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【米国株 ウィークリーレポート】 ボラティリティの拡大を警戒する1週間

現在の米国株は「1月効果」を体現する展開となっている。今週もビッグテック企業の決算が相場のトレンドを左右するだろう。連邦公開市場委員会(FOMC)では「パウエル会見」の内容が焦点となろう。そして米経済指標では1月の雇用統計に市場参加者の関心が集まろう。これら重要イベントは株高と株安、どちらの要因にもなり得る。よって今週の米国株は、ボラティリティの拡大を警戒すべき1週間となろう。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

ボラティリティの拡大を警戒する1週間


【サマリー】
・今週の注目材料は3つ-ビッグテック企業の決算、FOMC、1月雇用統計
・これら重要イベントは株安と株高、どちらの要因にもなり得る
・ナスダック100指数は52週線(MA)を視野に上昇ムードが高まっている
・FOMCでは「パウエル会見」の内容(タカ派はハト派​​)が焦点に
・1月の米雇用統計では引き続き賃金インフレの動向に注目が集まろう


今週の注目材料①:ビッグテック企業の決算

ハイテク株の買戻し
先週の主要な米株価指数は軒並み上昇した。特にナスダック総合指数と100指数(NDX)は4%超の上昇率となった。

現在の米国株は「1月効果」を体現する相場となっているが、この土台となっているのがGAFAM(FAANG)に代表されるビッグテック株の買戻しである。テスラ(TSLA)は投機的な買いで33%も急騰した。一方、メタ・プラットフォームズ(META)は8.9%、アップル(AAPL)やアマゾン(AMZN)は5%超上昇する展開となった。

ハイテク株の買戻しは他のテック株買いの圧力を高め、S&P500種株価指数(SPX)のハイテクセクターの上昇をけん引した(先週は4.1%の上昇)。

ビッグテック企業の決算
今週は、2月1日のメタ・プラットフォームズをはじめ、アップル、アマゾンそしてアルファベット(グーグル)の決算が相次いで発表される。総じてアナリスト予想を上回る場合は、ビッグテック株の買戻しがさらに進行しよう。ビッグテック株の上昇は他のハイテク株買いを促すだろう。

逆に成長性の限界を意識させる内容が続けば、ビッグテック株売りにより米国株全体が下落する展開が予想される。

米株価指数の週間騰落率:23~27日の週

米株価指数の週間騰落率 基準日:1月20日


ビッグテック株の週間騰落率:23~27日の週

ビッグテック株の週間騰落率:23~27日の週 基準日:1月20日


ナスダック100指数は52週線が視野に
株価指数で注目したいのが、ビッグテック株のトレンドに大きな影響を受けるナスダック100指数(NDX)である。

ナスダック100指数は現在、先週の米国株ウィークリーレポートで指摘した短期レジスタンスラインと半値戻し(12,080レベル)の水準を大陽線で完全に突破してきた。このタイミングで今週の企業決算が株高要因となれば、52週線(MA / 12,430)のトライそしてブレイクが焦点として浮上しよう。

ナスダック100指数が52週線をもブレイクする場合は、テクニカルの面でさらなる上昇のシグナルが点灯することになる。

ナスダック100指数のチャート

ナスダック100指数のチャート チャート:TradingView / 週足(2021年9月~)

今週の焦点②:パウエルFRB議長の会見

決算以外で市場参加者の注目を集めるのが、1月31日~2月1日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)となろう。こちらも株高と株安、どちらの要因にもなり得る。

期待先行で株高となっている状況を考えるならば、より警戒すべきは「タカ派のパウエル会見」を受けた株安である。

短期金融市場では、早ければ今年3月のFOMCで利上げが一旦停止されること、高水準での維持が短期間で終わること、そして23年の後半には利下げ政策へ転じる可能性を意識する状況が続いている。

一方、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はこのような市場の見方を真っ向から否定する見解を述べている。昨年12月のFOMC議事要旨でも「23年の利下げを予想した参加者はいなかった」とした。

また、パウエルFRB議長は昨年8月のジャクソンホール会議で、1970年代のインフレ抑制失敗の教訓と「ボルカ-のインフレ退治」に言及した経緯もある。

ゆえに、FOMC後のパウエル会見が “タカ派の内容” となる場合は、早期の利上げ停止とその先の利下げを意識している市場の楽観論に冷や水を浴びせるだろう。このケースでは米金利の反発が予想される。米金利の上昇は、ハイテク株の売り圧力を強める要因となろう。ハイテク株の下落は、米国株全体の重石となろう。

米政策金利(FFレート)の予想推移

米政策金利(FFレート)の予想推移 データとチャート:OIS, Bloomberg / 23年1月27日時点

今週の焦点③:1月米雇用統計

FOMCを無難に通過しても、次に控えているのは1月の雇用統計である(2月3日)。

焦点は、引き続き賃金インフレの動向となろう。前回に続き賃金インフレの抑制傾向が確認される場合は、米金利の低下が予想される。米金利の低下は株高要因となろう。また、非農業部門雇用者数が予想以上に増加し、失業率が横ばい以下となれば、インフレリスクだけでなく景気リスクの懸念も後退しよう。このケースでは、米国株の急騰が予想される。

一方、予想外に賃金の伸び率が上昇すれば(賃金インフレの根強さが確認される場合は)、インフレリスクが意識される展開が予想される。このケースでは、米金利の反発が予想される。米金利の反発は、ハイテク株売りの要因となろう。賃金インフレに加えて、非農業部門雇用者数の増加が予想に届かない場合、そして失業率が予想外に上昇する場合は、米国株の急落リスクを警戒したい。

アメリカの賃金動向(米雇用統計の平均時給)

アメリカの賃金動向(米雇用統計の平均時給) データとチャート:米労働省, Bloomberg / 月次(2021年~)

まとめ

・今週もビッグテックの決算が米国株のトレンドに大きな影響を与えるだろう。決算が株高要因となれば、ナスダック100指数(NDX)は52週線(MA)を突破する展開が予想される。

・一方、株安要因として警戒しておきたいのが「パウエル会見」である。株式市場の参加者が抱く早期の利上げ停止とその先の利下げ期待に冷や水を浴びせる言動があれば、米国株の下落を予想する。

・経済指標では、1月の雇用統計(2月3日)が米国株のトレンドに大きな影響を与える可能性がある。焦点は引き続き賃金インフレの動向となろう。賃金インフレの抑制傾向が確認される場合は、米国株の上昇要因となろう。逆に根強い賃金インフレと雇用市場の縮小が同時に確認される場合は、米国株の急落リスクを警戒したい。



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