【ドル円(USD/JPY)】円買い介入と変動幅の拡大を警戒 160円へ到達したドル円 目先の展望とチャートポイント
29日の外為市場では円の売り買いが激しく交錯し、ジェットコースターのような相場となった。急速な円の買戻しは円買い介入の可能性を想起させる。ゆえに目先の円相場は、変動幅の拡大を警戒しておきたい。今日のドル円(USD/JPY)の見通しは?注目のチャートポイントは?
サマリー
・週明けの円相場は売り買いが激しく交錯し、ジェットコースターのような相場に
・今の状況での円買い介入は、むしろ円安を進行させる要因になり得る
・ドル円は160円台への上昇と161.51レベルのトライが焦点に、変動幅の拡大を警戒
・ドル円の下落局面では、短期サポートラインと154.50の維持が焦点となろう
ジェットコースターのような円相場
昨日の外為市場は、円相場が上下に大きく振れる展開となり、さながら「ジェットコースター相場」となった。
ドル円(USD/JPY)は昨日午前の時間帯に160円台へと急伸し、高値160.34(IGレート)まで上昇する局面が見られた。一方、対ユーロでは、ユーロが導入された1999年以降で最安値となる171円台まで円安が進行した。
しかし、午後に入ると一転して円が急速に買い戻され、ドル円は154円のミドル付近まで急落した。ユーロ円も165.60台まで急落する展開となった。他の主要通貨でも円高優勢となった(下のパフォーマンスチャートを参照)。
円相場の動向:4月29日
円買い介入と失敗のリスク
外為市場では引き続き、政府・日銀による円買い介入を警戒する状況が続くだろう。
しかし、筆者は円買い介入のリスクー具体的には円買い介入の限界が露呈することで、さらに円安が進行するリスクを警戒している。
2022年に政府・日銀は152円を防衛ラインとし、同年9月と10月に円買い介入に踏み切った。
9月22日の介入額は2兆8382億円、10月21日の介入額は5兆6202億円(1日あたりの介入規模はデータを公表している1991年4月以降で最大)、そして10月24日の介入額は7296億円と、2022年9~10月の介入規模は9兆1880億円だった。
巨額の円買い介入を受け、ドル円(USD/JPY)は152円の手前から127円台まで下落した。しかし、その効果は1年で切れた(下のチャートを参照)。これら一連の値動きは、円買い介入でドル円のトレンドをコントロールすることは不可能であることを示唆している。
ドル円のチャート:日足 22年8月以降
政府・日銀が円買い介入に踏み切るならば、やはり152円手前だったと筆者は考えている。この時に円安進行を阻止する姿勢を明確に打ち出しておけば、チャート上でも152.00レベルが強固なレジスタンスの水準として意識される可能性が高まったと思われる。
時間稼ぎの円買い介入による効果が続くなかで、植田日銀が6月もしくは7月の金融政策決定会合で利上げに踏み切る場合は、一時的にせよ円安の圧力を相殺する要因になり得ただろう。
しかし、ドル円は現在160円台を視野に上昇幅が拡大し、クロス円でも円安が進行している。この動きは、今の円相場について市場参加者の思惑がすでに「円売り」で一致していることを示唆している。
ゆえに、政府・日銀が円買い介入を実施しても、その限界が露呈する局面では投機筋を中心にすかさず円売りが入ることが予想される。
円買い介入の失敗による円安のさらなる進行を警戒しておきたい。
ドル円(USD/JPY):目先の見通しとチャートポイント
新たなレジスタンスの水準は?
目先のドル円(USD/JPY)は、上値のトライを意識する状況が続くだろう。目先の焦点は160.00レベルを完全に突破し、新たな上値をトライする局面へシフトするかどうか?にある。
円安の進行が止まらない今の状況で、ドル円の反落要因として期待できるのは米ドル安だけである。ゆえに、こちらのIG為替レポートで述べた連邦公開市場委員会(FOMC、4月30日~5月1日)後のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見内容、そして米国の雇用関連指標が米ドル高の要因となれば、ドル円は再び160円を視野に上昇することが予想される。
調整の円高を挟みながらもドル円が強気相場を維持し、しっかりと160円台へ上昇する場合は、161円のトライが焦点として浮上しよう。
実際にドル円が161円台へ上昇する場合、注目すべきはE計算値の水準161.51レベルのトライおよびブレイクアウトである(下のチャートを参照)。ドル円がこのチャートポイントをも突破する場合は、162円のトライが視野に入ろう。
ドル円のチャート:日足 23年12月以降
不意打ちのような円高を警戒、目先のサポートポイントは?
日足のRSIは、買われ過ぎの水準でデッドクロスが確認された。ストキャスティクスも同じ状況にある(上の日足チャート、赤矢印を参照)。円買い介入に対する警戒レベルが上がっている状況も考えるならば、目先のドル円(USD/JPY)は不意打ちのような円高を警戒する必要があろう。
今日以降、ドル円が下値をトライする場合に注目したいのが、短期サポートラインの攻防である。奇しくも昨日の急落でこのラインの存在感が増した(上の日足チャートを参照)。
5日線は今日現在、156.30レベル、10日線は155.45レベルで推移している。そして短期サポートラインは154.80台で推移している。
5日線の下方ブレイクは10日線をトライするシグナルとなろう。そして10日線の下方ブレイクは、短期サポートラインをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が短期サポートラインを下方ブレイクする場合は、昨日の急落を止めた154.50レベルのトライおよび維持が焦点として浮上しよう(下のチャート、黒矢印を参照)。この水準で二度相場がサポートされる場合は、重要なサポート水準として意識される可能性が高まろう。
分足や時間足のストキャスティクスおよびRSIを軸に、相場が売られ過ぎの水準へ到達しかつゴールデンクロスの状況が確認されるタイミングで、ドル円が上で述べたサポートの水準をトライする局面では、反発相場を想定しておきたい。
上で述べたサポート水準でドル円が反発し、相場の戻りを止めている157.00レベルを完全に上方ブレイクする場合は(下のチャートを参照)、上で述べた160円を視野に上昇幅の拡大を想定しておきたい。
ドル円のチャート:1時間足 4月22日以降
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