コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

【IG米国株レポート】 米国株には変化の兆しが見られるも株高の維持はFOMCとインフレ動向次第

6月に入り米国株(アメリカ株)の状況にある変化が見られる。それは、一部の主力ハイテク株の上昇に頼った株高から脱却する兆しが見え始めていることだ。今週13-14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。13日には5月の消費者物価指数(CPI)も発表される。今回のIG米国株レポートでは、これらビッグイベントの注目ポイントと米国株の展望について考察する。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・ラッセル2000指数が示唆するリスク選好ムードの広がり
・米国市場のトレンドを示すS&P500種株価指数は強気相場入りした
・米国株はハイテク株のみに頼った株高からの脱却に向けた動きが見られる
・5月の米CPIとFOMCイベント後の米国株のシナリオについて


主力ハイテク株のみに頼った上昇から脱却するムード

一人勝ちムードのラッセル2000指数

先週のIG米国株レポートでは、小型株の指数であるラッセル2000指数(RUT)の動向について取り上げた。

この株価指数は、多くの内需関連株で構成されている。また、ダウ平均(DJI)やS&P500種株価指数(SPX)に採用される企業と比較し時価総額も小さい。ゆえに、景気の動向や市場の変化に対して先行する特性がある。特に、景気の先行きリスクを先取りする特性があることから「暴落の先行指標」と呼ばれることがある。

そんな特性を持つラッセル2000指数だが、6月に入ってからのパフォーマンスを確認すると、一人勝ちの状況にある。

アメリカ株価指数の月初来パフォーマンス

アメリカ株価指数の月初来パフォーマンス 基準日:23年5月31日 / 6月9日 クローズ時点での騰落率


強気相場入りのS&P500指数

また、米国株(アメリカ株)の株価指数で常に注目しておきたいのが、S&P500種株価指数(SPX、以下S&P500)である。この指数はニューヨーク市場の時価総額の約75%をカバーしている。ゆえに、アメリカの株式市場全体のトレンドを表す指標として多くの機関投資家が運用指標として採用している。

S&P500のトレンドを日足チャートで確認すると、今年の3月13日に3,808レベルで反発して以降、短期サポートラインを形成しながら(下チャートの点線を参照)、22年10月12日の終値3,577レベルから20%戻した。また、同年10月13日に付けた安値3,491レベルから23%戻す展開となり強気相場入りのシグナルが点灯した。

なお、先週9日の市場では、22年8月の戻り高値4,325レベルの手前まで上昇した(下チャートの赤ラインを参照)。今週、S&P500がこのレジスタンスポイントをも完全に突破する場合、テクニカルの面ではさらなる上昇シグナルが点灯することになる。

S&P500種株価指数のチャート

S&P500種株価指数のチャート Tradingviewの日足:22年7月以降


幅広い景気敏感株に買いが入る

さらに、S&P500(SPX)のセクター別パフォーマンスを確認すると、6月に入りハイテク株の上昇に出遅れていたエネルギー(Energy)、一般消費財(Consumer Discretionary)、資本財(Industrials)そして銀行(Industrials)や不動産(Real Estate )といった景気敏感株が買われていることが分かる。

対照的に、これまで米株高のトレンドをけん引していたハイテク株(Information Tech)の買いは、ひとまず小休止の状況にある(下の赤棒グラフを参照)。

上で述べたとおり、内需株が多く採用されている小型株指数のラッセル2000指数(RUT)の上昇幅が拡大している。これらの状況を総合的に考えるならば、現在の米国株は主力ハイテク株に頼った株高からの脱却に向けて動き出している。

S&P500種株価指数 月初来のセクター別パフォーマンス

S&P500種株価指数 月初来のセクター別パフォーマンス 基準日:23年5月31日 / 6月9日クローズ時点での騰落率

FOMC後の米国株のシナリオ

今週は、日米欧の中銀が政策会合を開催する「中銀イベントウィーク」である。

なかでも注目されるのは、やはり13-14日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)となろう。

今回の会合の焦点は、連邦準備制度理事会(FRB)が示す今年後半以降の政策スタンスにある。そしてそのヒントになり得るのが、最新の経済・物価・政策金利の見通しとなろう。これらの内容次第で、今週の米国株のトレンドは上下に大きく振れる展開が予想される。

シナリオ1:調整の下落

パウエルFRBはデータ重視の姿勢を崩していない。今回の会合でもこの姿勢を維持するだろう。ゆえに、今後発表される雇用、インフレそして景気に関連した経済指標の内容次第では、6月の会合で利上げを見送っても7月の会合で再び利上げに踏み切る可能性がある。

この点(7月利上げの可能性)は短期金融市場も意識している。

OIS市場が織り込む予想推移を確認すると、短期金融市場では7月にFRBが利上げを行う可能性を織り込む状況にあり、かつ年内は政策金利を5%以上の高水準で維持することも意識されている(右のラインチャートを参照)。

また利下げの時期は、11月もしくは12月に後退している。

6月会合の利上げ確率と政策金利の予想推移

6月FOMCの利上げ確率と政策金利の予想推移 FEDウォッチツールとブルームバーグのデータをもとに作成 / 6月12日 12時時点


最新の経済・物価・政策金利の見通しは、上で述べた市場の予想に影響を与えるだろう。

23年末の政策金利見通しが現在の5.1%から0.25ポイントを超える上方修正(例えば0.5ポイントの上方修正)となれば、市場参加者は7月以降の利上げの可能性を意識せざるを得ない状況に陥る。また、年内の利下げ観測もさらに後退しよう。このケースでは米株安の展開を想定しておきたい。

また、持続的な利上げ政策の影響が考慮され、経済成長の見通しが3月時点の0.4%増から下方修正される場合は、景気の先行きリスクも意識されよう。失業率の上方修正も同じく景気の先行き懸念を高める要因となり得る。

6月会合でFRBによる利上げ長期化の観測が高まり、かつ景気の先行きリスクまでが意識される状況となれば、米国株に対する調整売りの圧力が最も高まることと予想される。

3月時点での予想

3月時点での予想 FED Summary of Economic Projectionsより作成


シナリオ2:さらなる上昇

パウエルFRBが、6月会合で利上げを見送る可能性を市場はすでに織り込んでいる。ゆえに、これのみで米国株が上昇する可能性は低い。

米国株が上昇する要因として注目したいのが、パウエルFRB議長の会見内容と最新の政策金利の見通し(ドットチャート)である。パウエル議長がデータ重視のスタンスを維持しつつも、現在の5.00-5.25%の金利水準でインフレの動向を見極める姿勢を示す場合、金融引き締めの長期化に対する市場の懸念が後退しよう。

また、ドットチャートが現在の5.1%から横ばいか0.25ポイント以内の上方修正ならば、同じく金融引き締めの長期化に対する市場の懸念を後退させる要因となろう。

パウエル会見とドットチャートで金融引き締めの懸念が後退する場合は、米国株の上昇を促す要因となろう。

シナリオ3:売り買い交錯

FOMC後に、アメリカの株式市場が売り買い交錯の展開となることも想定しておきたい。

例えば、最新の政策金利の見通し(ドットチャート)が現在の5.1%から横ばいか0.25ポイント以内の上方修正にとどまり(株高の要因)、パウエルFRB議長が景気の先行きについて強気の見通しを示す一方(株高の要因)、データ(インフレの動向)次第で金融引き締め政策の長期化を示唆する場合は(株安の要因)、「玉虫色のFOMC」として市場参加者の思惑(楽観と警戒感)が交錯する展開が予想される。そして、アメリカの株式市場では売り買いがぶつかり合う展開が予想される。


5月の消費者物価指数(CPI)と米国株の展望

今週13日に5月のアメリカ消費者物価指数(CPI)が発表される。

内容次第では、FOMC以上に米国株のトレンドを左右する可能性があろう。ここでは、2つのシナリオについて考えてみたい。

シナリオ1:CPIでインフレ圧力の根強さが確認される場合

パウエルFRBが重視する物価指標が、個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)である。4月の最新データでは、アメリカのインフレ圧力の根強さを示唆する内容となった。

5月の消費者物価指数(CPI)でもインフレ圧力の根強さが確認される場合は、パウエルFRBによる持続的な利上げ政策の思惑を高めよう。同時に年内の利下げ観測を後退させる要因にもなる。

5月CPIで根強いインフレが確認されたタイミングで、6月のFOMCイベントが上で述べた「シナリオ1」の展開となれば、短期間で急速に上昇幅が拡大した米国株には大きな反落の圧力が高まることが予想される。

アメリカ消費者物価指数(CPI)の推移

アメリカ消費者物価指数(CPI)の推移 米労働省のデータをもとに作成 / 月次:2022年5月以降


シナリオ2:CPIでインフレ鈍化の傾向が確認される場合

一方、5月CPIでインフレ鈍化の傾向が確認される場合は、米株高の要因となろう。しかし、翌日にFOMCの結果が判明することを考えるならば、短期的な買いが主体となり上昇幅が限られる可能性がある。

インフレの鈍化が続いていることが確認された後、FOMCイベントで「シナリオ2」の展開となれば、米国株の上昇幅が拡大することが予想される。

このケースでは、上で取り上げたS&P500(SPX)が昨年8月の戻り高値4,325レベルを突破し、新たなレジスタンスポイントを見極める局面へシフトする展開を想定しておきたい。

なお、5月CPIの市場予想は以下のとおりである。前月比のCPIコア以外は、総じて鈍化の傾向をたどる見通しとなっている。

アメリカ消費者物価指数:5月の予想

アメリカ消費者物価指数:5月の予想 ブルームバーグのデータをもとに作成

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券のFXトレード

  • 英国No.1 FXプロバイダー*
  • 約100種類の通貨ペアをご用意

* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。