ポンド上昇止まらず208円台 英中銀利下げ見通し後退 ドル安も影響
11日のポンド円相場は208円台に突入。15年11か月ぶりのポンド高水準を更新した。イギリスの物価上昇圧力の強さが材料視されている。
ポンド円相場でポンド高の進行が止まらない。11日の東京市場では一時、1ポンド=208円台をつけ、2008年8月以来のポンド高水準を更新。11日に発表された5月の実質成長率は予想を超える強さ。10日にはイギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)幹部からも物価上昇の根強さに対する警戒感が示されて利下げ見通しが後退しており、ポンド高に拍車がかかっている。またFX市場では、アメリカの利下げ観測を受けたドル安傾向が出る中でも、円だけは対ドルで下落しており、円の弱さがポンド円相場でのポンド高につながっていそうだ。
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ポンド円相場は208円台 15年11か月ぶりポンド高水準
ポンド円相場(GBP/JPY)は11日の東京市場では一時、1ポンド=208.08円まで上昇した。2008年8月12日の高値(210.60円)以来、15年11か月ぶりの円安ポンド高水準だ。ポンド円相場は6月末の終値では203.40円だったことを踏まえれば、2週間足らずで2.3%ものポンド高が進んだことになる。日本時間の11日午後3時に発表された英国の5月の月次GDPで成長率が前月比0.4%となり、事前予想の0.2%を上回ったことが208円台突入への一押しとなった。
足元のポンド高の背景には、BOEが利下げするとの見通しが後退していることがある。LSEGのデータによると8月1日に結果が公表される次回理事会での利下げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間11日午後3時すぎの段階で約53%。9日につけていた65%程度から低下している。金融市場では6月20日に公表されたBOE理事会の議事要旨の内容を受けて利下げ見通しが強まっていたが、流れに変化が出た形だ。
イギリス中銀が物価上昇を警戒 利下げ見通しが後退
利下げ観測を後退させたのは、BOE幹部からの新たな情報発信だ。BOEのチーフ・エコノミストのピュー・ピル氏は10日の講演で、労働市場の過熱感や賃上げ、サービス価格の動向を踏まえれば、「英国の物価上昇率の根強さは今後も根強いままだ」との立場を強調。こうした見通しは、新たなデータがひとつ加わった程度は揺るがないとも付け加えた。英国では17日に6月の消費者物価指数(CPI)が発表されるが、BOEが次回の理事会で利下げを決断する決め手にはならないとの立場を示唆したとみられている。
また、ポンド高の要因には、米国の連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに向かうとの観測が強まっていることも挙げられる。FRBのジェローム・パウエル議長は9日の議会証言で労働市場の悪化への警戒感を表明。仮に米国の物価上昇が根強いままだったとしても、失業率の悪化などが進めば、FRBが景気を下支えするために利下げに踏み切るという筋書きも浮かんできた。
FRBの利下げ見通しでドルは下落 円は対ドルで値下がり
こうした中、ポンドの値動きを対ドル相場(GBP/USD)でみると、6月14日以降の4週間で1.4%のポンド高が進んでいる。ユーロや豪ドルもドルに対して買われており、FX市場ではドルの弱さが目立つ状況だ。ただし円だけは、日本銀行が主要中央銀行の中で例外的な金融緩和を続けてきたこともあり、ドルに対する値下がり傾向から抜け出せていない。
FX市場をめぐっては日本時間11日午後9時30分に発表される米国の11月CPIが相場を大きく動かす可能性がある。また31日にはFRBと日銀の金融政策の発表も予定されており、主要中銀の動向をめぐる思惑次第で、ポンド高がさらに進行する可能性もありそうだ。
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