米国株大反発 半導体株高でS&P500上昇 FRB利下げ予想拡大
アメリカのS&P500は31日に5か月ぶりの上昇率を記録。マイクロソフトの決算発表も大きな逆風にはならず、半導体株上昇を後押しした。
アメリカの株式市場が衝撃を回避した。S&P500種株価指数の7月31日の終値は5か月ぶりの上昇率にあたる前日比1.58%高。NIVIDA(エヌビディア)をはじめとする半導体株が躍進した。前日のマイクロソフトの2024年4-6月期決算は株式相場全体の悪材料とはならず、むしろ半導体需要の高まりへの期待を強めている。また米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の31日の記者会見が9月利下げ見通しを強める内容だったことも、株式相場の追い風となった。8月2日に発表される7月雇用統計で米国経済の堅調さが感じられれば、S&P500の上昇を促すことになりそうだ。
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S&P500は1.58%高 2月22日以来の上昇率を記録
S&P500(SPX)の31日の終値は5522.30。16日につけた最高値(5667.70)からの下落率を2.56%まで縮めた。前日比での上昇率はエヌビディアの2023年11月-2024年1月期決算発表が好感された翌日にあたる2月22日(2.11%高)以来の大きさだ。
マイクロソフトの設備投資は半導体株の上昇を促す
また、同じく前日に4-6月期決算を発表したマイクロソフトの株価(MSFT)は前日比1.08%安。設備投資の増加見通しが嫌気されたが、2025年1-6月期のクラウド事業の成長加速も示唆され、他の大手ハイテク企業の株価への悪影響は生じなかった。むしろ設備投資の増加は半導体への需要を高める要因とみなされ、エヌビディアなどの半導体株やS&P500の上昇につながったもようだ。
FRBの利下げ見通し拡大 「早ければ9月会合で議論」
さらに31日にはFRBの利下げ見通しの強まりという追い風もあった。FRBは31日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場予想通り政策金利の維持を決定。そのうえでパウエル氏は記者会見で、「利下げに関する議論は、早ければ次回9月の会合で行われる可能性がある」と述べた。
パウエル氏は米国の物価上昇率の低下が緩やかながらも進んでいることを評価。同時に6月の失業率が4.1%に上がったことについても「歴史的にみれば低い水準だ」として、米国経済は良好だと強調した。こうした状態が続けば、2001年以来の高い水準にある政策金利を引き下げるタイミングが近づいているとの見通しを示した形だ。
7月雇用統計は堅調な予想 S&P500に追い風か
株価をめぐる好材料が相次ぐ中、株式市場では2日に発表される7月雇用統計への関心が高まる。ロイターがまとめた事前予想では、非農業部門の就業者数は前月比17.5万人増となる見通し。失業率は6月と同じ4.1%、平均時給の伸び率は前年同月比3.7%に下がると見込まれている。いずれも労働市場の急激な悪化も物価上昇圧力の高まりも感じさせない結果といえ、FRBの利下げ見通しを強めそうだ。CMEグループによると、FRBが年内に3回の利下げを行うことについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間1日午前11時現在で76%程度となっている。
31日の株式市場では中小型株で構成される株価指数のラッセル2000(RUT)も上昇したが、伸び率の前日比0.51%高はS&P500を下回った。今後も大手ハイテク企業の設備投資が将来の収益機会を高める材料とみなされれば、FRBの利下げ見通しの強まりがハイテク株から中小型株への資金移動を促す構図が弱まっていくとも考えられる。株式市場にとっては利下げ見通しが素直にS&P500の上昇につながる環境が戻ってくる可能性がありそうだ。
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