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英ポンド高が進行、11月CPIと英中銀の25年利下げパスに注目、ポンド円の見通し

英ポンドが強気相場にある。今月は米ドル以外の主要通貨でポンド高の状況にある。円安優勢のなか、今日の11月CPIと明日の金融政策委員会(MPC)で25年の利下げパスの不透明感が高まれば、ポンド円はさらに上値を目指す展開が予想される。

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英ポンド、対G10通貨で上昇

英ポンドが強気相場にある。今月に入り米ドル以外のG10通貨で上昇している。オセアニア通貨と日本円で2%超上昇し、主要通貨のなかでも米ドルとともにその強さが目立つ。

ポンドの月初来騰落率:対G10通貨

ポンドの月初来騰落率:対G10通貨

ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 12月17日 NYクローズ時点

円安も重なりポンド円はレジスタンスラインが視野に

英ポンド高に加えて、日銀の追加利上げ期待の後退による円安も重なり、ポンド円(GBP/JPY)は重要なテクニカルラインが視野に入る。注目ポイントを以下にまとめた。

・10日線と89日線がゴールデンクロスへ転じ、16日の市場では日足ローソク足の実体ベースで50日線を突破した。MACDはゴールデンクロスへ転じた後、ゼロラインを視野に上昇トレンドにある

・12月3日を境にドル円(USD/JPY)が上昇トレンドへ転じ、154円台まで反発した。ポンド円も13日に反発して以降、上で取り上げた移動平均線を突破し、レジスタンスラインが視野に入る。一方、ポンドドル(GBP/USD)は1.26-1.28レンジで売り買いが交錯している。月初来の騰落率では、若干だが米ドル高優勢となっている(上の棒グラフ参照)

・上で述べた通貨ペアの動きは、日銀の追加利上げ期待の後退で進行している円安が、今のポンド円上昇のドライバーとなっていることを示唆している

ポンド円:日足 24年6月以降

ポンド円:日足 24年7月以降

出所:TradingView

英ポンド、目先の焦点は11月CPIと金融政策委員会(MPC)

今日は11月の英国消費者物価指数(CPI)がある。明日19日は、イングランド銀行(BOE)が金融政策委員会(MPC)を開く。いずれも英ポンドの変動要因として注目したい。注目ポイントを以下にまとめた。

・イングランド銀行による四半期調査によれば、英国民のインフレ予想(5年先)の中央値が8月の3.2%から11月に3.4%に上昇した。2022年5月以来の高水準となった。また、イングランド銀行は先月7日、政府の予算案がインフレ率を最大で0.5ポイント押し上げる可能性があると指摘した。実際にインフレ再燃の可能性が高まれば、来年の利下げパスに対する不透明感が高まるだろう

・今日は11月の英国消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想によれば、10月から伸びが加速しインフレの粘着性が示される可能性が高い。注目は、英中銀が注視するサービス価格である(チャート、赤ライン)。11月は前年同月比で5.1%と、2か月連続でサービス価格が上昇する見通しにある

英国の消費者物価指数(CPI):23年11月以降

英国の消費者物価指数(CPI):23年11月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

・今年最後の英中銀の金融政策委員会(MPC)では、政策金利の据え置きが予想されている。よって焦点は、来年2月に開かれる次回のMPCで利下げがあるのか否か?にある。本レポート掲載時点では、利下げ確率が50%台にある。16日は70%台で推移していた。11月のCPIでインフレ再燃の可能性が示される場合は、2月の利下げ期待が後退するだろう。利下げ期待の後退は、英ポンド買いの要因となろう

・英国のFT紙によれば、イングランド銀行のベイリー総裁は来年4回の利下げの可能性を示唆した。英国民のインフレ期待が上昇するなか、11月CPIでインフレの粘着性が示させる場合は、25年の利下げパスに対する不透明感を高める要因となろう。なお、短期金融市場では来年11月時点の政策金利の予想水準が4.1%台後半にある。利下げの回数としては現状、年2回の利下げを織り込む状況にある。現時点では、ベイリー総裁よりもタカ派の予想にある

英国 政策金利の予想推移

英国 政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 18日午前7時時点 / OISに基づく予想推移


ポンド円の見通しとテクニカルライン

上昇局面での注目ポイント

ポンド円(GBP/JPY)はドル円(USD/JPY)の上昇と連動している。18日のFOMCイベントで米ドル高が進行すれば、「ドル円の上昇→ポンド円の上値トライ」を想定したい。インフレ再燃を意識させる英CPIも重なれば、ポンド円の上昇幅が拡大する展開が予想される。注目のレジスタンスラインを以下にまとめた。

・米連邦準備制度理事会(FRB)は18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを決定する公算が大きい。FOMC後の定例会見でパウエルFRB議長が追加の利下げに慎重な姿勢を示す場合は、来年の利下げパスの不透明感が高まるだろう。FOMCの参加者が予想する25年末の政策金利水準(ドットプロット)が9月時点の3.4%から上方修正される場合も、同じく利下げパスの不透明感を高めよう

・米利下げパスの不透明感は米ドル高の要因となろう。米ドル高はドル円の上昇要因となり、ドル円の上昇はポンド円の押し上げ要因となろう

・ポンド円は現在、50日線の攻防にある。16日の市場では日足ローソク足の実体ベースでこの移動平均線を突破した。11月の英CPIでインフレの粘着性が示され、かつFOMCイベントが“タカ派”となれば、50日線を完全に突破し、7月11日を基点としたレジスタンスラインのトライを想定したい。このラインは今日現在、196.50台で推移している

・現在、ポンド円の上昇を止めている196.00レベルの突破は、レジスタンスラインをトライするサインと捉えたい

レジスタンスライン

・196.55:レジスタンスライン(日足)
・196.00:レジスタンスポイント(4時間足)
・195.11:50日線(日足)


下落局面での注目ポイント

英CPIでインフレ再燃の懸念が後退する場合は、「英ポンド売り→ポンド円の下落」を想定したい。FOMCイベントで米ドル売りが進行すればドル円の下落も重なり、ポンド円の下落幅が拡大するだろう。注目のサポートラインを以下にまとめた。

・ポンド円の下落局面では193円の維持が焦点となろう。今月10日以降、サポートラインとして意識されている89日線が今日現在、193.05レベルで推移している。ポンド円が下落してもこの移動平均線を維持する場合は、上で取り上げたレジスタンスラインを意識した攻防が続くことが予想される

・フィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しの水準194.05レベル、10日線の下方ブレイクは89日線をトライするサインと捉えたい

サポートライン

・194.05:フィボナッチ・リトレースメント23.6%(4時間足)
・193.61:10日線(日足)
・193.05:89日線(日足)


ポンド円のチャート

再掲:日足 24年6月以降

再掲:日足 24年6月以降

出所:TradingView

4時間足:10月25日以降

再掲:日足 24年7月以降

出所:TradingView


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