ポンド高201円台 6月利下げ見通し後退 日銀現状維持で拍車
ポンド円相場は15年10月ぶりのポンド高水準。日銀の金融政策維持がBOEの利下げ観測後退と重なり、ポンドが買われる要因になっている。
ポンド円相場が15年10か月ぶりのポンド高となっている。14日の東京市場では201円台前半で取引され、2008年8月以来の高値を記録。日本銀行が金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決め、国債買い入れ減額についても次回の決定会合に持ち越しとなったためだ。また、ポンドは対ドルでも強さを維持しており、円やユーロ、豪ドルとは対照的。イングランド銀行(BOE)の6月利下げ見通しが後退していることが背景にあるが、19日には5月の消費者物価指数(CPI)の発表も控えており、今後の見通しが変化する可能性もある。
ポンド円相場は201円台前半で15年10か月ぶりのポンド高
ポンド円相場(GBP/JPY)は日本時間14日昼に一時、1ポンド=201.45円をつけた。前日にのポンド高水準を超え、2008年8月27日の高値(202.26円)以来のポンド高だ。リーマン・ショック前まで遡る歴史的な水準だといえる。
ポンド高が急進したのは、日銀が午前12時20分ごろに発表した決定会合の結果に意外感がなかったためだ。政策金利は0-0.1%で維持され、金融市場で注目されていた国債買い入れ減額についても、7月30、31日の次回会合で「今後、1~2年程度の具体的な減額計画を決定する」とされただけだった。この結果を受けて、ドル円相場(USD/JPY)でも一時、1ドル=158円台目前まで円安ドル高が進んだ。
ポンドは対ドルでも強さを維持 BOEの利下げ見通し後退
また、このところのポンド高にはイギリス経済の見通しも関わっている。14日のポンドドル相場(GBP/USD)は4週間前にあたる5月20日終値との比較では0.4%高の水準。アメリカの5月雇用統計で労働市場の過熱感がみられ、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が後退した7日以降も強さを維持している。円やユーロ、豪ドルが対ドルで弱くなったこととは対照的だ。また、12日には米国の5月CPIの伸び率が市場予想を下回り、ポンド高が進んだ。
こうしたポンド高の背景にあるのは英国の中央銀行にあたるBOEの利下げ見通しが後退していることだ。LSEGによると、BOEが20日に結果を発表する理事会での利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間14日午後1時段階で約10%。5月下旬の58%近くの確率が見積もられていた状態から急落している。5月22日に発表された英国の4月CPIが市場予想を上回り、物価上昇の根強さが示されたことが要因だ。欧州中央銀行(ECB)が6月6日に利下げを決めたこととは、やはり対照的な状況といえる。
ただし英国では次回のBOE理事会結果が発表される前日の19日に5月CPIが公表される。改めて英国の物価上昇の沈静化が確認されれば、BOEの利下げへの期待が再燃することも想定される。金融市場では利下げのタイミングは9月理事会との見方が強いが、金融市場が利下げ前倒しを織り込めばポンド安要因になる可能性もある。
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