日経平均、追い風でも下落 半導体株高短命 S&P500は見通し改善
日経平均はエヌビディア決算の追い風に乗れず、週次で下落。一方、S&P500は週次での上昇を確保したが、FRBの金融政策と同様に方向性を欠いている。
日経平均株価が追い風に乗れなかった。24日の終値は1週間前比で141.27円安。アメリカの半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の好決算後、半導体株が急上昇する局面があったが、熱狂は短命に終わっている。米国経済の底堅さを受けた長期金利(10年物米国債利回り)の上昇が重荷になったようだ。一方、S&P500はエヌビディア決算翌日に予想外の下落に見舞われた後、さらにその翌日で前日の下落分を取り戻す展開。一度は暗転した見通しが改善している。とはいえ、週次での上昇率はわずかで、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の方向性と同様に、定まりがつかないムードだ。
日経平均はエヌビディアの好決算でも週次で下落
日経平均(N225)の24日の終値は1週間前比0.36%安の3万8646.11円。2週ぶりの週次下落となった。東京株式市場ではエヌビディアの2024年2-4月期決算発表が好感された23日、半導体検査装置のアドバンテスト(6857)が前日比5.36%高、や半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)が1.80%高になるなど、半導体株が軒並み急上昇。この日の日経平均は486円高と勢いづいた。しかし翌24日は主だった半導体株がそろって下落し、日経平均は457円安と沈んだ。東京エレクトロンは週次で0.83%安となり、日経平均を29.42円下押ししている。
半導体株の値上がりが短命に終わった背景には、FRBによる利下げの確度が高まらないことがある。S&Pグローバルが23日に発表した5月の米国購買担当者景気指数(PMI)は市場予想を上回る強さ。この日の米国の長期金利は4.475%まで高まった。4.5%を下回る水準とはいえ、利下げ見通しを裏付けた4月消費者物価指数(CPI)発表前の水準に戻った形となった。
S&P500は週次で微増 半導体株は上昇基調を維持
こうした中、米国のS&P500(SPX)も方向性に欠いている。米国の株式市場ではエヌビディア決算翌日の23日、エヌビディア自身の株価(NVDA)は前日比9.32%高と急騰したものの、5月PMIの強さがショックとなってS&P500は0.74%安という不振。しかしさらに翌日の24日は0.70%高となって前日の下落分を取り戻し、見通しを明るくした。個別の半導体株ではエヌビディアが続伸したほか、クアルコム(QCOM)も上昇基調を維持しており、人工知能(AI)ブーム継続への期待がつながっている。
ただ、S&P500の24日の終値は5304.72で、1週間前との比較ではわずか0.03%高。5週連続の上昇とはいえ、勢いには欠けている。米国経済をめぐっては5月、エヌビディアの好決算や4月CPIの低下に加え、4月雇用統計での労働市場の過熱感の和らぎといった好材料もあったが、米国経済の今後の見通しをさらに時間をかけて見極めたいというムードもあるようだ。
アメリカ経済の見通しやPCE物価指数などが株価を左右
米国の株式市場は27日がメモリアル・デーで休場。その後、30日には1-3月期GDPの改定値の発表、31日には4月の個人消費支出(PCE)物価指数の発表がある。米国経済の動向がより鮮明になるにつれて、9月実施が見込まれているFRBの利下げの確度が上下する可能性があり、S&P500や日経平均の見通しにも影響を与えるとみられる。
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