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円安、雇用統計で加速も 158円台継続 トランプ氏が見通しに影響

ドル円相場で円安がじわじわと進行。トランプ氏就任を控えた米国の金利高で、3日連続の158円台となった。10日発表の雇用統計も注目される。

円安、雇用統計で加速も 158円台継続 トランプ氏が見通しに影響 出所:ブルームバーグ

ドル円相場で円安がじわじわと進んでいる。ドル円相場のニューヨーク市場での終値は9日までの3日連続で158円台。2024年7月以来の円安水準で、年末の157円台からは1円程度の円安が進んでいる。背景にはアメリカの長期金利(10年物米国債利回り)の上昇があり、日米の金利差も約8か月ぶりの大きさを記録した。アメリカで1月20日にドナルド・トランプ氏が大統領に就任することが金利の先高観を強めている。こうした中、10日に発表される12月雇用統計が予想以上に強い結果となれば、米国の金利上昇がさらに進む可能性も出てきた。ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、円安急進シナリオと日本政府による為替介入への警戒が相場を左右することになりそうだ。

ドル円相場は3日連続で158円台 2024年7月以来6か月ぶりの円安水準

ドル円相場(USD/JPY)の9日のニューヨーク市場での終値は1ドル=158.14円で、7日以来3日連続の158円台。ブルームバーグによると、8日には一時、158.55円をつける場面もあり、2024年7月17日の158.61円以来、約6か月ぶりの円安水準となった。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

ドル円相場は12月18日までは1ドル=154円台で推移していたが、日本銀行の植田和男総裁が19日の金融政策決定会合後の記者会見で追加利上げに慎重姿勢を示したことで、157円台まで円安が進行。その後は為替介入への警戒感から円安にブレーキがかかっていたものの、2024年末の157.20円から足元にかけてはじわじわと円安が進んできた。

背景にアメリカの長期金利上昇 日米金利差は8か月ぶりの大きさ

円安見通しが強まっている背景には米国の長期金利上昇がある。ブルームバーグによると、米国の長期金利は8日には一時4.714%をつけ、2024年4月25日(4.735%)以来の高さとなった。2024年末の4.572%を起点とすれば0.142%ポイントの上昇となっている。日米の長期金利差は1月7日には3.559%ポイントとなり、2024年5月10日(3.589%ポイント)以来の大きさだ。

日本とアメリカの長期金利差の推移とドル円レートの推移

トランプ氏の20日の大統領就任が円安要因 ポンドやユーロ、豪ドルも下落

米国の長期金利上昇の要因はトランプ氏の大統領復帰といえる。トランプ氏は20日の大統領就任初日から輸入品への高関税などの実行に着手する可能性があり、米国の物価上昇圧力を高める材料になりかねない。この場合には金融市場で米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースがさらに遅くなるとの見通しが強まると考えられ、米国の金利の先高観につながっている。

米国金利の先高観は円以外の通貨の対ドルレートにより大きく影響している。ポンドの対ドルレート(GBP/USD)の9日の終値は6日終値との比較で1.69%安。同様にユーロの対ドルレート(EUR/USD)も0.87%安、豪ドルの対ドルレート(AUD/USD)も0.80%安となっており、円の0.33%安を上回る下落ぶりだ。

円、ポンド、ユーロ、豪ドルの対ドルレートの推移のグラフ

12月雇用統計で円安見通しが強まる可能性 為替介入への警戒も

こうした中、米国で10日に発表される12月雇用統計は米国の長期金利をさらに上昇させる要因になりえる。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、12月雇用統計は、非農業部門の就業者数の伸びが前月比16.5万人増となるなど、堅調な結果になる見通し。就業者数が予想以上に大きく伸びるといった極端に良好な結果が出れば、FRBの利下げが進みにくくなるとの思惑が長期金利をさらに高める可能性がある。

アメリカの雇用統計(就業者数、失業率、平均時給伸び率)の推移のグラフ

一方、ドル円相場での円安進行には引き続き、為替介入への警戒がブレーキをかけることも想定される。円安進行のペースは足元では緩やかとはいえ、韓国で「非常戒厳」が宣言された2024年12月3日に1ドル=148.65円をつける場面もあったこと考えれば、1か月あまりで10円程度の円安が進む急ピッチ。加藤勝信財務相は7日の閣議後記者会見で「足元では一方的な、急激な動向もみられる」「行き過ぎた動きに対しては適切な対応をとってまいりたい」と述べており、為替介入も視野にいれている様子だ。ドル円相場の今後の見通しは、米国金利の上昇ペースと為替介入への警戒の度合いが左右することが考えられる。


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