米国株に4度目の衝撃? ハイテク決算再開 S&P500見通し不安
アメリカの29日のS&P500は小幅高。30日からのハイテク決算は7月に入って4度目のショックになる恐れがあり、緊張感が増している。
アメリカの株式市場が7月に入って4度目の衝撃に身構えている。S&P500種株価指数の29日の終値は前週末比0.08%の小幅高。長期金利(10年物米国債利回り)が7営業日ぶりに4.1%台に下落する好材料はあったが、反応は薄かった。投資家の関心は30日のマイクロソフトを筆頭に相次ぐハイテク大手の2024年4-6月期決算発表に向かっているもよう。23日のテスラとアルファベットの決算発表ではS&P500が急落しており、改めて株価が揺れ動くおそれがある。7月のS&P500の値動きでは、このほかに2度のショックが起きており、株式市場の見通しに不安が強まっている。
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アメリカのS&P500は小幅高 30日以降の決算発表に関心
S&P500(SPX)の29日の終値は5463.54。26日の1.11%高に次ぐ続伸だが、23-25日にかけての2.97%安からの回復は鈍い。29日のニューヨーク債券市場では長期金利の終値が4.178%まで下がり、18日(4.188%)以来の4.1%台になったものの、株式相場の追い風にはならなかった。
こうした中、投資家の最大の関心事となっているのは、米国時間の30日から発表が続く、大手ハイテク各社の4-6月期決算だ。30日にはマイクロソフト(MSFT)、31日にはメタ・プラットフォームズ(META)、8月1日にはアマゾン・コム(AMZN)とアップル(AAPL)が決算を発表する。また英国半導体大手のアーム・ホールディングス(ARM)の決算発表も、米国時間の31日の取引時間終了後に行われる。一方、半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の5-7月期決算発表は8月28日の予定だ。
マイクロソフトなどの決算でS&P500下落の見通しも
大手ハイテク株の値動きを3月末を基準としてみると、人工知能(AI)ブームの立役者であるエヌビディアの値上がりに加え、1月から4月下旬までの値下がりが大きかったテスラとアップルの反発が目立つ。ただ、7月中旬以降は各社とも下落基調をたどっており、見通しは明るくない。
株価下落の直近のきっかけは23日の取引時間終了後に行われたテスラとアルファベットの決算発表だ。いずれも利益面での不安が悪材料視され、翌24日には「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価がそろって下落した。また、6月消費者物価指数(CPI)の発表で米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が強まり、大手ハイテク株から中小型株へのシフトが起きた11日と、大統領選挙の共和党候補、ドナルド・トランプ前大統領の台湾防衛をめぐる発言が材料視された17日も7社の株価がそろって下落している。
大手ハイテク株は時価総額が大きく、S&P500に与える影響度も大きい。S&P500の下落率は、6月CPI発表の11日は前日比0.88%安、トランプ氏の発言が材料視された17日は1.39%安、テスラとアルファベットの決算翌日の24日は2.32%安だった。このため、30日以降の各社の決算発表は7月に入って4度目のショックになる可能性がある。
S&P500にはFOMCや雇用統計も影響か
また、S&P500の見通しには米国の金融政策の先行きをめぐる思惑も影響しそうだ。31日には連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表、8月2日には7月雇用統計の発表という、米国の金利の見通しを占う重要な日程が予定されている。金融市場ではFOMCでの政策金利維持が濃厚とみられているが、ジェローム・パウエル議長の記者会見などで9月利下げの確度が高まれば、長期金利の下落見通しが中小型株シフトを加速させる可能性もある。また7月雇用統計でも失業率の上昇などで労働市場の冷え込みが感じられれば、6月雇用統計発表時のようにFRBの利下げ観測を強めると考えられる。
こうした中、ウォール街の恐怖指数と呼ばれるVIX指数(VIX)は25日には18.46まで上昇。4月19日(18.71)以来の水準を更新した。S&P500の今後の値動きが激しくなるとの予想が投資家の警戒感を高めているようだ。
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