米国株、上昇加速失敗 S&P500大幅安 半導体株の見通し開けるか
アメリカのS&P500は7日、中東情勢悪化で約1%安。雇用統計による上昇を帳消しにした。今後は半導体株の値動きにも注目が集まる。
アメリカの株式市場が上昇加速に失敗した。S&P500種株価指数の7日の終値は前週末比0.96%安。9月雇用統計の堅調さを受けた4日の上昇分を1日で失う結果となった。労働市場の底堅さが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しを弱めると同時に、中東情勢の悪化が意識される中で原油価格が上昇。投資家の不安度は2か月ぶりの高さになった。一方、2024年7-9月期の決算発表シーズンを控え、半導体株には前向きな値動きも出ている。ただし人工知能(AI)ブームの先行きを占う半導体企業の業績がつまづけば、S&P500の今後の見通しを暗くすることも考えられそうだ。
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アメリカのS&P500は0.96%安 雇用統計での値上がり分消失
S&P500(SPX)の7日の終値は前週末比0.96%安の5695.94。下落幅は55.12ポイントで、9月雇用統計で就業者数増加の加速などが確認された4日の上昇分(51.13ポイント)を一気に失った。LSEGによると、長期金利(10年物米国債利回り)の7日のニューヨーク債券市場での終値は4.026%となり、7月31日(4.105%)以来2か月と1週間ぶりの4%台。金利上昇は株式の投資先としての魅力を相対的に低くするため、S&P500にとっては逆風といえる。
FRBの11月FOMCは利下げ見送り予想も浮上
金利上昇の背景にはるのは、FRBの利下げ見通しの後退だ。CMEグループのデータによると、11月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間8日午前11時の段階で約86%。利下げ見送りの確率も14%あると見積もられている。11月の0.5%利下げの予想もあった9月雇用統計前からは様変わりした形だ。
また、7日の金融市場では原油価格が急騰。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し、WTI原油)のニューヨーク市場での終値は前週末比3.71%高の1バレル=77.14ドルとなった。7日はレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織のヒズボラがイスラエル第3の都市であるハイファをロケット弾で攻撃したと報じられた。英BBCはハイファが標的になるのは2006年のイスラエルとヒズボラの戦闘以来だとしている。原油市場では、1日のイスラエルによるレバノン南部侵攻とイランによるイスラエルへのミサイル攻撃を機に上昇圧力が強まっている。
投資家心理は悪化 VIXは8月8日以来の高さまで上昇
こうした原油価格の上昇は米国の物価上昇につながる要因で、やはりFRBの利下げ見通しを弱める側面がある。同時に中東情勢悪化は世界経済の見通しを暗くする材料といえ、投資家の不安を強めているようだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の7日の終値は22.64で、7月雇用統計を機に市場が大混乱に見舞われた後にあたる8月8日(23.79)以来の高さだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、数値が大きいほどS&P500の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを意味する。
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