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【米国株 ウィークリーレポート】インフレ懸念の後退で高まる “短期の” 株高ムード

1月6日に発表された経済指標の内容を受け、米国の株式市場ではインフレと金融引き締めに対する懸念が後退している。セクターパフォーマンスや投資家のセンチメントを示す騰落株線の状況も考えるならば、今週の米国株は ”短期” の買いにサポートされる展開が予想される。しかし、企業業績の悪化リスクを完全に織り込んでいない可能性を考えるならば、13日から本格化する四半期決算で再び不安定化するリスクがある点には要注意。詳細は分析レポートにて。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

【サマリー】
・6日の米経済指標の内容を受けインフレと金融引き締めに対する懸念が後退している
・今週の米国株は短期の買いにサポートされる展開が予想される
・今週、注目すべき米経済指標は12月の消費者物価指数(CPI、12日発表)
・インフレの動向以外で注視すべき材料は、パウエルFRB議長の言動と四半期決算


“さえない” 経済指標でインフレと金融引き締めに対する懸念が後退

米労働省が先週6日に発表した2022年12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月から22万3000人増加した。一方、失業率は3.7%から3.5%へ低下した。

市場参加者が注視していた平均時給は前年比で4.6%と、前月の4.8%(下方修正)から低下した。前月比でも0.4%(下方修正)から0.3%へ低下した。

雇用市場は堅調さをしながらも賃金インフレは抑制された-今回の米雇用統計は、株式市場にとって理想的な内容となった。

米国の非農業部門雇用者数変化、失業率、平均時給の推移

米国の非農業部門雇用者数変化、失業率、平均時給の推移 データとチャート:米労働省 / Bloomberg / 月次(2021年~)


また、同日に発表された12月ISM非製造業指数は49.6と予想を大幅に下回り、低下幅は2020年4月以来の大きさとなった。新規受注の低下幅も同じく20年4月以来の大きさだった。

米国の株式市場では、依然としてインフレと金融引き締めの長期化に対する思惑がトレンドを左右する要因となっている。

「今後アメリカのインフレは鈍化する」-市場が抱くこのベースシナリオを崩す要因が、「賃金インフレ」と「堅調なサービス業」である。しかし、12月の平均時給と同月ISM非製造業指数の低下により、その懸念はひとまず後退するだろう。

事実、この点を意識し6日の米国株は大幅上昇の展開となった。

ISM非製造業景気指数の動向

ISM非製造業景気指数の動向 データとチャート:米供給管理協会(ISM)/ Bloomberg / 月次(2020年~)

※上:ISM非製造業景気指数 / 下:新規受注


“短期”の買いシグナル

直近5日間におけるS&P500種株価指数(SPX、以下S&P500指数)のセクターパフォーマンスを確認すると、景気敏感株が上昇する一方、ディフェンシブ株が下落している。

S&P500指数のセクターパフォーマンス

S&P500種株価指数のセクターパフォーマンス データ:Bloomberg / 直近5日間の騰落率 / 1月6日時点

また、投資家のセンチメントを示す騰落株線(Advance / Decline Line)の過去半年間のトレンドを確認するとS&P500指数のそれは上昇トレンドを維持している。今週は3,900レベルの攻防が焦点となろう。この水準は、昨年12月にサポートからレジスタンスへの転換が確認されている。

騰落株線の上昇トレンドは、ダウ平均(DJI)にも見られる。だが、ダウ平均の場合は20日線(MA)のみならず、レジスタンスポイントとして意識されていた33,500レベルを大陽線で突破しており地合いの強さがうかがえる。

S&P500指数のチャート

S&P500種株価指数のチャート チャート:Bloomberg / 日足(過去半年)/ 1月6日時点


ダウ平均のチャート

ダウ平均のチャート チャート:Bloomberg / 日足(過去半年)/ 1月6日時点


さらに、逆張りの指標として筆者が注目している米個人投資家のブル(強気)とベア(弱気)のセンチメント動向を確認すると、その比率が再び0.5を下回っている(1月6日時点で0.488)。

上で述べた騰落株線とテクニカルポイントの突破や投資家のセンチメント動向も考えるならば、12月の消費者物価指数(CPI)でもインフレの鈍化傾向が確認される場合は、株価の上昇幅がさらに拡大することが予想される(株高の加速が予想される)。

米個人投資家のセンチメント:ブル/ベアの比率

米個人投資家のセンチメント:ブル/ベアの比率 データ:アメリカ個人投資家協会(AAII)/ 週次(2022年~)/ 1月6日時点

今週の注目材料

パウエルFRB議長の言動

今週の米国株は短期の買いにサポートされると筆者は予想している。重要な点は「短期」という言葉にある。

米国株のリスク要因として警戒すべきは、連邦準備制度理事会(FRB)の政策スタンスである。

先週のFEDスピーカー達の発言から、パウエルFRBが抱くインフレリスクの警戒レベルが依然として高いことが判明した。今週10日にスウェーデン中銀主催の国際シンポジウム(中央銀行の独立性に関する討論会)にパウエルFRB議長が参加する。あらためてインフレリスクと金融引き締め政策の維持に言及する場合、米国株の上値を抑制する要因となり得る。

業績の悪化リスクを織り込んでいない株式市場

そして今週以降、四半期決算も米国株のトレンドを左右しよう。今週13日(金)から米国の株式市場は四半期決算のシーズンに突入する。

ファクトセットによれば、2022年第4四半期の予想EPS(一株当たり利益)は6.5%減少($57.78→$54.01)する見通しとなっている。昨年9月の6.8%減と比べると減少率は低下している。しかし、過去5年平均の2.5%減、過去10年平均の3.3%減と比べると大きく利益が減少する予想となっており米企業の業績悪化が予想される。

昨年以降、米国の株価指数は金利の動向に左右される展開-金利が低下すれば株高、金利が上昇すれば株安の展開が続いてきた。しかし今年の市場テーマは、インフレリスクから景気リスクにシフトする。ゆえに今後の米国株のトレンドは、企業業績の内容に大きく左右されるだろう。

上で述べたとおり、今回の決算では企業業績の悪化が見込まれる。実際にアナリスト予想を下回る決算が続く場合、業績悪化のリスクを完全に織り込んでない可能性が高い米国株は下落することが予想される。

ゆえに、インフレ鈍化の期待による株高は、“短期”で終息する可能性を意識しておくことが重要となろう。

S&P 500種株価指数構成企業のEPS推移

S&P 500種株価指数構成企業のEPS推移 データ:ファクトセット / 四半期ベース(22年Q4 は予想) / 1月6日時点

まとめ

12月米雇用統計で賃金インフレの懸念が後退している。また、同月のISM非製造業景気指数も49.6と大幅に低下した。賃金インフレの低下とサービス業の低迷は、インフレと金融引き締めに対する市場参加者の懸念を後退させる要因である。このため今週の米国株は、“短期”の買いにサポートされる展開が予想される。今週12日に発表される12月米消費者物価指数(CPI)でインフレの鈍化傾向が確認される場合、米株高がさらに加速することが予想される。
今週、インフレの動向以外で注目すべき材料は、パウエルFRB議長の言動と13日から本格的に始まる四半期決算である。米国の株式市場は企業業績の悪化リスクを完全に織り込んでいない可能性が高い。このためアナリスト予想を下回る決算が続けば、インフレ鈍化を期待した米株高は短期で終息する可能性があろう。



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