ポンド安は一時183円台 円高効果継続 8月物価は上昇加速見通しも
ポンド円相場では9月以降のポンド安傾向が続いている。18日発表の8月CPIは物価上昇加速も見込まれるが、BOEの年内追加利下げ見通しは維持されそうだ。
ポンド円相場でのポンド安傾向が続いている。17日の東京市場は1ポンド=185円台で推移。9月初めから3.8%程度のポンド安水準での値動きとなった。16日には183円台もつけている。ドルに対して円が大きく買われる半面、ポンドはさほど買われてはいないことが結果としてポンド安につながっている。一方、18日に発表される英国の8月消費者物価指数(CPI)は物価上昇の根強さを感じさせる可能性があるが、金融市場では、イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)が11月以降に追加利下げを行うとの見方が強い。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しが強まる中でも、ポンドは円に比べて買われにくくなっているといえそうだ。
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ポンド円相場は16日に一時、183円台を記録
ポンド円相場(GBP/JPY)は17日の東京市場で1ポンド=185円台後半で取引された。LSEGによると、これに先立つ16日には一時、183.74円をつけ、ニューヨーク市場の終値は185.78円。9月2日の終値(193.04円)からは3.76%のポンド安となっている。
こうしたポンド安の最大の要因はドル円相場(USD/JPY)で進む円高だ。ドル円相場は16日に一時、1ドル=139.56円を記録。2023年7月28日につけた138.05円以来、約1年2か月ぶりの円高水準となった。16日のニューヨーク市場の終値では140.60円まで円安に振れたものの、それでも2日終値(146.90円)からは4.5%の円高となっている。この間、ポンドもドルに対して0.5%のポンド高が進んだが、円が買われる度合いの大きさがポンド円相場でのポンド安として現れている。
イギリスの8月CPIはコア指数の伸びが加速する見通し
一方、イギリス統計局が18日午前7時(日本時間18日午後3時)に発表する8月CPIは物価上昇の根強さが感じられる可能性がある。ロイターがまとめた事前予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.2%となり、前月から横ばいとなる見通し。食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.5%となり、7月の3.3%から物価上昇が加速する見通しだ。
ただしBOEは8月1日に2020年3月以来の利下げを発表したばかり。この際に示した経済見通しでは、エネルギー価格低下による上昇率の押し下げ効果が一巡することなどを理由に、下半期の物価上昇率は2.75%まで上がるとしていた。このため8月CPIの伸び率が7月よりも大きくなったとしても、FX市場ではBOEが利下げ局面に入っているとの見方は崩れず、ポンド安の流れが続く可能性がある。
イングランド銀行の9月理事会は利下げ見送りか
こうした中、金融市場では、BOEが8月CPI公表翌日の19日正午(日本時間19日午後8時)に発表する9月理事会の結果は政策金利の据え置きが予想されている。LSEGのデータによると、政策金利が現状の5%で維持されることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間17日午後6時現在で60%。0.25%利下げの確率の40%を上回っている。また、金融市場では、12月理事会後の政策金利は4.4%程度とみられており、9月に利下げを見送った後、11月と12月の理事会でそれぞれ0.25%の利下げが行われるシナリオが有力視されている形だ。
今後のFX市場では、17、18日にFRBが開く連邦公開市場委員会(FOMC)の重要度も高い。FRBの情報発信が年内の利下げペースが速くなるとの市場の見方を裏付ければ、ドル円相場が円高に振れる結果、ポンド円相場ではポンド安が進むとの見通しも成り立つ。
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