円安の進行が止まらずドル円は156円台へ、次の焦点は157.00 米PPIがさらなる上昇のきっかけとなるか?
円安対応で日銀の姿勢が「タカ派」へ傾いている。しかし外為市場では円安の進行が止まらない。ドル円(USD/JPY)は再び156円台へ上昇してきた。今日のドル円は、4月の米国生産者物価指数(PPI)で上下に振れる可能性がある。上昇トレンドを維持する場合、次に注目しておきたい上値の水準は?
サマリー
・円安対応でタカ派の姿勢へ転じる日銀、しかし円安の進行は止まらず
・ドル円は156円台の攻防へシフト、新たな上値の水準を目指すムードが高まる
・今日の注目材料は、4月の米PPIとパウエルFRB議長の講演
・円安と米ドル高が重なる場合、ドル円は157円のブレイクアウトを想定しておきたい
日銀の姿勢が変化しても円安が進行
日銀は13日、1回当たりの長期国債の買い入れ額を減らす方針を発表した。残存期間が5年を超え10年以下の国債買い入れ額を4250億円とし、これまでより500億円減らす方針を示した。
直近の植田和男日銀総裁の言動と9日に公表された金融政策決定会合における主な意見(2024年4月25~26日開催分)では、進行する円安が物価見通しに与えるリスクを意識する内容が見られた。また、岸田文雄首相は13日の政府与党連絡会議で「 最近の円安の動きについて十分注視している」と発言した。
円安が政治問題として浮上している現状を考えるならば、植田日銀は今後円安対応で「タカ派」の姿勢を鮮明にしてくることが予想される。国債買い入れ減額は、「タカ派」転換のサインのひとつと考えることができる。
しかし外為市場では円安が止まる気配がない。13日の外為市場では、対主要国通貨で円が全面安の展開となった(下のチャートを参照)。
ドル円(USD/JPY)はレジスタンスとして意識されていた156.00レベルを上方ブレイクし、新たな上値の水準を目指すムードが高まっている。
円相場の動向:5月13日
ついに156.00レベルを突破したドル円
円安の進行を受けドル円(USD/JPY)は昨日、レジスタンスの水準として意識されていた156.00レベルをついにブレイクアウトした。そして反落の局面で156.10-15レベルがサポートの水準として意識され(レポート掲載時点)、地合いの強さを市場参加者に印象付けている。
昨日の動きで注目すべきは、円安対応で植田日銀の姿勢が「タカ派」へ傾いても円安の進行が止まらない事実である。この状況を考えるならば今日のドル円は、下で述べるレジスタンスポイントのトライが焦点となろう。
ドル円のチャート:15分足 13日NYタイム以降の動き
次の焦点は157.00レベルのトライ&ブレイク
ドル円(USD/JPY)が上昇トレンドを維持する場合、次の焦点はIG為替レポートで注目している157.00レベルのトライおよび上方ブレイクとなろう。157.00レベルは直近高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準であり、4月の下旬に相場の上昇を止めた経緯がある(下のチャートを参照)。
レポート掲載時点で時間足のストキャスティクスとRSIは、短期的な相場の過熱感(買われ過ぎ)を示唆している。157.00レベルで一度反落する展開を想定しておきたい。
ドル円の変動要因として、今日は4月の米国生産者物価指数(PPI)に注目したい。インフレの鈍化を示唆する場合は、ドル円の反落要因となろう。
米PPI次第では158.00のトライが焦点に
一方、米PPIがインフレ圧力の根強さを示唆する場合は、「米金利の上昇→米ドル高」の展開が予想される。進行する円安と米ドル高が重なる場合、ドル円(USD/JPY)は157.00レベルを上方ブレイクする可能性が高まろう。
このケースでは、IG為替レポートで最も重要視しているレジスタンスポイント「158.00レベル」のトライが焦点となろう。4月29日以降の動向を考えるならば、158.00レベルは為替介入が意識されやすい。実際の介入がなくても、それに対する市場参加者の警戒感を受け、ドル円が下落するリスクを警戒しておきたい。
今日は米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事が、ニューヨーク連銀のイベントで講演を行う。また、パウエル議長がアムステルダムで開催されるオランダの銀行関連団体主催のイベントで講演する。
両氏が金融政策について言及しても、目新しさがなければ外為市場で材料視される可能性は低いだろう。しかし、早期の利下げについてパウエルFRB議長があらためて否定的な見解を示す場合は、対円で投機的な米ドル買いの材料として利用される可能性がある。
ドル円のチャート:1時間足 4月26日以降
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