英7月CPIは上昇加速予想 14日発表 下振れならポンド安再燃も
イギリスの7月CPIの上昇率加速はBOEにとっては想定の範囲内となりそうだ。上昇率が下振れた場合にポンド安となる可能性がある。
イギリスで14日に発表される7月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が6月よりも大きくなると予想されている。物価上昇抑制を目指すイングランド銀行(BOE)にとっては悪いニュースだが、数字がBOEの想定の範囲内であればポンド相場の反応は限定的になりそうだ。ただし上昇率が見通しから下振れた場合は、BOEの追加利下げ観測が強まり、ポンド安要因として働く可能性がある。同じ日に発表されるアメリカの7月CPIの結果とあわせて、対円でのポンド売りが進むことも考えられる。
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イギリスの7月CPIは総合指数が前年同月比2.3%増の予想
イギリス統計局は14日午前7時(日本時間14日午後3時)に7月CPIを発表する。ロイターがまとめた市場予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.3%となり、6月の2.0%よりも高くなる見通し。予想通りになれば、7か月ぶりの物価上昇加速となる。一方、食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.4%となり、6月(3.5%)から低下するとみられている。
イギリスのCPI総合指数の伸び率は2022年10月に11.1%まで高くなったが、2024年5月と6月にはBOEが目標とする2.0%まで低下していた。こうした中、BOEは8月1日、1年間にわたって5.25%で維持してきた政策金利を5.00%に引き下げると発表。新型コロナウイルス感染拡大期の2020年3月19日以来4年4か月ぶりの利下げとなった。7月CPIの伸び率が物価上昇の根強さを示せば、物価上昇率低下の底打ちを意味し、利下げを決めたばかりのBOEにとっては悪い材料だ。
イングランド銀行の利下げ見通しが強まればポンド安か
ただ、BOEにとって2024年下半期の物価上昇加速は想定済みの展開でもある。BOEが1日に発表した経済見通しでは、下半期の物価上昇率は前年同期比2.75%になると分析。1年前のエネルギー価格低下による物価上昇率押し下げ効果が薄れていくためだと説明していた。このため7月CPIの伸び率が見通しに沿った水準であれば、BOEが利下げを続けるという金融市場の見立てに変化は出ず、ポンド相場では大きな材料にならない可能性がある。
一方、7月CPIの伸び率が見通しよりも小さくなれば、BOEの見立てよりも物価上昇圧力が弱いとの見方が、利下げ観測を強めそうだ。LSEGのデータによると、BOEが9月19日に結果を発表する理事会で0.25%の利下げを決めることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間13日午後4時30分の段階で約36%。この確率がさらに大きくなっていけば、ポンドへの下落圧力が高まる可能性がある。
ポンド円相場は8月初めまでに13%超の円高が進行
ポンド円相場(GBP/JPY)はBOEの利下げを経た8月5日には1ポンド=180.08円をつけ、7月11日に記録した15年11か月ぶりの高値(208.10円)から13.46%の円高ポンド安となった。この間、日本銀行の利上げを材料にドル円相場(USD/JPY)が14%以上も円高に動いたことが最大の要因だ。ポンド円相場は13日の東京市場では189円台まで円安方向に戻っているが、7月CPIがポンド安要因となって改めて流れが変わることも想定される。
またイギリスの7月CPI発表から6時間30分後には米国の7月CPIも発表される。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測を強める結果とみなされれば、FX市場でのドル安要因となる可能性がある。この場合、ポンド円相場では、利下げを見据えるBOEと利上げを見据える日銀の金融政策の方向性の違いが円高ポンド安を招く要因になることも考えられそうだ。
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