エヌビディア、高成長見通し示せるか 28日決算 株価は今年2.6倍
エヌビディアの28日の5-7月期決算発表は、8-10月期の成長見通しが焦点。高成長が一巡するなかでも強い数字を示せば株価上昇も。
半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)が28日の取引時間終了後に発表する2024年5-7月期決算は業績見通しで成長力を示せるかが焦点だ。エヌビディアの総収入は前年同期の数倍に達する急成長が4四半期にわたって続いており、ハイペースの持続は容易ではない。こうした中でも8-10月期の見通しで投資家の期待に応えられるかが、株価の行方を左右しそうだ。半導体産業はアメリカ政府による中国向け輸出規制強化という不確定要素にもさらされており、2024年に入って2.6倍になっているエヌビディアの株価への逆風が強まる可能性もある。
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エヌビディアの5-7月期決算は総収入が2.1倍になる見通し
エヌビディアはアメリカ東部時間28日午後4時20分(日本時間29日午前5時20分)ごろに決算を発表。40分後の午後5時から決算会見を開く。LSEGがまとめたエヌビディアの5-7月期決算に関する事前予想は、総収入が前年同期比2.1倍の286.05億ドルになる見通し。エヌビディア決算で投資家が注目する調整ベースの1株当たり利益(EPS)は2.4倍にあたる0.64ドル(株式分割前のベースでは6.4ドル)になるとみられている。エヌビディアは過去17回の四半期決算のうち、総収入で1回、1株当たり利益で2回、市場予想を超えられなかった。
エヌビディアの株価(NVDA)は2023年の1年間で約3.4倍に急騰した。20日の終値は127.25ドルで、2023年末の水準からさらに2.6倍になっている。エヌビディアは人工知能(AI)開発やAIサービスの提供に不可欠な高性能半導体で圧倒的なシェアがあることが高く評価されてきた。AI関連の半導体を手掛けるデータセンター部門の収入は2-4月期に225.63億ドルに達し、前年同期の5.3倍になっている。
LSEGによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は37.96倍。前回の決算発表前にあたる5月中旬の水準(33倍程度)からやや割高感が増した。同じ半導体大手のブロードコム(AVGO)やアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の予想PERが28-33倍程度であることと比べても、やはり割高だ。アナリストが提示する目標株価の平均は137.11ドル。8月中旬以降は160ドル台に引き上げる動きも出ている。60人のアナリストのうち18人は強い買い、37人は買いを推奨。残る5人は維持を勧めている。
8-10月期の総収入の見通しがエヌビディアの株価を左右
急成長を成し遂げてきたエヌビディアだが、今後の成長のペースは鈍化していく見通しだ。5-7月期の総収入について市場が見込む2.1倍の成長は、2-4月期まで3四半期連続で続いた3倍超の拡大と比べれば小さめだといえる。エヌビディアの急成長は1年前にあたる2023年5-7月期から始まっており、比較対象となる1年前の業績の水準の高さが成長率を低くする効果を生むことは避けられない。
こうした中、28日の決算発表では、エヌビディアが示す8-10月期の総収入の見通しに注目が集まりそうだ。LSEGによると、金融市場では前年同期比74%増の315.98億ドルになると予想されており、この水準をクリアできれば株価に上昇圧力がかかると考えられる。
アメリカの中国向け輸出規制は半導体株の重荷に
ただし世界の半導体株を急騰させてきたAIブームの熱気がいつまでも続くとは限らない。AI開発やAIサービスの強化を進める大手ハイテク各社の決算発表をめぐっては、AI関連投資が利益を圧迫することへの投資家からの不満が株価を下落させるケースも目立つ。今後は大手ハイテク企業が半導体を確保する動きにブレーキがかかる可能性もぬぐえない。
また、エヌビディアをはじめとする半導体株は政治リスクにもさらされている。アメリカのバイデン政権は先端半導体技術の輸出をめぐる規制を強化しており、エヌビディアの中国での収入は2023年8-10月期をピークにして減少基調となっている。バイデン政権は8月中に半導体製造装置の中国向け輸出に関する新たな規制を公表すると報じられており、半導体株の上昇をめぐる今後の見通しを悪くすることも想定されそうだ。
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