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英ポンド、対円で売り一服も下落リスク消えず 英米のCPIを警戒 ポンド円の見通し

2025年に入り、対G10通貨で英ポンドが下落している。対円では約2%下落している。今日のポンド円は英米の消費者物価指数(CPI)で上下に大きく動くことが予想される。

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記事の概要

2025年に入り、対G10 通貨で英国の通貨ポンドが下落している。主因は英政府の財政リスクにある。英国の10年債利回り(長期金利)は今月9日に4.9%を付け、2008年以来の高水準へ上昇した。今日の米英CPI次第では、対米ドルでポンドの下落幅が拡大する可能性がある。ポンド円も両国のCPIにらみの展開が予想される。今週末までのポンド円の予想レンジは189.90-194.50。


目次


英ポンド安が進行、財政懸念で英長期金利は08年以来の高水準

2025年に入り、対G10通貨で英国の通貨ポンド安が進行している。対円で約2%下落している状況は、現在の英ポンド売りの強さを示唆している(棒グラフ、黒矢印を参照)。

英ポンド売りの圧力が高まっている主因は、英政府の財政リスクにある。英国の債券市場では今月9日に10年債利回り(長期金利)が4.9%を付け、2008年以来の高水準へ上昇した。

英ポンドの動向:2025年1月2日~14日

英ポンドの動向:2025年1月2日~14日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

注目の英国CPI、インフレ鈍化ならさらなるポンド安を警戒

今日の日本時間16時に、2024年12月の英消費者物価指数(CPI)が発表される。イングランド銀行(英中銀)が注視するサービス価格は、前年同月比で昨年11月の5.0%から同比4.8%へ鈍化することが見込まれている。コア指数も3.5%から3.4%へ鈍化する予想にある。

市場の予想通りインフレが鈍化の傾向にあることが確認される場合は、現在60%台で推移している2月の利下げ確率が上昇することが予想される。利下げ期待の高まりは、ポンド売りの圧力をさらに高める要因になり得る。

一方、12月CPIで予想外にインフレの粘着性が示される場合は、ポンド買いの要因になり得る。しかし、現在のポンド相場は財政リスクがメインテーマとなっている。ゆえに今日のCPIがポンド買いの要因となっても、その影響は限定的となることが予想される。

英国の消費者物価指数(CPI):2023年12月以降

英国の消費者物価指数(CPI):2023年12月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:2024年12月の市場予想


ポンド円、目先の見通しと予想レンジ

英米のCPI次第では190円トライの可能性も
14日の外為市場でポンド円(GBP/JPY)は反発した。しかし、日足のMACDとモメンタムはポンド円が弱気相場にあることを示唆している(日足チャート、黒矢印を参照)。日米利回り格差の拡大が一服していることでドル円(USD/JPY)の上昇が抑制されている状況も考えるならば、ポンド円は下値のトライを警戒する局面が続いている。今週末までの予想レンジは189.90-194.50。今日の英米CPIの内容次第では、190円のトライを想定したい。

・今日の英国CPIがポンド安の要因となれば、ポンド円の192.00下方ブレイクと半値戻しの水準191.79のトライを想定したい

・サポート転換の可能性がある191.50レベルをも下方ブレイクする場合は、190円台へ下落するサインと捉えたい

・ポンド円が190円台へ下落するきっかけとして注目したいのが、今晩の米消費者物価指数(CPI、24年12月分)である。インフレ懸念を後退させる内容となれば「米金利の低下→米ドル安→ドル円の下落」が予想される。ドル円と高い相関関係にあるポンド円は、ドル円の下落に追随する展開が予想される

・今月13日の安値190.08のトライは、190円の維持を見極める攻防となろう。この水準の下方ブレイクは、予想レンジの下限189.90をトライするサインと捉えたい。テクニカルの面でこのラインは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる

サポートライン
・191.79:半値戻し(日足)
・191.50:サポート転換の水準(15分足)
・190.08:1月13日の安値(日足)
・189.90:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(日足)

上昇幅は米CPIとドル円次第
今日の英国CPIが予想以上に上昇する場合は、ポンドの買い戻し要因になり得る。しかし現在は、財政リスクが英ポンドの重石となっている。ドル円との相関関係も考えるならば、ポンド円が上昇する場合、その幅はやはり米CPIに左右されるだろう。インフレの粘着性が確認される場合は、「米ドル高→ドル円の上昇→ポンド円の上昇」を想定したい。注目のレジスタンスラインを以下にまとめた。

・英米のCPIが予想以上となれば、ポンド円の反発を予想する。最初の焦点は15分足にプロットした193.00の突破とサポート転換の確認となろう

・193.00レベルのサポート転換が確認される場合は、194円を視野に上昇幅の拡大が予想される。15分足にプロットしたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準193.66レベルの突破は194.00をトライするサインと捉えたい

・ポンド円が194円台へしっかりと上昇する場合は、予想レンジの上限194.50のトライを意識したい。今日現在、この水準には10日線と89日線が推移している。これら移動平均線がレジスタンスラインとなれば、ポンド円の地合いの弱さを市場参加者に印象付けるだろう

・一方、米CPIが「米金利の低下→米ドル安→ドル円の下落」要因となれば、NY時間でポンド円は下値をトライする展開が予想される。英CPIですでにポンド売りが進行している場合は、上で述べた190円台への反落を警戒したい

レジスタンスライン
・194.50:10日線(日足)
・194.45:89日線(日足)
・194.00:レジスタンスライン(日足)
・193.66:フィボナッチ・エクステンション76.4%(15分足)
・193.00:レジスタンスライン(15分足)


ポンド円のチャート

日足:2024年9月以降

日足:2024年9月以降

出所:TradingView

15分足:1月10日以降

15分足:1月10日以降

出所:TradingView


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