英5月CPI減速見通し ポンド高反転も イギリス中銀の利下げは?
イギリスが19日に発表する5月CPIは物価上昇が減速する見通し。翌日のBOEの政策金利発表とあわせ、ポンド円相場の見通しを左右しそうだ。
イギリス統計局が19日に発表する5月の消費者物価指数(CPI)は伸び率が前月から低下する見通しだ。予想通りになれば英国の中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)の利下げ観測が強まる可能性がある。ポンド円相場は2008年8月以来のポンド高水準にあるが、こうしたポンド高の流れが反転する筋書きも否定できない。ただし5月CPIが市場予想を超える強さだった場合、BOEの利下げは難しくなるとみられ、さらなるポンド高を呼び込むこともありえる。またCPI発表の翌日に控えるBOE理事会の結果発表も、ポンド円相場を揺るがしそうだ。
イギリスの5月CPIは4月から上昇率が低下する見通し
英統計局は19日午前7時(日本時間19日午後3時)に5月CPIを発表する。ロイターがまとめた事前予想では、総合指数の伸び率は前年同月比2.0%となり、4月の2.3%から減速する見通し。また食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.5%となり、やはり4月(3.9%)から物価上昇が鈍化すると予想されている。
英国の物価上昇をめぐっては5月22日発表の4月のデータが市場予想を上回り、BOEが利下げを行うとの観測が大きく後退した。今回の5月CPIが予想通りに物価上昇減速を示せば、前回とは反対に、利下げ見通しが強まる可能性がある。LSEGによると、20日に結果が発表される理事会での利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間18日午後2時現在で約9%。8月理事会までの利下げ確率は約39%となっている。
ポンド円相場は201円台前半 5月CPIでポンド高反転も
物価上昇の減速が確認されれば、15年10か月ぶりのポンド高水準にあるポンド円相場(GBP/JPY)が反転する可能性もある。18日の東京市場のポンド円相場は1ポンド=200円台前半で推移。14日には201.60円をつける場面もあり、2008年8月27日(202.26円)以来のポンド高水準だ。ただし6月14日には日本銀行の植田和男総裁が記者会見で7月利上げも否定しない立場を示し、1月以降の一本調子でのポンド高進行にはブレーキがかかった。ここに英国の物価上昇減速が重なれば、ポンド高が反転する要因がひとつ増えることになりそうだ。
一方、5月CPIが予想に反して強かった場合はBOEの利下げは見通しがつきにくくなる。8月利下げの確度が低くなり、ポンド高要因として意識されるとみられる。
またポンド円相場をめぐってはBOEが20日正午(日本時間20日午後8時)に発表する理事会後の声明文なども重要だ。アンドリュー・ベイリー総裁は5月9日の前回理事会の結果発表に際し、記者団に対して「今後の数四半期のうちに利下げをする必要がありそうだ」と発言。金融市場で見込まれる6月利下げ確率を約58%まで高めたこともあった。5月CPIが予想を上回り、6月理事会での利下げが見送られた場合でも、声明文やベイリー氏の発言次第で8月利下げの可能性が生き残る筋書きも考えられそうだ。
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