ポンド安に転換も 英中銀利下げ見通し変わらず 物価上昇には根強さ
ポンド円相場ではこの2週間で6円のポンド高が進行。ただしBOEの利下げ見通しに変化はなく、今後はポンド安に振れる可能性もある。
ポンド円相場のポンド高が転機を迎えつつある。30日の東京市場でのポンド円相場は一時、1ポンド=191円台前半を記録。27日の自民党総裁選挙をきっかけとした急激なポンド安から、ポンド高に振れた。直近の2週間でみても引き続き、6円ほどのポンド高水準で、イギリスの物価上昇の根強さや、日本銀行の利上げ見通しの弱まりが、ポンド高圧力として働いているようだ。ただしイギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)が年内に追加利下げを行う見通しに変化は出ておらず、今後はポンド安方向に相場が転換することも考えられそうだ。
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ポンド円相場は一時191円台 依然としてポンド高水準
ポンド円相場(GBP/JPY)は30日午前の東京市場で一時、1ポンド=191.27円をつけた。27日のニューヨーク市場の終値(190.11円)からは1円以上のポンド高水準だ。27日のFX市場では、日銀の追加利上げをけん制した高市早苗氏が自民党総裁選で敗れたことで円高が進んだが、改めてポンド高に動き出した形だ。また、30日のポンド円相場は、約2週間前にあたる13日の終値(184.77円)からみても依然として6円程度のポンド高水準にある。
イギリスの物価上昇は上振れ ポンドは対ドルでも上昇
ポンド円相場でのポンド高の背景には、イギリスの物価上昇に根強さが感じられたことがある。18日に発表された8月消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数が前年同月比2.2%、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数が3.6%だった。総合指数は7月から横ばいだったが、コア指数は7月の3.3%から上昇。ロイターがまとめた市場予想の3.5%も上回った。
物価上昇の上振れは、8月1日に利下げを発表したばかりのBOEの追加利下げを難しくする材料。また、英国の8月CPI発表と同じ9月18日に米連邦準備制度理事会(FRB)が4年半ぶりの利下げと今後の利下げ見通しを示したこともあり、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)には上昇圧力がかかっている。30日のポンドドル相場は17日との比較では1.7%程度のポンド高水準だ。
また、ポンド円相場でのポンド高には日銀の利上げ見通しの弱まりも影響していそうだ。日銀の植田和男総裁は20日の金融政策決定会合後の記者会見で、追加利上げの是非を判断する「時間的な余裕がある」と述べ、ドル円相場(USD/JPY)での円安を引き起こした。
BOEは利下げ継続見通し ドル円相場の円高進行も影響か
ただし足元のポンド高の強さがどこまで維持されるかは不透明だ。BOEは8月CPI発表翌日の19日に金融政策を維持する理事会の決定を発表。声明文では「金融政策の引き締め度合いを徐々に緩めていくことが引き続き適切だ」とした。こうした中、金融市場ではBOEが11月の理事会で追加利下げに踏み切るとの見方が優勢。LSEGによると、11月利下げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間30日午前11時30分現在で88.7%。12月の理事会でもさらに利下げが行われるとみられている。
ドル円相場をめぐっても円高圧力は続きそうだ。日銀が追加利上げから距離をとったとはいえ、金融市場ではFRBが年内にさらに0.75%幅の利下げを行うとみられており、日米金利差の縮小が進む見通しとなっている。ドル円相場での円高が進めば、ポンド円相場ではポンド安につながることが想定される。
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