米国株の動揺止まるか 8月CPIは減速見通し S&P500反発
アメリカの8月CPIは物価上昇率が低下する見通し。FRBの利下げへの期待を深め、9日に反発したS&P500の追い風になる可能性がある。
アメリカで11日に発表される8月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇の落ち着きが感じられそうだ。総合指数の伸び率は前月から大きく低下し、米国経済にとっての朗報になる見通し。9日の株式市場では、S&P500種株価指数が前週末の雇用統計後の急落から反発しており、8月CPIが株式市場の動揺をさらに抑えこむ効果を生む可能性がある。ただしウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は9日も下がりきっておらず、投資家の不安は完全には治まっていない。こうした中で物価上昇率が上振れた場合には、今後の米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが遅くなるとの見通しが、S&P500に下落圧力をかけることも想定されそうだ。
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アメリカの8月CPIは伸び率が2.6%まで低下の見通し
米国の労働省は11日午前8時30分(日本時間11日午後9時30分)に8月CPIを発表する。ロイターがまとめた事前予想では、総合指数の伸び率は前年同月比2.6%となる見通し。前月の2.9%から大きく低下し、2021年3月(2.6%)以来の水準になると見込まれている。一方、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は前月と同じ3.2%になるとの予想だ。
物価上昇率の低下は2022年3月から続いてきたFRBの利上げ局面の終わりにつながるとみられる。金融市場の値動きでは、FRBの17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ着手が確実視されている情勢。日本時間10日午前11時現在、利下げ幅が0.25%幅となる確率が71%、0.5%幅となる確率が29%と見込まれている。
S&P500は雇用統計後の急落から反発 1.16%上昇
物価上昇鎮静化とともに金利が下がっていけば、株式の投資先としての魅力が相対的に増すことで株式市場には追い風になりそうだ。S&P500(SPX)の9日の終値は前週末比1.16%高の5471.05。8月雇用統計が発表された6日の1.73%安から反発した。労働市場をめぐる過度な悲観は後退したもようで、S&P500の反発継続への期待が高まる。
ただ、9日の反発は6日の下落分の3分の2程度で、株式市場の危機意識が完全に消え去ったわけではない。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の9日の終値は19.45。6日の22.38からは低下したとはいえ、7月中旬まで12程度で推移した低水準と比べれば、投資家の見通しに対する不安の強まりが感じられる。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、数値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを意味する。
こうした中、仮に8月CPIの伸び率が予想よりも上振れた場合には、FRBの利下げペースが予想よりも遅くなるとの見方が、S&P500の逆風になる可能性がある。LSEGのデータによると、金融市場では12月のFOMC後の政策金利は4.22%程度になると見込まれている。現状の5.25-5.50%から1.1%ポイントほど低い水準になり、9月、11月、12月のFOMCのうち少なくとも1回は0.50%幅の利下げが行われる計算だ。金融市場での利下げ見通しの深まりは、期待が裏切られた場合の悪影響を大きくしていることも考えられる。
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