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【アメリカ株】インフレ懸念再び パウエル証言、米物価指数、関税報道を警戒 S&P500の週間見通し

インフレの再燃が再びテーマに浮上する可能性が出てきた。今週のS&P500は下値リスクを警戒したい。焦点は1月の物価指数、パウエルFRB議長の議会証言、トランプ関税の動向となろう。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

今週は1月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が発表される。物価の動向に大きな影響を与えるアメリカ消費者のインフレ期待が急速に高まるなか、物価指数がインフレ再燃のリスクを市場参加者に意識させる内容となれば米国株の重石となることが予想される。パウエルFRB議長の議会証言とトランプ関税の新たな動きも相場の重石となる可能性がある。S&P500の週間予想レンジは5,900~6,188。


目次


米国株は週次下落、米金利と金価格の上昇が示唆すること

先週のアメリカ株式市場では、ナスダック100以外の主要な株価指数が下落して終えた。ナスダック100の上昇率も前週末比で0.06%の上昇と、ほぼ横ばいだった。

6日までは株高優勢だった。その流れを変えたのが、7日のミシガン大学調査の期待インフレ率だった。1年先のそれが4.3%と前月の3.3%から急上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する5-10年先のインフレ期待も3.3%と、2008年6月以来の高水準となった。

低下基調にあったアメリカの長期金利(10年債利回り)はこの日、一時4.5%へ急反発する局面が見られた。国際商品市況では金価格が上昇基調を維持した。NY金先物価格(4月物)は7日、一時2,910.6ドルと中心限月として最高値を更新した。

アメリカの長期金利と金価格が同時に上昇した状況は、「インフレの再燃」が再び主要テーマに浮上する可能性を示唆した。

アメリカ株価指数 週間の騰落率:2月3日~7日

アメリカ株価指数 週間の騰落率:2月3日~7日

ブルームバーグのデータで筆者が作成


くすぶるインフレ再燃のリスク、米CPIとPPIを警戒

今週の主要テーマがインフレの再燃と仮定する場合、以下にまとめた重要イベントが米国株の変動要因となろう。
【米国の重要イベント】
・11日:パウエルFRB議長、上院銀行委員会で半期に一度の議会証言
・12日:1月の米国消費者物価指数(CPI)
・13日:1月の米国生産者物価指数(PPI)

ミシガン大学調査による2月の1年先期待インフレ率(速報値)は4.3%と2023年11月以来の高水準となり、前月の3.3%から急上昇した。昨年の米大統領選挙以降、消費者のインフレ期待が高まる状況は、トランプ関税で今後物価が上昇することを消費者が敏感に感じ取っていることを示唆している。

今週11日に1月の消費者物価指数(CPI)、12日に同月の生産者物価指数(PPI)が発表される。先月の米金利低下のきっかけとなったのが、米CPIコア指数の鈍化だった。ゆえに今回の焦点もコア指数となろう。前月比のコア指数はCPIとPPIでともにインフレの粘着性が示される予想にある。一方、トレンドを示す前年同月比のコア指数はいずれも鈍化の見通しにある。

物価の動向に大きな影響を与えるアメリカ消費者のインフレ期待が上昇するなか、コア指数でインフレの粘着性が確認される場合は、米長期金利の反発を促す要因になり得る。米長期金利の上昇は米国株の重石となろう。一方、コア指数が総じて予想以下となれば、インフレ再燃の懸念がひとまず後退し米国株の下支え要因となる可能性がある。

米国 消費者物価指数と生産者物価指数:2024年1月~12月

米国 消費者物価指数と生産者物価指数:2024年1月~12月

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:25年1月の市場予想


株安要因として警戒したいパウエル証言とトランプ関税の動向

インフレ再燃に対する懸念の他、今週の米国株の重石となる材料があと2つある。その一つが、今年前半の利下げ観測の後退である。

パウエルFRB議長は11日、上院銀行委員会で半期に一度の議会証言に臨む。堅調な景気と労働市場にあらためて言及する可能性がある。その上でインフレ再燃に対する警戒感から今後の利下げについて慎重な姿勢を強調する場合は、今年前半(6月まで)の利下げ期待がさらに後退する可能性がある。パウエルFRB議長は12日に下院金融委員会の議会証言に出席するが、上院銀行委員会と同じ発言が繰り返されると思われる。よって、注視したいのは11日の議会証言の方である。

短期金融市場では、今年前半までの利下げ観測が急速に後退している。3月と5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げの見送りがすでに織り込まれている。焦点は6月の情勢だが、2月に入り利下げ確率が30%前後まで低下している。パウエルFRB議長の証言を受け、今年前半の利下げ観測がさらに後退すれば米株安の要因になり得る。その後に続くCPIとPPIでインフレ再燃の懸念が強まれば株安の進行を警戒したい。

6月FOMCの利下げ確率の推移

6月FOMCの利下げ確率の推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / OISに基づく予想確率 / 2月7日時点の予想確率
※マイナス:利下げ

今週、米株安の要因となり得るもう一つの材料がトランプ関税の動向である。ブルームバーグによれば、トランプ米大統領は9日、大統領専用機のなかで記者団に対し全ての鉄鋼とアルミニウム輸入への25%関税を発表すると述べたという。トランプ氏は先週の日米首脳会談後の記者会見で、貿易相手国と同様の関税を課す相互関税についても言及した。10日か11日に会合を開き詳細を発表するという。

上で述べたとおり、アメリカ消費者のインフレ期待はトランプ関税の影響を敏感に感じ取り上昇している。ゆえに各市場では、インフレ再燃のリスクを意識する状況にある。この状況での関税強化の動きは、高値圏にある米国株の調整売り要因として利用される可能性がある。


S&P500 今週の見通しとテクニカルライン

週間予想レンジの下限:5,900
インフレ再燃の懸念とトランプ関税の新たな動きに直面している状況を考えるならば、今週のS&P500は下値リスクを警戒したい。週間の予想レンジ下限は5,900。このラインを目指すサインとして、3つの移動平均線の攻防に注目したい。

・20日線を難なく下抜ける場合は75日線のトライを想定したい。サポートラインへ転換する可能性がある5,975の下方ブレイクは、75日線をトライするサインと捉えたい。この移動平均線は今月3日に相場をサポートした経緯がある

・75日線の下方ブレイクは、90日線をトライするサインとなろう。後者の移動平均線をも下抜ける場合は、予想レンジの下限5,900レベルのトライを意識したい。このラインは、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる

サポートライン
・6,009:20日線(日足、2/7時点)
・5,975:サポート転換の可能性あり(1時間足)
・5,959:75日線(日足、2/7時点)
・5,928:90日線(日足、2/7時点)
・5,908:想定レンジの下限、61.8%戻し(1時間足)

週間予想レンジの上限:6,188
一方、米物価指数でインフレの鈍化傾向が確認される場合、S&P500は以下にまとめたレジスタンスラインをトライする展開を想定したい。週間の予想レンジ上限は6,180。

・今週、S&P500が上値をトライする場合は、6,100ポイントの突破とサポート転換が焦点となろう

・6,100付近がサポートラインへ転換すれば、今年1月24日の取引時間に付けた最高値6,128ポイントの更新とフィボナッチ・エクステンション76.4%の水準6,188レベルを視野に上昇幅の拡大を想定したい。後者のテクニカルラインを今週の予想レンジの上限と想定したい

レジスタンスライン
・6,188:想定レンジの上限、フィボナッチ・エクステンション76.4%(日足)
・6,128:1月24日の高値(日足、1時間足)
・6,100:レジスタンスライン(日足)


S&P500のチャート

日足 2024年11月以降

日足 2024年11月以降

出所:TradingView

1時間足 1月15日以降

1時間足 1月15日以降

出所:TradingView


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