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強気地合いの米国株、S&P500は7月高値が視野に 経済指標とパウエル講演に注目

米国株が強気の地合いを維持している。多くの機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500種株価指数は、7月の高値5,667(終値での最高値)が視野に入る。今の米株高の土台となっているのが、景気懸念の後退と9月の利下げ期待である。さらなる株高を促す材料として、目先注目したいイベントは?S&P500の見通しは?

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記事のポイント

・米国株が強気地合いを維持し、S&P500は7月に付けた最高値が視野に入る
・景気懸念の後退と9月利下げ期待が今の米株高の土台となっている
・今日と明日の米国株は、経済指標とパウエル講演で動くことが予想される
・S&P500の見通しと注目のチャート水準について


S&P500、注目のチャート水準

上値の水準(レジスタンス)

・5,835:エクステンション100%
・5,800:レジスタンスの水準
・5,700:レジスタンスの水準
・5,666~5,669:エクステンション76.4%、7月の高値水準
・5,532:8月21日の高値

下値の水準(サポート)

・5,602:リトレースメント23.6%
・5,584:5日線
・5,572:リトレースメント23.6%
・5,529:リトレースメント23.6%
・5,500:サポート水準、全戻し

揺れる9月の利下げの思惑

アメリカの労働省は21日、2024年分の雇用統計について年次基準改定の推定値を公表し、3月時点の非農業部門の全雇用者数を81万8000人引き下げた。

短期金融市場ではすでに、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でパウエルFRBが利下げに踏み切ることを織り込んでいる。7月のFOMC議事要旨でも多くの参加者が9月の利下げについて適切と判断していることが判明した。ゆえに9月FOMCの焦点は、利下げの幅にある。

現時点では0.25ポイントの利下げが有力視されている。しかし雇用統計の下方修正が影響してか、0.5ポイント利下げの確率が雇用統計の年次基準改定が発表される前の20%台から30%台へ上昇している。

9月FOMCの利下げ確率

9月FOMCの利下げ確率 出所:CMEのFedWatchツール

経済指標にらみの状況が続く

8月PMI速報値

今夏の株安局面で、9月FOMCでの0.5ポイント利下げの可能性が一時80%台まで上昇した。景気懸念が新たなテーマに浮上しつつある状況を考えるならば、今後の経済指標次第では、30%台にあるその可能性が再び上昇することが予想される。

今日は、8月の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。今月の上旬に7月のISM製造業・非製造業の景況感指数でアメリカの景気に対する市場の見方が右往左往した。

ISM指数と同じく、企業の景況感を考えるうえで近年注目されているPMI速報値の内容もアメリカ経済に対する市場の思惑と米国株の変動要因となる可能性があろう。

ブルームバーグがまとめたデータによれば、8月のPMI速報値は、7月から総じて低下する見通しとなっている。予想以上に低下する場合は、景気懸念が株高の調整要因になり得る。

米国 購買担当者景気指数(PMI):2021年8月以降

米国 購買担当者景気指数(PMI):2021年8月以降 出所:ブルームバーグ

週間の新規失業保険申請件数にも注目

年次改定で雇用統計が下方修正された後だけに、8月のPMI速報値と同じく週間の新規失業保険申請件数も材料視される可能性がある。

上昇基調にあった4週移動平均だが、直近は低下基調へ転じ、アメリカの労働市場がかろうじて底堅さを維持していることを示唆している(下のチャート、赤ラインを参照)。

9月の利下げが有力視されるなか、新規失業保険申請件数で労働市場の堅調さが確認される場合は、利下げ期待と景気不安の後退が米国株の押し上げ要因となろう。

問題は、労働市場の軟化が示される場合である。その後に発表される8月PMI速報値の内容にもよるが、労働市場の軟化は市場参加者に景気懸念を想起させる要因になり得る。同時にPMI速報値も市場予想を下回るようなら、短期間で上昇幅が拡大してきた米国株の調整売りを警戒したい。このケースでは、下で述べる3つのフィボナッチ・リトレースメント23.6%水準の攻防に注目したい。

米国 新規失業保険申請件数:2023年8月以降

米国 新規失業保険申請件数:2023年8月以降 出所:ブルームバーグ

ジャクソンホール会議とパウエル講演

カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム「ジャクソンホール会議」が22日から24日の日程で開かれる。23日に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が経済見通しに関する基調講演を行う。労働市場の見通しについて言及する場合、それがどのような内容となるのか?この点に注目したい。

7月の雇用統計では失業率4.3%へ上昇した。サームルール※の経験則に従えば、アメリカ経済は景気後退に向かっている可能性が示唆された。また、上で述べたとおり雇用統計の年次改定では、非農業部門の全雇用者数が81万8000人引き下げられた。下方修正の幅は2009年以来の大きさとなった。

米国の失業率とサームルール景気後退指標:2023年以降

米国の失業率とサームルール景気後退指標:2023年以降 出所:ブルームバーグ


※サーム・ルール:直近3ヶ月の平均失業率が、過去12ヶ月の最低値から0.5ポイント上昇したとき、景気後退に陥るという経験則

労働市場の冷え込みが今後も続くことで、景気後退の可能性が次第に高まる状況をパウエルFRB議長が警戒する場合は、9月FOMCでの0.5ポイント利下げの可能性が現在の30%台からさらに上昇することが予想される。利下げ期待の高まりは米国株の押し上げ要因となろう。

しかし、パウエルFRB議長が近い将来の景気後退を俎上に載せる場合は、株安の要因にもなり得る。米国株のトレンドを左右するのが、上で述べた経済指標となるだろう。今日以降の重要指標で景気懸念を想起させる内容が続けば、今の株高に冷水を浴びせることになろう。

S&P500の見通しとチャート分析

焦点は7月高値の突破

多くの機関投資家が運用のベンチマークにしているS&P500種株価指数(SPX、以下ではS&P500)は、8月5日の安値5,119レベルから21日までに9.8%上昇している。

50日線を上方ブレイクした後も5日線がサポートラインとして意識されている。そしてMACDはゴールデンクロスへ転じた後も上昇を維持し、ゼロラインを上回ってきた。RSIは買われ過ぎの水準までまだ余裕があり、かつデッドクロスを形成するムードにない。

これらテクニカルの動向も考えるならば、目先の焦点は7月の高値5,667(終値ベースでの最高値、7月16日高値は5,669レベル)のトライ&ブレイクとなろう。テクニカルの面で7月高値の水準は、フィボナッチ・エクステンション76.4%戻し(5,666)にあたる。

4月以降の上昇相場を止めた水準であり、かつテクニカルの面でも重要な水準である5,666レベルを日足ローソク足の実体ベースで完全に突破する場合は5,700、5,800と100ポイントのレンジで新たな上値の水準を見極めたい。

S&P500が5,800ポイント台の攻防となる場合は、フィボナッチ・エクステンション100%の水準5,835レベルのトライが焦点として浮上しよう。

S&P500:日足 今年4月以降

S&P500:日足 今年4月以降

5,500ポイント台の攻防

さえない経済指標やパウエル講演が米株高の調整要因(反落の要因)となる場合、S&P500(SPX)は3つのフィボナッチ・リトレースメント23.6%水準の攻防に注目したい。

最初の水準は、8月15日の安値を起点とした5,602である。5,600ポイントの維持を見極める水準として注目したい。2つ目の水準は、8月13日の安値を起点とした5,572レベルである。S&P500が5日線(21日時点で5,584レベル)を下方ブレイクする場合は、5,572トライのシグナルと想定しておきたい。そして3つ目の水準が、8月7日の安値を起点とした5,529レベルである。15日から16日にかけて相場をサポートた経緯がある。

S&P500が最後の5,529レベルを下方ブレイクする場合は、5,500をトライするシグナルと捉えたい。この水準のトライは、最初のフィボナッチ・リトレースメントの全戻しの攻防となる。

1時間足のストキャスティクスとRSIは買われ過ぎの水準でデッドクロスへ転じた後、下降トレンドにある(下のチャート、赤矢印を参照)。短期間で10%近く急反発した状況も考えるならば、今日の経済指標が景気の先行き懸念を市場参加者に想起させる内容となれば、調整の株安を想定しておきたい。

S&P500 が下値をトライする局面では、上で取り上げた3つの23.6%水準の攻防に注目したい。

S&P500:1時間足 8月以降

S&P500:1時間足 8月以降

出所:TradingView


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