コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

最高値更新が視野に入るS&P500、注目の米指標はISM指数と雇用統計、懸念材料は?

S&P500種株価指数は現在、最高値の更新を視野に強気地合いを維持している。ISM非製造業の景気指数、そして雇用統計がアメリカ経済の底堅さを示す場合、S&P500は新たな高値圏の攻防へシフトする展開が予想される。しかし、株高のトレンドに水を差す懸念材料もある。

Source: Adobe images Source: Adobe images

記事のポイント

・S&P500は最高値の更新を視野に強気地合いを維持している
・今週も経済指標にらみの展開に、注目はISM非製造業景気指数と雇用統計
・9月のS&P500は、年間のパフォーマンスが最も悪い
・S&P500、今週の見通しと注目チャート水準について


最高値の更新が視野に入るS&P500

幅広い銘柄に広がる買い

機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500種株価指数(以下ではS&P500)は現在、7月16日につけた最高値5,667ポイント(終値ベース)を視野に強気の地合いを維持している。

株価以外のデータもS&P500の地合いの強さを示唆している。構成銘柄の上昇した株数と下落した株数を差し引くと、4週連続で上昇した銘柄が上回っている。

これまで米株高のけん引役だった半導体大手エヌビディア(NVDA)は、先月28日の第2四半期決算で売上高の見通しが投資家の期待を下回ったことで、株価が再び軟調地合いにある。

しかしS&P500はエヌビディア下落の影響をこなし、2週連続で上昇銘柄の数が300以上を上回った。これは今年に入り初めてである。そして、マグニフィセントセブンに代表される一部の主力株だけでなく、幅広い銘柄に買いが広がっていることを示している。

S&P500 上昇銘柄の数と下落銘柄の数の差:2024年以降

S&P500 上昇銘柄の数と下落銘柄の数の差:2024年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

投資家心理の落ち着き

一方、投資家の心理が落ち着いた状態にあることも、S&P500(S&P500)の強気地合いに影響している。

8月5日に65ポイントまで急上昇したVIX指数(VIX)は現在、15ポイントまで急低下している。そしてプットコールレシオは1.25と、今年の平均1.37を下回り投資家の心理が落ち着いた状態を維持していることを示唆している。

上で述べた株高のすそ野の広がりも考えるならば、S&P500は最高値の更新と新たな高値圏の攻防を意識する状況にある。

VIX指数とS&P500のプットコールレシオ:24年6月以降

VIX指数とS&P500のプットコールレシオ:24年6月以降

今週も経済指標にらみの展開に

米雇用統計では失業率に注目

アメリカの株式市場は、今週も経済指標にらみの展開が予想される。

先週の経済指標では、個人消費の底堅さが確認された。8月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)は103.3と、前月の101.9から大幅に改善した。第2四半期のGPD統計(改定値)では、個人消費が前期比で2.9%増と、速報値の同比2.3%増から大幅に上方修正された。

アメリカ経済を支える個人消費の底堅さが確認された状況で、今週6日に発表される8月の米雇用統計で労働市場の堅調さが示される場合は、景気の先行きに対する楽観的な見方がさらに強まろう。

特に注目したいのが失業率の動向である。7月に4.3%まで上昇し、景気後退の可能性を市場参加者に意識させる一因となった。8月は4.2%へ低下する見込みである。

失業率の低下は、景気の先行きに対する強気の見方を支えるだろう。非農業部門雇用者数変化も予想以上に増加する場合、S&P500は7月の最高値を突破し、下で述べる新たな高値の水準を視野に上昇幅の拡大を予想する。

米国の雇用統計 各項目:23年8月以降

米国の雇用統計 各項目:23年8月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

なお、今日のIG為替レポート「ドル円の週間見通し 経済指標次第では米ドル安の再燃も、今週はISM指数と雇用統計に注目」で指摘したとおり、雇用統計では非農業部門雇用者数変化や失業率といった「見かけの数字」だけでなく、詳細なデータもチェックしておく必要がある。

しかし、米ドルと同じく米国株も6日の市場では「見かけの数字」が材料視されるだろう。IG為替レポートで取り上げた失業の理由と複数の雇用先で働く労働者が増加の傾向にあることについては、中長期の目線でアメリカ労働市場のトレンドを見極めるための指標として注目したい。

ISM非製造業景気指数に注目

8月の米雇用統計以外にも、今週はいくつかの重要指標が発表される。なかでも8月のISM製造業と非製造業の景気指数は、米国株の変動要因となろう。

先月の米株反発の一因となったのが、市場の予想を上回った7月の非製造業景気指数だった。アメリカでは労働者の約8割がサービス業に従事していることも考えるならば、非製造業景気指数の内容に注目したい。

市場予想では、前月の51.4から51.1へ若干ながら低下する見通しにある。しかし、8月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値は55.2へ拡大している。ISM非製造業景気指数でもサービス業の堅調さが示される場合は、米株高の要因となろう。

製造業も含めてISM指数が総じて強い内容となれば、雇用統計の前にS&P500は最高値の更新だけでなく、新たな高値圏の攻防へシフトする展開が予想される。

また、雇用統計の前哨戦として雇用指数の動向にも注目したい。7月は46.6から51.1へ雇用が拡大した。8月も同じ状況が続く場合は、米雇用統計で労働市場の強さが示される可能性がある。

米国 ISM非製造業景気指数:23年8月以降

米国 ISM非製造業景気指数:23年8月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 「50」が景気判断の分かれ目

懸念材料は9月ということ

米経済指標では、景気の底堅さを示す内容が確認されている。投資家の心理も落ち着いており、これらがS&P500種株価指数(S&P500)強気地合いを支えている。今週の経済指標で景気の先行きに対する楽観的な見方がさらに強まれば、S&P500は新たな高値圏での攻防となろう。

しかし、S&P500の上昇局面では不意打ちの下落を警戒したい。そう考える理由は、今月が「9月」ということにある。

2020年9月は3.92%の下落、2021年9月は4.76%の下落、2022年9月は9.34%の下落、そして2023年9月は4.87%の下落と、9月のS&P500は4年連続で下落している。

S&P500が現在の形で算出されるようになった1957年以降、9月の平均騰落率は0.92%の下落率となっている。今週の経済指標が株高の要因となっても、来週以降は一時的に相場が崩れるシナリオを考えておきたい。

S&P500 月間の平均騰落率:1957年以降

S&P500 月間の平均騰落率:1957年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

S&P500の週間見通し

最高値更新なら5,800ポイント台への上昇が焦点に

日足のRSIはゴールデンクロスへ転じた後、上昇トレンドを維持している。そして買われ過ぎの水準にまだ到達していない。MACDは横ばい推移へ転じるムードにあるが、デッドクロスは確認されていない。テクニカルの面でもS&P500の強気地合いが示されている。

この状況で、上述の米経済指標で景気の底堅さが確認される場合、S&P500種株価指数(S&P500)は7月の最高値5,667をブレイクアウトする展開を予想する。テクニカルの面でこの水準は、フィボナッチ・エクステンション76.4%(5,666ポイント)にあたる。7月最高値の突破は、重要テクニカルラインの上方ブレイクを意味する。

S&P500が新たな高値圏の攻防へシフトする場合は、100ポイントのレンジで上値の水準を見極めたい。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション100%の水準5,835レベルを目先の重要なレジスタンスポイントと想定しておきたい。

S&P500:日足 今年4月以降

S&P500:日足 今年4月以降

出所:TradingView

反落局面での注目水準は?

一方、今週の重要指標が景気懸念を再燃させる要因となれば、S&P500種株価指数(S&P500)の反落を予想する。

先月30日に50日線が5,500台へ上昇した(5,503ポイント)。一方、21日線は5,479ポイントまで上昇している(8月30日時点)。5,500ポイントを挟んで重要な移動平均線が展開している状況を考えるならば、S&P500の下落局面では5,500ポイントをレンジの下限と想定しておきたい。

S&P500が5,500ポイントを目指すサインとして、今週は3つのテクニカルラインに注目したい。最初はフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準5,594レベルである。この水準の攻防では、5,600維持の見極めが焦点となろう。

S&P500が5,500ポイント台へ下落する場合は、短期の下値支持線(サポートライン)の維持が焦点として浮上しよう。

下値支持線の下方ブレイクは、S&P500がフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5,560レベルをトライするサインと捉えたい。このテクニカルラインは、8月19日にサポートラインへ転換して以降、8月下旬の反落を何度か止めている重要水準である。ゆえに、5,560レベルの下方ブレイクは、想定レンジの下限5,500レベルをトライするサインとなろう。

S&P500が上昇する場合は、フィボナッチ・リトレースメントの水準も上方に変動しよう。最新の高値とリトレースメントの水準を確認しておきたい。

45分足のストキャスティクスは、買われ過ぎの水準へ到達している。ストキャスティクスがデッドクロスへ転じ、買われ過ぎの水準以下へ低下する場合は、上で述べたサポート水準を視野に反落相場を意識したい。

S&P500:45分足 8月中旬以降

S&P500:45分足 8月中旬以降

出所:TradingView

S&P500の上値と下値の水準

上値の水準(レジスタンス)

・5,835:エクステンション100%
・5,800:レジスタンス
・5,700:レジスタンス
・5,667:7月の最高値

下値の水準(サポート)

・5,594:リトレースメント38.2%
・5,560:リトレースメント61.8%
・5,503:50日線(8/30)
・5,479:21日線(8/30)


本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

米国株分析レポート

米国株を取引する際に知っておきたい情報はこちら。米国株式市場に影響を与えるニュースからトレンド分析まで、IG証券のマーケットアナリストが解説します。

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。