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ポンド高は200円台に 物価上振れ余波継続 総選挙も見通しに安心感

ポンド円相場でポンド高が続いている。7月総選挙の実施決定も経済政策の急変を遠ざけたとの見方から、ポンド買いを促す要因になっている。

ポンド高は200円台に 物価上振れ余波継続 総選挙も見通しに安心感 出所:ゲッティ

ポンド円相場でポンド高の流れが続いている。27日の東京市場は1ポンド=199円台後半で推移。一時、200円台も記録しており、15年9か月ぶりのポンド高水準だ。22日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)が事前予想から上振れ、イングランド銀行(BOE)の利下げ期待を後退させたことがきっかけとなった。またイギリスでは7月4日の総選挙実施が決まっており、短期的には経済政策の急変が起きないとの見方も、金融市場の見通しに安心感を与えている。

ポンド円相場は4月の物価上昇を受けて200円台に

LSEGによると、27日のポンド円相場(GBP/JPY)は1ポンド=199.90円で取引開始。一時、200.02円をつけた。その後も199円台後半での値動きが続いている。ポンド円相場は4月29日と5月24日にも200円台をつける場面があったが、ニューヨーク市場での終値では200円台を割り込んでいた。仮に27日の終値が200円台となれば、リーマン・ショックの約2週間前にあたる2008年8月28日(200.08円)以来となる。

ポンド円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

このところのポンド高の引き金となったのは22日に発表された4月CPIだ。総合指数の伸び率は前年同月比2.3%、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.9%で、それぞれロイターがまとめた事前予想の2.1%と3.6%を上回った。物価上昇率が想定よりも上振れたことはイギリスの中央銀行にあたるBOEの利下げ見通しを後退させている。LSEGのデータによると、金融市場が見込む6月理事会での利下げ確率は日本時間27日午前11時段階で約7%。4月CPI発表前は58%程度の確率が見込まれていた。

イギリスの消費者物価指数(CPI、総合、コア)の伸び率の推移のグラフ

ポンドの強さを対ドルでみると、27日の取引での水準はCPI発表前と比べて0.26%高の水準。アメリカ経済の強さを示す経済指標を受けて、ユーロや豪ドルがドルに対して弱くなっていることとは対照的だ。ドル円相場(USD/JPY)もユーロや豪ドルと同様にドル高(円安)方向に動いており、ポンド円相場の円安ポンド高に拍車をかけている。

イギリス総選挙は短期的な市場急変を遠ざける見通し

また英国経済をめぐっては、リシ・スナク首相が22日に総選挙を7月4日に行うと発表するサプライズがあったが、金融市場の見通しには安心感を与えたようだ。スナク氏が大規模な財政政策を発表して、英国政府の財務の健全性への不安を高める可能性が低くなったと受け取められているからだ。英国では2022年、就任直後のリズ・トラス首相が大規模減税策を発表し、ポンドが急落したことがあった。トラス氏が予算案を発表した9月23日のポンド円相場は前日の1ポンド=160.24円から、155.39円まで5円近くポンド安に振れている。

イギリスの物価上昇率が予想よりも強かった背景には、米国などと同様にサービス価格上昇の根強さがある。4月のサービス価格の伸び率は前年同月比5.9%で、ロイターがまとめた事前予想(5.5%)を大きく上回った。3月の6.0%からの低下もわずかだ。一方、日本ではサービス価格の伸び率が1.7%まで減速している。英国と日本の物価動向の違いが今後のポンド円相場の見通しをさらにポンド高方向に傾ける可能性もありそうだ。


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