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2025年のFX市場の見通しは? ユーロに弱さ 円高急進の可能性も

2025年のFX市場は米国経済の底堅さがドル高基調につながりそうだ。ユーロや豪ドルは弱含む可能性がある一方、円には円高急進の可能性もある。

2025年のFX市場の見通しは? ユーロに弱さ 円高急進の可能性も 出所:ブルームバーグ

2024年のFX市場は秋以降にドルの強さが際立つ展開となった。9月末を基準として考えると、ユーロやポンド、豪ドル、円はいずれもドルに対して5-9%下落。アメリカ経済の底堅さがドル高を引き起こしている。こうした中、2025年の見通しをめぐっては、欧州中央銀行(ECB)の利下げ路線が鮮明になっているユーロの下落がみこまれる一方、イギリスの物価上昇の根強さから、ポンドは底堅さが感じられる可能性がありそうだ。また豪ドルは中国経済の見通し不安が値下がり要因としてくすぶる。こうした中、ドル円相場は日本政府の為替介入への警戒もあって膠着することが考えられるが、日本銀行の利上げが近づけば円高が急進する可能性も拭えない。

アメリカの労働市場は堅調 2024年は10月以降にドルの強さが際立つ

2024年のFX市場はドルが尻上がりに強さを発揮した。10月4日に発表された9月雇用統計以降、労働市場の堅調さが材料視されるようになり、FX市場でのドル買いにつながったことが理由だ。米国の労働市場めぐっては8月2日発表の7月雇用統計で失業率が4.3%まで上昇したことを機に不安が拡大したが、足元では過度な悲観はなりを潜めている。

ブルームバーグによると、ユーロ、ポンド、豪ドル、円の4通貨の対ドルレートの9月末から12月25日終値にかけての騰落率は、ユーロドル(EUR/USD)が5.97%のユーロ安、ポンドドル(GBP/USD)が5.46%のポンド安、豪ドルドル(AUD/USD)が9.36%の豪ドル安、円が8.71%の円安となった。このところのFX市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が18日に9月から3回連続の利下げを決めつつ、2025年の利下げ回数を2回に抑えるとの見通しを発表したことが意識されており、今後も主要通貨の中でドルの強さが目立ちそうだ。

円、ユーロ、ポンド、豪ドルの対ドルレートの推移のグラフ

ユーロは2025年6月までに4度利下げの見通し ユーロ安要因に

ただ、各通貨の値動きの見通しには濃淡も見込まれる。特にECBの利下げ見通しがはっきりしているユーロは、他通貨と比べて安くなりやすい可能性がありそうだ。ECBはFRBに先駆ける形で6月6日に4年9か月ぶりの利下げに踏み切り、その後も3度の利下げを実施。ブルームバーグによると、金融市場ではECBが2025年6月までの4回の理事会すべてで利下げするとみられており、FRBの慎重姿勢とは対照的な動きが見込まれている。ユーロ圏の11月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数で前年同月比2.2%、食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数で2.7%となっており、ECBは2025年の物価上昇率は2.1%まで鎮静化するとの見通しを示している。

ユーロ圏の物価上昇率とECBの政策金利の推移のグラフ

イギリスの物価上昇に根強さ ポンドは底堅く推移か?

一方、ポンドはユーロに比べてドルに対する底堅さを発揮しそうだ。ポンドが安くなりにくい事情となっているのは英国の物価上昇の根強さ。18日に発表された11月CPIの伸び率は、総合指数で前年同月比2.6%、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数で3.5%で、物価上昇鎮静化に手を焼いている。イングランド銀行(BOE)は8月1日に4年4か月ぶりの利下げに踏み切り、11月に追加利下げしたものの、12月19日には利下げ見送りを発表。金融市場では2025年の利下げ回数は2回が有力視されている。ただ、政策金利の高止まりが経済を下押しするシナリオが意識されれば、ポンド安が進む可能性もある。

イギリスの物価上昇率と政策金利の推移のグラフ

オーストラリア中銀は2月に利下げか 中国経済の見通し不安も豪ドル安要因

また、利下げに慎重なのは、オーストラリア準備銀行(RBA)も同じだ。RBAは2023年11月8日に政策金利を4.35%まで引き上げてから、9会合連続で金融政策を維持。オーストラリアの2024年10月の物価上昇率は、変動率が大きい品目を除外した刈り込み平均で前年同月比3.5%で、英国同様、物価上昇鎮静化が進んでいるとはいえない。しかしこのところは中国経済の見通しへの不安がオーストラリア経済を弱くする要因として意識されてきた。金融市場ではRBAが2025年2月の理事会で利下げする確率が70%程度あるとみられており、短期的には豪ドル安に動きやすい状況といえそうだ。

オーストラリアの消費者物価指数の推移のグラフ

日銀の追加利上げがあれば円高急進の可能性も

こうした中、2025年のドル円相場(USD/JPY)は米国経済の底堅さによる円安圧力と日本政府による為替介入への警戒が拮抗する展開が想定される。ただ、日銀が利上げを見据えている円は、ユーロやポンド、豪ドルと比べて強くなる可能性もありそうだ。日銀の植田和男総裁は19日の金融政策決定会合後の記者会見で利上げ姿勢を後退させつつも、経済や物価が見通しに沿って進展すれば利上げするとの姿勢自体は崩していない。

2024年のドル円相場の値動きでは、日本政府の為替介入とみられる値動きや日銀の利上げがあった2024年7月から8月初めにかけては円が大きく買われる局面もあった。このため2025年のドル円相場でも、日銀が利上げに踏み切れば、円高が進む可能性もありそうだ。金融市場では日銀は5月までに利上げを決めるとの見方が有力で、大きな値動きが起きるシナリオも考えられる。


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