英4月CPIは大幅減速見通し 22日発表 上振れならポンド高も
イギリスの物価上昇率は2.1%まで減速する見通し。BOEが6月にも利下げするとの観測を強めそうだが、上振れればポンド高が進む可能性がある。
イギリス統計局が22日に発表する4月の消費者物価指数(CPI)は伸び率が大幅に減速する見通しだ。総合指数の伸び率は前年同月比2.1%まで下がるとみられ、予想通りなら、英国の中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)が6月にも利下げに踏み切るとの見方が強まりそうだ。一方、足元のポンド円相場では物価上昇減速期待にも関わらずポンド高が進行中。アメリカの物価上昇懸念の和らぎを材料にした対ドルでのポンド高や、日本政府の為替介入とみられる値動きの反動としての円安が進んでいるためだ。仮に英国の4月CPIが想定以上に強かった場合は、こうしたポンド高の流れが強まる可能性がある。
イギリスの4月CPIは総合指数の伸び率が2.1%になる見通し
英統計局は22日午前7時(日本時間22日午後3時)に4月CPIを発表する。LSEGがまとめた市場予想では、総合指数の伸び率は2.1%となり、3月の3.2%から大幅に減速する見通し。また、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.6%となり、こちらも3月(4.2%)から大きく減速すると予想されている。
4月CPIが見通しに沿った結果となれば、BOEの利下げが近づくことになりそうだ。BOEは9日に政策金利を5.25%で維持すると発表しつつ、経済見通しでは「物価上昇率は近いうちに2%の目標近くまで戻ると期待される」としていた。ロイター通信によると、アンドリュー・ベイリー総裁はこの際、記者団に対して「今後の数四半期のうちに利下げをする必要がありそうだ」と言及。LSEGのデータでは、投資家の動向から算出される6月理事会での利下げ確率は日本時間20日午前11時段階で57.7%に達している。
足元のポンド円相場ではポンド高が進行中
ただ、BOEの利下げへの期待が高まる中でも、このところのポンド円相場(GBP/JPY)ではポンド高が続いている。LSEGによると、20日の東京市場では一時、1ポンド=198.08円をつけた。3日の安値にあたる191.35との比較では、6.73円の円安ポンド高水準となっている。
足元のポンド高の要因には、米国の金利の先高観が緩み、ポンドがドルに対して買われていることがある。20日のポンドドル相場(GBP/USD)は3日安値との比較では、1.5%程度のポンド高水準。米国で3日に発表された4月雇用統計で労働市場の過熱感が和らいだことや、15日発表の4月CPIの伸び率が3月から減速したことが材料視された結果だ。
また、ポンド円相場でのポンド高には円側の要因もある。ドル円相場は3日に一時、1ドル=151.85円まで円高に振れたが、20日までには156円目前まで円安が進んだ。3日の円高水準は、日本政府の2度に渡る為替介入とみられる値動きの影響があり、その後の反動を呼んだとみられる。一方、米国の経済指標がドル高圧力を弱め、引き続き日本政府が為替介入を行うとの警戒もあることから、円安進行のペースは抑えられているものの、それでも3日以降に2.6%程度の円安が進んだかたちだ。
こうした中で発表される英国の4月CPIが見通し以上に強い結果になった場合は、ポンド高の流れが強まることもありそうだ。物価上昇率低下への期待が高まっているだけに、上振れ幅が大きくなった場合には、サプライズの度合いが強くなることも想定される。
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