【IG米国株レポート】 今週の注目材料はFOMCと大手ハイテク企業の決算、内容次第では調整相場を警戒
今週の米国株は、連邦公開市場委員会(FOMC、25-26日開催)と大手ハイテク企業の決算に左右されるだろう。テスラとネットフリックスの決算を受け、これまで米株高のけん引役だった主力株の勢いが失速している。FOMCが”タカ派”と捉えられ、さえない企業決算が続く場合は、ナスダック指数の調整相場が進行する展開を警戒しておきたい。
サマリー
・これまで米株高をけん引してきた主力株の勢いが失速している
・7月連邦公開市場委員会(FOMC)の注目ポイントについて
・今週はアルファベット、マイクロソフト、メタが決算を発表する
・FOMCと大手ハイテク企業の決算が今週の米国株のトレンドを左右しよう
主力株の上昇圧力が後退
23年前半の米株高トレンドをけん引してきたエヌビディア(NVDA)やテスラ(TSLA)など主力株の勢いが、連邦公開市場委員会(FOMC)を前に失速している(下チャートの赤ゾーンを参照)。
この点について月初来の騰落率を確認すると、4-6月期決算で利益率が低下したテスラは先週21日の終わり値ベースでマイナスへと転落した(-0.67%)。テスラの下落に連動するようにエヌビディアとメタ(META)の株価も下落した。
主力株で調整相場のムードが漂うなか、今週25-26日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。
一方、企業決算では大手ハイテク企業―アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)そしてメタ(META)が四半期決算を発表する。
主力株とナスダック100指数の動向:月初来パフォーマンス
7月連邦公開市場委員会(FOMC)の注目ポイント
鈍化の傾向をたどるアメリカのコアインフレ率
6月のアメリカ消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)は、いずれもインフレが鈍化の傾向にあることを示唆した。
食品とエネルギーを除いたCPIのコア指数は、前年同月比で4.8%まで低下してきた。また、連邦準備制度理事会(FRB)が注視する個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)のコア指数も同比で4.6%と、CPIのそれとほぼ同じ水準にある。
しかし、いずれもFRBのインフレ目標「2%」を上回っている。ゆえに、今週25-26日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ抑制重視の旗を降ろす可能性は低いだろう。
アメリカのコアインフレ率(前年同月比):コアCPI / コアPCEデフレーター
「データ次第」なら7月FOMCは米株安とはならず
しかし、短期金融市場では7月FOMCでの利上げを最後に、パウエルFRBが利上げサイクルを停止することを想定する状況にある。米国の株式市場でも利上げサイクルの終了が意識され、ダウ平均(DJI)は24日まで11日連騰となった。
これらマーケットの動向を考えるならば、パウエルFRB議長がインフレ抑制重視の旗を掲げながらも追加利上げについては明言を避け、今後の政策動向については「データ次第」という玉虫色の姿勢を強調する場合、7月のFOMCが米株安の要因となる可能性は低いだろう。
短期金融市場が予想する米政策金利(FFレート)の予想推移
FOMCが米株安のきっかけとなるケースは?
しかし、上のラインチャートが示すとおり、FOMCのメンバーが想定する23年末の予想ターミナルレートは5.6%である(6月時点の予測)。
つまり、パウエルFRB内ではあと2回の追加利上げがコンセンサスとなっており、市場予想の思惑(あと1回の利上げを行った後にパウエルFRBは利上げサイクルを終了するという思惑)とはズレが生じている。
ゆえに、会合後の定例会見でパウエルFRB議長が市場の思惑を真っ向から否定し、インフレリスクの根深さと追加利上げの可能性を強く示唆する場合は、米株安の要因になり得る。
また、パウエルFRB議長が景気の先行きリスクについて言及する場合も米株安の要因になり得る。このケースでは、景気動向に左右されやすい一般消費財(Consumer Discretionary)セクターを中心に売り圧力が高まることが予想される。
大手ハイテク企業の決算と注目ポイント
今週は、大手ハイテク企業の決算が続々と発表される。25日にアルファベット(GOOGL)が第2四半期の決算、マイクロソフト(MSFT)が第4四半期の決算をそれぞれ発表する。そして26日にはメタ・プラットフォームズ(META)が第2四半期の決算を発表する。
各企業の売上高と一株利益(EPS)に関するアナリストの予想(コンセンサス)は以下のとおりである。いずれの企業も売上高と一株利益(EPS)がともに前の期を上回る予想となっている。
アナリストの予想(コンセンサス)
アルファベット
25日にアルファベット(GOOGL)が第2四半期(Q2)の決算を発表する。マイクロソフト(MSFT)のBing/チャットGPTとの競争で、同社の検索広告事業は厳しい環境に直面しているが、Q2の広告収益(売上高)は堅調な個人消費を受け前期比で5.3%ほど伸びる見通しとなっている。
一方、新たな収益の柱として期待されるクラウド事業の売上高は、前期比で5%増加する見通しとなっている。
Q3の売上総利益率と営業利益率はともに低下する見通しとなっている。よって、Q2の決算が予想を上回る内容となっても、厳しい業績見通し(ガイダンス)が示される場合は、同社の株価が下落する可能性がある。
売上高と営業利益の推移
マイクロソフト
25日にマイクロソフト(MSFT)が第4四半期(Q4)の決算を発表する。生成AIの事業に関連する設備投資のコスト増が、どの程度利益率の低下に影響しているかどうか?この点に注目したい。Q4の決算では、売上総利益率と営業利益はともに低下する見通しとなっている。
マイクロソフトの経営陣は、下期にさらなるコストの削減に着手する可能性が指摘されている。この点が意識されているためか、24年のQ1決算では営業利益率が改善する見通しとなっている。
なお、クラウド事業「Azure」の売上高成長率(前年同月比)は26.74%と、第3四半期(Q3)の31%(同比)から低下する見通しとなっている。
売上高と営業利益の推移
メタ・プラットフォームズ
26日にメタ・プラットフォームズ(META)が第2四半期(Q2)の決算を発表する。同社は第1四半期(Q1)の決算でデジタル広告が回復し始めていることを示唆した。Q2ではメッセージング広告の貢献が拡大したと見られており、増収・増益の予想となっている。
一方、リアリティ・ラブス(Reality Labs)部門の収益は予想(3.92憶ドル)を下回る可能性がある(営業赤字の予想は36.79億ドル)。
広告事業の回復基調を見込み強気の収益見通し(ガイダンス)が示される場合はメタの株価が上昇し、ナスダック100指数(NDX)の押し上げ要因となる可能性がある。
一方、Q2決算が予想を上回っても、景気の先行懸念などでガイダンスが予想を下回れば、株価は下落する可能性がある。決算を受けて同社の株価に調整の圧力が高まる場合は、ナスダック100指数の重石となろう。
なお、今回の決算では公開5日で1億人のユーザーを獲得した新アプリ「Threads」の影響は限定的と思われる。
売上高と営業利益の推移
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