日に予定されているFOMCの注目ポイントは2つある。ひとつは、今回の会合で利上げサイクルを停止させるかどうか?である。もうひとつは、パウエルFRBが利上げサイクルの終了に踏み切る場合、その理由がどこにあるのか?である。
利上げサイクルの停止は、基本的に株高の要因である。特にハイテク株にとってはポジティブ要因となり得る。ゆえにナスダック100指数は、新たなレジスタンスの水準を探りながら上値トライの展開が予想される。
しかしパウエルFRB議長が、金融システム不安とそれが景気に及ぼす悪影響を警戒し、利上げの停止に踏み切る場合は、将来の景気懸念の方が強く意識されることで米国株が下落する可能性がある。ゆえに、「利上げ停止 = 株高」と安易に考えることは避けたい。
4月雇用統計の注目ポイント
米国のインフレはピークアウトしている。しかし、消費者物価指数(CPI)や個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)では、インフレ低下を阻む要因として注目されている住居費などのサービス価格が依然として高止まりの状況にある(詳細はこちらのレポートを参照)。
ゆえに、インフレ抑制の道半ばでパウエルFRBが安易に利上げサイクルを終了させる場合は、インフレ懸念が再燃する可能性につながるだろう。
インフレリスクが完全に後退していない状況を考えるならば、4月の雇用統計では賃金の動向が引き続き焦点となろう。
非農業部門雇用者数変化や失業率で雇用市場の堅調さが確認されると同時に平均時給が予想以上となれば、パウエルFRBによる利上げ長期化の懸念が高まるだろう。
FOMCで利上げサイクルの終了が決定されても、総じて強い雇用統計の内容が確認される場合は上で述べた利上げ長期化の懸念を受けて、株式市場の参加者が期待している年内の利下げ観測は後退するだろう。ゆえに、賃金の上昇が確認される場合は、株安リスクを警戒しておきたい。
一方、非農業部門雇用者数変化や失業率で雇用市場の堅調さが確認される一方、賃金の伸びが抑制される内容は米国株にとって理想的である。前者は景気リスクの懸念を後退させ、後者はインフレリスクの懸念をさらに後退させるからだ。このケースでは、米国株の上昇幅が最も拡大することが予想される。
アップルの2Q決算
5月4日にアップル(AAPL)が第2四半期決算(2Q決算)を発表する。前回の決算では米ドル高、中国のロックダウンによるiPhoneの供給不足そしてマクロ経済環境の悪化を受け、15四半期ぶり(2019年1〜3月期以来)の減収減益となった。
景気の減速により高価格帯のコンピューティングデバイスに対する需要低迷の影響を受け、2Qの売上高予想は926億ドル、EPS(一株利益)のそれは1.428ドルと前期から減収減益の見通しとなっている。
また、同社の主力製品であるiPhoneの売上高予想は491億ドルと、前期の658億ドルから落ち込む予想となっている。アップルの2Q決算がさえない内容となれば、ハイテク株高のトレンドに水を差すことになろう。ナスダック100指数(NDX)は、調整の反落を警戒しておきたい。
アップルの株価トレンドを週足チャートで確認すると、サポートラインを形成しながら52週MA(149ドル)の突破に成功し、株高トレンドを維持している。2Q決算がコンセンサス予想を総じて上回れば170ドルを突破する展開が予想される。このケースでは、2021年後半から22年前半にレジスタンスとして意識された180ドルのトライおよびブレイクが焦点となろう。
一方、2Q決算で減収減益の幅が予想以上となれば、同社の株価には下落の圧力が高まろう。株価反落の局面では52週MA以上の水準を維持できるかどうか?この点に注目したい。
アップルの株価チャート
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