米国株、上昇の勢い戻るか 10日に9月CPI S&P500見通し混迷
アメリカの9月CPIの伸び率は、総合指数で低下、コア指数で横ばいの見通し。S&P500の勢いを戻すには不十分とみなされる可能性もある。
アメリカで10日に発表される9月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が3年7か月ぶりの低さになる見通し。ただしコア指数の伸び率は横ばいになるとみられ、物価上昇鎮静化が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを後押しするという筋書きを印象づけるには不十分とみなされる可能性がある。米国の株式市場をめぐってはS&P500種株価指数の最高値付近でのもたつきが続いており、投資家心理は悪化したままだ。一方、決算発表シーズンを控える中、半導体株の値動きが米国の株式相場を揺らす可能性もあり、S&P500の今後の見通しは混迷の様相を呈している。
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アメリカの9月CPIの上昇率は総合指数で減速の見通し
米国の労働省は10日午前8時30分(日本時間10日午後9時30分)に9月CPIを発表する。ロイターがまとめた市場予想では、総合指数の伸び率は前年同期比2.3%となり、2021年2月(1.7%)以来の低さとなる見通し。6か月連続で前月から伸び率が低下すると見込まれている。FRBの追加利下げの可能性を高める、株式市場にとっての追い風を期待させる数字だ。
ただし9月CPIに関する予想では、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は、3か月連続で前年同月比3.2%になる見通し。物価上昇の鎮静化が思うように進んでいないと判断される可能性もある。8月CPIが発表された9月11日は、総合指数の伸び率は市場予想を下回ったものの、家賃の上昇加速などが悪材料視され、S&P500は発表後しばらくは下落で反応した。
アメリカのS&P500は最高値付近でもたつき VIX指数高止まり
このところのS&P500(SPX)は好材料にも沸き立たなくなっている。FRBが4年半ぶりの利下げを決めた9月18日は前日比0.29%安。9月雇用統計で労働市場の堅調さが確認された10月4日は0.90%高だったが、週明け7日には0.96%安となって勢いは続かなかった。8日は0.97%高の5751.13をつけたものの、9月30日の最高値(5762.48)には届いていない。
こうした中、「ウォール街の恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)も高止まりが続く。シカゴ・オプション取引所によると、8日のVIXの終値は21.42で、前日から1.22ポイント低下しつつも、20を超える高水準だ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、数字が大きいほどS&P500の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを示す。
エヌビディアは最高値接近 TSMCの業績は半導体株の追い風?
一方、米国の株式市場にはCPIとは別の側面から追い風が吹くことも考えられる。半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)は9日に9月の台湾ドルベースでの総収入を発表する予定。7-9月期を通じた総収入が市場予想を超えれば、米国の半導体株にとっても好材料とみなされる可能性がある。TSMCの7月と8月の総収入は合計5078.19億台湾ドル。これに対してLSEGがまとめた金融市場の予想では、TSMCの7-9月の総収入は7467.95億台湾ドルの見通しとなっている。
米国の半導体株は勢いが戻りつつあり、半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価は8日の終値が前日比4.05%高の132.89ドルに達した。5営業日続伸で、6月18日の最高値(135.58ドル)が迫っている。とはいえ、投資家心理が悪化するなか、TSMCが好調な業績を示した場合でも反応が限定的にとどまる可能性もあり、S&P500の今後の見通しは方向性がでにくい状況が続きそうだ。
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