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ポンド円、一時186円台 円高効果 イギリス中銀利下げ見通し残る

ポンド円相場は約1か月ぶりのポンド安水準。BOEの利下げ見通しが残る中、米国経済への不安で進む円高の影響がポンド円相場で大きくなっている。

ポンド円、一時186円台 円高効果 イギリス中銀利下げ見通しは残る 出所:Adobe Images

ポンド円相場でポンド安がじわじわと進んでいる。ポンド円相場は6日に一時、1ポンド=186円台をつけ、約1か月ぶりのポンド安水準を記録。アメリカ経済の見通し不安を機にドル円相場で円高が進んだことが、ポンド円相場でのポンド安につながった。8月に利下げを発表したイングランド銀行(BOE)は年内に1、2回の追加利下げが見込まれており、ポンド安の要因になっている。今後もアメリカの経済指標の発表をきっかけとした円高が、ポンド円相場でのポンド安につながる可能性がありそうだ。

【関連記事】ポンド安は一時183円台 円高効果継続 8月物価は上昇加速見通しも(2024年9月17日)

ポンド円相場は一時186円台 1か月ぶりポンド安

ポンド円相場(GBP/JPY)は前週末の6日に一時、1ポンド=186.50円をつけた。LSEGによると、8月9日の安値(186.46円)以来、約1か月ぶりのポンド安水準だ。ポンド円相場は9月2日には193.46円をつける場面もあったが、1週間足らずで3.60%のポンド安が進んだことになる。9日の東京市場では186.37円までポンド安が進んだ後、187円台半ばまで戻ったが、2日の高値との比較では依然として大幅なポンド安だ。

ポンド円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

こうした値動きの背景にはドル円相場(USD/JPY)での円高がある。ドル円相場は2日に1ドル=147.17円をつけた後、6日の安値にあたる141.77円まで約3.81%の円高が進んだ。これに対してポンドの対ドル相場(GBP/USD)は2日から6日にかけてほぼ横ばいといえる値動き。3日に発表された米国の製造業の8月の景況感や6日発表の8月雇用統計は米国経済の見通し不安を強め、ドル円相場で円高が進んだが、ポンドドル相場ではポンド高が進まなかったといえる。

円、ポンド、ユーロ、豪ドルの対ドルレートの推移のグラフ

イギリスの物価に落ち着き BOEは年内追加利下げの公算

ポンドドル相場でポンドが買われなかった背景にあるのは、イギリスの物価上昇の落ち着きだ。8月14日に発表された7月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数が前年同月比2.2%でロイターがまとめた市場予想の2.3%を下回る結果。食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数は3.3%でやはり市場予想(3.4%)を下回った。

イギリスの消費者物価指数(CPI)の伸び率の推移(総合、コア)のグラフ

こうした中、金融市場ではイギリスの中央銀行にあたるBOEが年内に1、2回の利下げを行うとみられている。LSEGのデータでは、BOEが9月19日に結果を発表する理事会での利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間9日午前11時30分の段階で17.2%と低め。しかし11月理事会までの利下げについての確率は92%と高い。さらに12月での理事会についても利下げの可能性があるとみられており、イギリスの金利が低下していくとの見通しが、ポンド買いにブレーキをかけている。

アメリカの経済指標でポンド円相場が揺れる可能性も

これに対して日銀の金融政策に関しては、植田和男総裁が物価や経済が見通しに沿って推移すれば、「引き続き政策金利を上げ、金融政策の度合いを調整する」とのメッセージを繰り返している。このため、今後も米国の経済指標などで米国経済悪化の懸念が意識されれば、円が買われるほどにはポンドは買われないという市場の動きが、ポンド円相場でのポンド安につながる可能性がある。

米国経済をめぐっては11日に8月CPIが発表される。物価上昇の落ち着きがみられれば米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しがドル安圧力を強めるとみられるほか、物価上昇の強さが感じられた場合には米国経済の見通し不安が強まってドル円相場揺れる可能性があり、ポンド円相場にも影響が及ぶことが想定される。


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