米国株、混乱継続を警戒 S&P500誤情報で乱高下 エヌビディア反発
S&P500は7日に3日続落。相互関税停止検討の誤情報が乱高下につながった。トランプ政権は混乱収拾に乗り出しているが、実態経済への悪影響の懸念は続く。

アメリカの株式市場の混乱が収まらない。S&P500種株価指数の7日の終値は3営業日続落の0.23%安。ドナルド・トランプ大統領が関税の90日間停止を検討しているとの誤情報で乱高下した末の小幅安となった。7日の値動きは株式市場が相互関税撤回を待ち望んでいる証といえ、投資家の緊張感は依然として高まったままだ。一方、トランプ政権幹部は相互関税をめぐる各国との協議に言及しており、事態の悪化にブレーキがかかったかにもみえる。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は7日に3営業日ぶりに反発した。ただ、トランプ氏は7日も中国に対する追加関税の上積みに言及しており、S&P500の今後の見通しへの楽観は許されない状況。10日発表の3月の消費者物価指数(CPI)の結果などで改めて米国経済への不安が高まることも考えられる。
アメリカのS&P500は3日続落 最高値からは17.61%安に
S&P500(SPX)の7日の終値は5062.25。トランプ氏が相互関税を発表した翌日にあたる3日の前日比4.84%安、4日の5.97%安に続き、さらに下落が進んだ形となった。2月19日につけた最高値(6144.15)からの下落率は17.61%安まで広がっている。

「関税90日間停止」の誤情報で乱高下 VIX指数は46まで上昇し緊張感
S&P500の7日の値動きは誤情報に振り回された。米CNBCによると、7日午前10時10分ごろ、SNSのXで金融情報を発信している複数のアカウントが、ケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長を情報源として、トランプ氏が中国を除く国・地域に対して関税の90日間停止を検討していると投稿。この情報をCNBCが画面上のヘッドライン付きで放じたことで、S&P500は一時、前日比3.40%高にあたる5246.57まで急騰した。その後、ホワイトハウスがこの情報を否定したため、S&P500はマイナス圏へと戻ったものの、相互関税の撤回への期待の大きさを示す値動きとなった。

値動きの激しさは投資家の株価の見通しへの警戒感を強めている。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の7日の終値は前週末比3.69%高の46.98。2営業日連続で40を超える高水準となっている。

トランプ政権は各国との交渉をアピール エヌビディアは3日ぶり反発の3.53%高
一方、トランプ政権幹部からは相互関税が米国にプラスに働くとのアピールが続いている。誤情報の情報源とされたハセット氏は7日のFOXニュースでのインタビューで50か国超の国が米国との交渉を打診し、いくつかの国は「素晴らしい」取引を提案したとしている。またスコット・ベッセント財務長官は7日、日本の石破茂首相とトランプ氏との電話会談後、Xへの投稿で「世界貿易の新たな黄金時代」の実現に向けた日本との交渉をトランプ氏から託されたとし、「日本は米国の最も親密な同盟国であり続ける」とした。
こうした中、7日の株式市場では大手ハイテク株の一部は反発した。人工知能(AI)ブームを象徴する銘柄であるエヌビディアの株価(NVDA)の7日の終値は前週末比3.53%高で3営業日ぶりの値上がり。1月6日の最高値からの下落率は34.66%安と、依然として大きいままだが、買い戻しの兆しとも感じられそうだ。エヌビディアを含む「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7銘柄の中では、アマゾン・コム(AMZN)やメタ・プラットフォームズ(META)、アルファベット(GOOGL)も反発している。

トランプ氏は中国製品への50%関税上乗せに言及 3月CPIでも見通しに波乱か
ただ、トランプ氏の通商政策の見通しは予断を許さない。トランプ氏は7日、自身のSNSであるトゥルース・ソーシャルへの投稿で、相互関税への対抗策として中国が米国製品に34%の関税をかけるとしたことを批判。中国がこれを8日までに撤回しなければ、「米国は中国製品への50%の追加関税を9日に発動させる」とした。米国にとって、メキシコとカナダに次ぐ貿易相手国である中国との関係悪化は、米国の企業活動や物価への悪影響が懸念される材料だ。
このためS&P500の今後の見通しをめぐっては、トランプ氏の動向に加え、米国経済の状況についても改めて注目が集まりそうだ。米労働省が10日午前8時30分(日本時間10日午後9時30分)に発表する3月CPIで、物価上昇の根強さが感じられれば、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを進めにくくなるとの見通しが、株価を下押しする材料になる可能性がある。ブルームバーグがまとめた3月CPIの伸び率に関する市場予想では、総合指数が前年同月比2.5%、食品とエネルギーを除いたコア指数が3.0%と見込まれている。

トランプ氏の相互関税は予想を超える厳しさだっただけに、これ以上の事態の悪化は起きにくいとの見方も成り立つ。しかし相互関税が9日に発動されれば、世界の企業活動が大きな影響を受けることは避けられず、実態経済へのダメージが積み重なっていくことも考えられる。今後の米国株式市場では改めて、S&P500の値動きが経済指標の発表によって大きく左右される場面も出てきそうだ。
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