米国株に上昇期待 S&P500最高値目前 FRB利下げ確実見通し
アメリカのS&P500はFRBのパウエル議長の「利下げ予告」を受けて上昇。今後は28日のエヌビディア決算に注目が集まりそうだ。
アメリカの株式市場で上昇期待が高まった。S&P500種株価指数の23日の終値は1週間前比で1.45%高。2週連続の上昇で7月中旬の最高値が目前にせまった。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が23日のワイオミング州ジャクソン・ホールでの講演で、9月の利下げを事実上予告したことが株式市場の見通しを明るくしている。ただしパウエル氏は失業率上昇には警戒感を強めており、S&P500の値動きには上昇へのためらいも感じられた。今後は28日に発表される半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の決算発表が最高値更新への最後の一押しになる可能性もある。
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アメリカのS&P500は週次連騰 最高値まで0.58%
S&P500(SPX)の23日の終値は前日比で1.15%高の5634.61。5週ぶりの反発だった前週(3.93%高)に続く週次での値上がりとなった。7月16日につけた最高値(5667.20)まで、あと0.58%の上昇で到達する水準だ。長期金利(10年物米国債利回り)は23日のニューヨーク市場の終値で3.807%となり、前日から0.055%ポイント低下した。
FRBのパウエル議長は講演で「9月利下げ予告」
S&P500を最高値目前まで引き上げたのは注目が集まっていたパウエル氏のジャクソン・ホール講演だ。パウエル氏はこの中で、「金融政策を調整する時が来た。向かうべき方向ははっきりとしている」と言及。9月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切ることを事実上予告した。
この発言を受けて金融市場では利下げ見通しが強まった。CMEグループのデータによると、9月FOMCでの利下げ幅が0.5%となることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間24日朝の段階で37%。23日朝の25%から高まっている。
中小型株も上昇 労働市場の見通しへの懸念は残る
利下げ見通しの強まりは、中小型株も押し上げた。中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)の23日の終値は前日比3.19%高の2218.70。S&P500を上回る勢いで、パウエル氏の「利下げ予告」に反応した。ラッセル2000は6月の消費者物価指数(CPI)の上昇減速が確認された7月11日以降の値動きでも、S&P500を大きく上回る成績を残している。中小型株企業は変動金利での借り入れが大企業よりも多く、金利水準低下の好影響を受けやすいとされる。
ただし米国経済をめぐっては物価上昇に代わる最大の懸案となっている労働市場の悪化という問題がくすぶる。23日のS&P500はパウエル氏の講演後に値上がりしたものの、午後には前日比での上げ幅が0.26%まで縮まる場面もあった。パウエル氏は講演の中で7月雇用統計で失業率が4.3%まで高まったことを踏まえ、労働市場の冷え込みは間違えようのない事実だとし、「われわれはこれ以上の冷え込みは求めていないし、歓迎もしない」と警戒感をあらわにした。22日に発表された11-17日週の新規失業保険申請件数は23.2万件で、市場予想の23万件をわずかに上回っている。
エヌビディア決算がS&P500最高値更新を後押しも
こうした中、株式市場の今後の見通しは、28日の取引時間終了後に発表されるエヌビディアの2024年5-7月期決算にかかってきそうだ。半導体株の筆頭格であるエヌビディアの株価(NVDA)の23日の終値は129.37ドルで、週次で3.18%高。前週の18.93%高に続く連騰となった。7月10日の最高値(134.91ドル)まではあと4.28%まで迫っている。時価総額が3兆ドルを超えるエヌビディアが決算発表に際し、8-10月期の見通しについて市場の期待を超える数字を示せば、株価が急上昇し、S&P500の最高値更新が実現するという筋書きも考えられそうだ。
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