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ポンド高、約16年ぶり202円台 BOE利下げ見通しでも円安

ポンド円相場は2008年8月以来のポンド高水準。BOEの利下げ見通しは強まっているが、円の弱さが円安ポンド高につながっている。

ポンド高、約16年ぶり202円台 BOE利下げ見通しでも円安 出所:ゲッティ

ポンド円相場が約16年ぶりのポンド高水準に突入している。26日には一時、1ポンド=202.74円をつける場面があった。ただし、ポンド円相場でのポンド高とは裏腹に、金融市場ではイギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)が8月にも利下げに踏み切るとの見通しが強まっている。BOEが20日に発表した理事会の結果で利下げ支持の強まりが感じられたためで、ポンドはドルに対しては値下がりしている。このためポンド円相場でのポンド高は円安要因が強いといえ、今後の見通しは円安の行方にかかっているといえそうだ。

ポンド円相場は2008年8月以来のポンド高水準に突入

ポンド円相場(GBP/JPY)の25日のニューヨーク市場での終値は1ポンド=202.58円。14日の終値(199.54円)との比較では、7営業日で3.04円の円安ポンド高が進んでいる。26日の東京市場では一時、202.74円をつけ、2008年8月26日の高値(202.85円)以来15年10か月ぶりのポンド高水準が続いている。

ポンド円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

ただし、ポンド円相場でのポンド高とは裏腹に、金融市場ではBOEが8月の理事会で利下げを決めるとの観測が広がっている。LSEGによると、8月理事会での利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間26日午前11時段階で約55%。18日段階での約39%から大きく見通しが上向いた形だ。

BOEの議事要旨で8月利下げ見通しが強まる

BOEの利下げへの期待が高まった要因は、20日に発表された6月理事会の結果だ。BOEはこの理事会で7会合連続で金融政策を維持。9人中7人が現状維持を支持し、2人が0.25%の利下げを支持する構図は、前回(5月)と同じだった。ただ、結果と同時に発表された議事要旨では、現状維持に賛成した7人のうち複数の参加者にとっては「今回の理事会での判断は極めて僅差だった」ことが明らかになり、8月理事会では利下げが多数になる可能性を感じさせた。

また19日発表の5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数が前年同月比2.0%、食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数が3.5%という結果。いずれも事前予想通りで、4月から伸びが鈍化した。一方では、サービス価格の伸びの根強さも感じられたものの、BOE理事会では「物価上昇減速の軌道を大きく変えるものではない」との評価も出たという。

イギリスの消費者物価指数(CPI、総合、コア)の伸び率の推移のグラフ

こうした中、ポンドは対ドルでは値下がり傾向が出ている。BOE理事会の結果が発表された20日のポンドドル相場(GBP/USD)では0.49%のポンド安が進行。6月半ば以降のポンド安の流れが強まった。ただしこれと同時に円も対ドルで売られており、ドル円相場は1ドル=160円台が目前。結果として、ポンド円相場の円安ポンド高につながっている。

ポンドと円の対ドルレートの推移のグラフ

このため今後もBOEによる利下げの見通しが強まって、ポンドが対ドルで安くなったとしても、円がポンド以上に安くなれば、ポンド円相場ではポンド高が進む。ドル円相場は日本政府による為替介入への警戒から膠着状態が続く可能性があるが、米連邦準備制度理事会(FRB)や日本銀行の金融政策の行方をめぐる思惑によっては円安が加速し、結果としてポンド円相場がポンド高に振れることも考えられそうだ。


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