ポンドに不安定感 イギリス歳出拡大見通し 中銀の利下げ予想は後退
ポンド円は198円前後。労働党政権の予算案がポンド安材料になる一方、BOEの追加利下げへの距離感はポンド高要因となった。
ポンド円相場の値動きが定まらない。11日のポンド円相場は1ポンド=198円前後で取引され、10月下旬以降にみられた199円台からはポンド安といえる水準。10月30日に発表されたイギリス政府の予算案が財政不安を高め、ポンドが売られる要因となった影響が残っている。またアメリカ大統領選挙でのドナルド・トランプ前大統領の勝利もポンド売りの材料となった。一方、英国の中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)は11月7日に利下げを発表したが、追加利下げへの距離も感じさせた。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ路線維持もあってポンド高要因とみなされており、ポンド相場の方向性がつきづらくなっている。
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ポンド円相場は198円前後 ポンド安の後、ポンド高に
LSEGによると、ポンド円相場は8日の取引で一時、1ポンド=196.73円をつけた。7日には199.55円をつける場面もあったが、1日で2.82円のポンド安が進んだ形だ。しかし11日の東京市場での取引では198円前後まで戻している。
スターマー政権の予算案はポンド安の材料 トランプ氏の勝利でもポンド安進行
ポンド下落のきっかけは英国政府が10月30日に発表した予算案だ。7月の総選挙を経て就任した労働党のキア・スターマー首相が手掛けた初の予算案で、金融市場では歳出拡大的な内容だとみなされてポンド安を招いた。ポンドの対ドルレート(GBP/USD)は30日に0.41%安、31日も0.49%安となっている。
またポンドは米国の大統領選挙でトランプ氏が勝利し、米国の金利の先高観が高まったことでも下落した。大統領選挙の結果が判明した11月6日にはポンドはドルに対して1.25%下落している。
BOEの年内追加利下げ見通しは後退 スターマー政権の予算案を警戒か
こうした中、BOEは7日に理事会の結果を発表。政策金利を0.25%下げ、4.75%にするとした。8月以来2会合ぶりの利下げだ。しかし同時にスターマー政権の予算案が実現すれば、英国経済の成長をこれまでの見通しよりも上振れさせ、物価上昇率を高める効果があると指摘し、年内追加利下げへの距離を感じさせた。また、同じ7日には米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ路線への軸足を維持したことでドル高見通しが後退しており、ポンドは対ドルで0.84%上昇した。
実際、BOEの利下げ見通しは30日の予算案発表を機に後退。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている12月理事会後の政策金利は、予算案発表前までは4.55%程度だったが、発表後は4.65%程度で推移している。12月利下げをめぐる確率は日本時間11日正午すぎの段階で20.1%だ。
ただ、足元のFX市場ではトランプ氏の勝利によるドル高圧力と、FRBの利下げ路線がもたらすドル安圧力が混在する状態。いずれも金融市場の関心が強く、ポンドや円の対ドル相場の行方は読みにくい。英国のスターマー政権の予算案はポンド安圧力を高めたものの、今後のポンド円相場が不安定な値動きになることも考えられる。
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