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【米国株 週間分析レポート】今年の12月相場で注目しておきたいこと

前回の記事では、「米国株が株高トレンドへ回帰するのはまだ先の話」と分析した。現状、この予測どおり米国株は再び上値の重い展開となっている。今年後半の相場が2018年の相場と似ていること、そしてインフレの高止まり懸念で早期の利下げ期待が後退する可能性があることも考えるならば、今年12月の米国株は下落リスクを警戒すると同時に投資対象の変更を考えるタイミングにある。詳細はIG米国株分析レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

【米国株 週間分析レポート】
今年の12月相場で注目しておきたいこと


【サマリー】
・今週の注目材料は11月の消費者物価指数(CPI)とFOMC(13~14日開催)
・強いインフレ指標は早期の利下げ期待を後退させる要因に
・2018年の相場と似ている今の状況 12月の米国株は下落リスクを警戒
・エネルギーセクターの「次」を考えるタイミングに


今週の注目材料:11月の米消費者物価指数(CPI)

11月の米国生産者物価指数(PPI)は、前月比と前年比でともに予想を上回った。

前年比のトレンドを確認すると低下基調へ転じているが、注目すべきは9日の米国市場が「金利上昇 / 株価下落」で反応したことである。この動きは、今後インフレリスクの焦点が"連邦準備制度理事会(FRB)の予想どおりにインフレが低下するかどうか?"この点にあることを示唆している。

市場参加者のインフレ懸念を左右する材料として、今週は11月の米国消費者物価指数(CPI)に注目が集まるだろう。11月PPIに続きCPIもインフレの根強さを示す結果となれば、このレポートで指摘している「インフレが低下しないリスク」が意識され、FRBによる金融引き締めの長期化懸念が高まると同時に、投資家が抱く23年の利下げ期待を後退させるだろう。これらは当然、米国株の下落要因である。

アメリカのインフレ指標

アメリカのインフレ指標 データとチャート:米労働省労働統計局(BLS) / Bloomberg L.P. / 月次(2020年~)/ 前年比



12月FOMCの注目ポイント

米利下げの時期を考える上で、今週13~14日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)も重要なイベントである。

現状、利上げ幅については50ベーシスポイントが有力視されている(70%台 / FEDウォッチ)。11月CPIが予想以上の結果となれば、75ベーシスポイント利上げの確率が上昇する可能性はあるが、直近のFRBキーマン達の言動(利上げ幅の縮小と景気リスクを配慮した言動)を考えるならば、今後パウエルFRBは利上げの幅ではなく、利上げの “期間” でインフレを抑制していくことが予想される。よってこのレポートでは、50ベーシスポイント利上げをベースシナリオとする。

12月FOMCの利上げ予想

12月FOMCの利上げ予想 データ:FEDウォッチ / 12日11時時点


12月FOMCで50ベーシスポイントの利上げが各市場で織り込み済みであることを考えるならば、今回の焦点は、最新の経済および政策金利の見通し(ドットチャート)となろう。

経済見通しではインフレ(PCE Inflation)の予想値に各市場参加者の注目が集まるだろう。9月時点からインフレ見通しが上方修正され、かつ政策金利の見通しが5%台へ乗せてくする場合、早期の利下げ期待が後退しよう。

また、11月30日に米ワシントンのシンクタンク「ブルッキングス研究所」でのパウエル議長の講演を振り返るならば、パウエル氏は会見で早期の利下げ期待を挫く発言をしてくる可能性もある。

FOMCメンバーのインフレ予想

FOMCメンバーのインフレ予想 出所:Summary of Economic Projections

FOMCメンバーの政策金利予想

FOMCメンバーの政策金利予想 出所:Summary of Economic Projections

株高政策への期待が高まらない限り…

前回の分析レポートでは、今年後半の相場が2018年の相場と似ている点について指摘した。その時に用いたチャートをあらためて確認するとー

1:米中の対立
2:FRBによる金融引き締め

という2つのリスクが共通していることがわかる。また第3の要因として、"将来の景気不安"が意識されていることも共通している。

2019年の米国株が株高へ回帰したのは、「株高政策=早期の利下げ」が意識されたからである。

翻って現在はどうだろうか?インフレの水準(CPI:7.7% / PCEデフレーター:5.0%)は、政策金利の水準(3.75-4.00%)より上にある。また、11月の賃金上昇(雇用統計の平均時給の上昇)や同月生産者物価指数(PPI)が予想以上となったことも考えるならば、「インフレが低下しないリスク」もくすぶる。これらの状況を考えるならば、今年の12月相場は下落リスクを警戒しておきたい。

S&P500指数のチャート:2018年の相場

S&P500指数のチャート:2018年の相場 チャート:Trading View 週足(2018年~)

エネルギーセクターの下落が意味すること

ここ最近の米国株で注目しておきたいのが、エネルギーセクターの下落である。期間別のパフォーマンスを確認すると、徐々に上昇の圧力が後退していることがわかる。

エネルギーセクターの期間別パフォーマンス

エネルギーセクターの期間別パフォーマンス データ:S&P500 セクターパフォーマンス


そして米金利のトレンドを確認すると、米長期金利(10年債利回り)の低下幅が2年債利回りのそれを上回ることで、長短金利差(10年債利回り-2年債利回り)の「逆イールド」が常態化している。このトレンドに追随し、NY原油先物(WTI)の下落幅も拡大している。

逆イールドは、将来の景気後退を示唆することで知られる指標である。一方、原油先物相場も将来の景気動向を織り込みながら動く特性がある。

ゆえに逆イールドと原油安が同時に発生している今の状況は、米国の景気後退入りが不可避であることを示唆している。

米金利とNY原油先物の推移

米金利とNY原油先物の推移 チャート:Bloomberg L.P. / 日足(今年7月以降)

エネルギーセクターの「次」を考えるタイミングに

将来の景気後退が不可避であるならば、米国株の取引戦略もそれに応じて変更する必要がある。

セクターローテーションの基本に従うならば、今後注目すべきセクターは「ディフェンシブセクター」である。

そして今年は「配当」がトレンドとなっている。この点も重視するならば、個別株の投資では「高配当の銘柄」または「連続増配の銘柄」を丁寧にピックアップして投資をすることが重要となろう。

例えば、ディフェンシブセクターを代表する「ヘルスケア」では、配当利回りが3%を超えているファイザー(PFE)やアッビィ(ABBV)が投資家に選好される可能性がある。また、配当利回りは3%以下だが、予想PERで割安感のあるメルク(MRK)やブリストルマイヤーズ(BMY)にも注目したい。

「公共」では、大手電力・ガス会社のデューク・エナジー(DUK)が選好される可能性がある。同社の配当利回りは4%である。かつ17年間連続の増配銘柄でもある(Dividend.com)。

「生活必需品」では、日本でもおなじみのザ・コカ・コーラカンパニー(KO)に注目したい。今年10月以降の株高で配当利回りは2.5%付近まで低下しているが、Consumer Defensive(生活必需品)を代表する優良銘柄であり、かつ連続増配の銘柄としても投資家の注目度が高い。

米国株の注目銘柄

米国株の注目銘柄


結論

12月相場の展望

今後、インフレリスクの焦点は、連邦準備制度理事会(FRB)の予想どおりに「インフレが低下しないリスク」にシフトしよう。市場参加者のインフレ懸念を左右する材料として、今週は11月米消費者物価指数(CPI)が注目される。同月生産者物価指数(PPI)に続きCPIでも根強いインフレが確認される場合、米金融引き締めの長期化懸念が高まろう。同時に早期(23年)の利下げ期待も後退しよう。
米政府や連邦準備制度理事会(FRB)が株高政策(利下げ)を簡単に打ち出せない状況にあることも考えるならば、今年12月の米国株は下落リスクを警戒したい。

投資戦略

米国の長短金利差で「逆イールド」が進行している。これに連動し原油安も加速している。これらの動きは、米国の景気後退入りが不可避であることを示唆している。
景気後退の懸念はエネルギーセクターのパフォーマンスが悪化する要因となっている。セクターローテーションの基本に従うならば、今はディフェンシブセクターへ投資対象を変更するタイミングにある。今年のトレンドを考えるならば、個別株では「高配当」や「連続増配」のディフェンシブ銘柄に投資の資金が流入する可能性があろう。



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